ポーション
魔法具屋で杖を貰ったあと、僕達は夕方まで、村をブラブラした。
「みつきー」
後ろから、懐かしい声がする。
振り返ってみると、門番のおっちゃんの娘で幼馴染みのエリザが走ってきた。
「久しぶり!!帰ってたの?」
「エリザ、久しぶり」
「だれ?」
「僕の幼馴染みだよ」
「むー」
ゆーちゃんが僕の手をぎゅっと握ってきた。
「ん?何か睨まれてるんだけど?」
「あはは、今仕事帰り?」
「うん、みつきはどうして帰ってきたの?クビ?」
「クビならいいけど、仕事だよ」
「あー、そういえばハインさんが、勇者黒姫が近いうちに来るって言ってたわね」
エリザは、ヴァイス城の売店で売り子として働いている。城で趣味のメイドをやっている、ハインさんにも会うことがあるらしい。
エリザは村一番の美人だから、ヴァイス城でも人気というのを、勇者になる前に聞いた。
「あはは、そんなの半年も前の話でしょ?今は、本性もバレて売店のおばちゃんみたいなものだよ」
いや、十六歳でおばちゃんはないだろう。確かに、村に僕達くらいの若者はいないからか、エリザはおばさんくさいところがある。
「それより、黒姫ってあんたのことだったのね」
「恥ずかしいでしょ?」
「いやいや、似合ってるわよ」
エリザは、ニヤニヤしながら、僕をからかってくる。
「ところで、そっちの子は娘?」
「相手もいないのに、なんで娘になる。僕の仲間の子だよ」
「へー、あたしはエリザお名前は?」
「ゆづき」
「へー、ゆづきちゃんって言うのか。あたしはエリザよろしくね」
ゆーちゃんは、少し不満そうにエリザと握手する
「うん、よろしく」
「大丈・・・・・・みつき・・・・・・からね」
エリザが、ゆーちゃんに何かをぼそっと言った。
ゆーちゃんは、基本無表情だけど、ちょっとだけ笑った気がした。
「さて、親父のご飯を作らないと。みつき、暫くは村にいるんでしょ?」
「うん、二週間ほどで城の方にいく予定」
「なら、あたしの休みの日にでも、勇者生活が、どんなものかゆっくりお茶でもしながら聞かせてよ」
「わかった。家にいると思うから、また、暇なときにでも家に来て」
「ゆづきちゃんも、バイバイ」
「うん」
そう言って、ゆーちゃんは手を振る。
エリザと別れて、家に帰ってきた。
庭から、煙(?)が出ている。火事か?
慌てて庭の方にいくと、いつきさんが火の魔法具を使って、何かを煮ている。
「いつきさん、何やってんの?」
「草を煮てるんです」
草?何のために?
「実験ですよ。この辺りの草は魔力をたくさん含んでいるので、いえ、今のは忘れてください、ふふふ」
「あやしい」
ゆーちゃんが、ジーっといつきさんを睨んでいる。
「おまえ、なにたくらんでる?」
「や、やだなー。何もたくらんでませんよ。ふふふ」
「・・・・・・」
いつきさんは、ニコニコしているだけ、ゆーちゃんは怪しむように観ている。
「たのもー!!」
玄関の方に、この声はグレンさんだったかな?
僕は、玄関の方に向かった。
「うわ・・・・・・」
グレンさんに、腕を持たれ、グッタリしている、よいやみがそこにあった。
よいやみ、面白い人物だったのに・・・・・・
「い、生きて、るっす」
「全く、少し特訓したらこのザマとは、情けない」
「や、野生の熊と、に、人間を、一緒に、するなっす」
「誰が、野生の熊だ」
「一応、こいつも女の子だからな、野宿は可哀想だから、泊めてやってくれ。明日の朝、迎えにくる。よいやみ、逃げても無駄だぞ」
「えっと?グレンさんはどうするんですか?グレンさんの部屋も、用意出来ますよ?」
「いや、俺はいい。いつも通り森で過ごす」
そう言って、よいやみを置いて、森へ帰っていった。
「熊と、変わらん、じゃ、ないっすか」
とりあえず、よいやみを休ませるために、その前に汗が凄いので、お風呂に入れておいた。
「いやー、生き返ったっす!!」
ん?こいつ、風呂に入っだけで、何で体力回復してるんだ?
「どうやら、成功みたいですねぇ・・・」
いつきさんが、今、何か言ったぞ?
その時、ゆーちゃんが僕をつついた。
「おふろで、さっきのにたやつ、よいちゃんにのませてた」
なっ!?草を煮たのを飲ますって、何の実験だ!?
「よ、よいやみ!!お腹痛くないの!?」
「何の話っすか?」
「変なもの飲まされたって!」
「変なもの?確かに苦かったっすけど、あれってポーションの原液っすよ?」
ポーション?聞いたこと無いんだけど?ポーションってなに?
「薬草ほどじゃないっすけど、疲労回復とか出来るんすよ。うちの国では、よく売ってたっす」
ん?もしかして・・・・・・
「薬草よりやすいの?」
僕は恐る恐る聞いてみた。
「一瓶、千五百ルーツくらいっすかね?いつき、どうっすか?」
僕は、いつきさんの方を見る。
僕から目をそらす、いつきさん。
確信犯か?
「かおそらして、わらってる」
ゆーちゃんでかした!いつきさん、確信犯だね。
「ち、違いますよ!?薬草の方が高価なのは確かですし、薬草に比べればかなり劣りますし!!」
僕は、いつきさんをジト目で見る。
「わ、わかりましたよ。白状しますよ」
いつきさんが言うには、魔大陸で最初にいた、平原の草に違和感を覚えたこと、僕が、昼間に出したお茶に、明らかな癒しの効果があったこと、昼間に草原に行って草をすりつぶし、鑑定したところ癒しの効果を見つけて、煮てみて、その煮汁がポーションの原液に近かったので、疲れきっていたよいやみに飲ませてみたと。
で、成功してのでこれを薄めて荒稼ぎしようと・・・・・・
・・・・・・悪魔か、この人は!?
まず、何のためらいもなく仲間を実験台にするなと・・・・・・
それについては、いつきさんから反論があった。
いつきさんは、商人らしく鑑定魔法というものを持っているそうだ。それで、鑑定しているので、安全性は確保されているそうだ。
更に、ポーションがあれば、薬草代も浮くと言われれば、僕もなにも言えなくなる。
それに、ポーションは疲労回復などの効果はあるが、薬草のように傷を治す効果や、病気を治す効果はないそうだ。
「いつき、ポーションの原液をいくらかくれっす。どうせ、明日も師匠に森に連れていかれるっす。逃げるのは不可能っすからね」
森?森で何をしてるのかな?
よいやみが言うには、森で魔物が襲ってくるなかで、師匠と戦うのだそうだ。
この師弟おかしいと言うと「おかしいのは師匠であって、あしではないっす」と、泣きそうになりながら、言っていた。




