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魔法職の到達点


「無限の魔力?」

 僕はおばさんに、聞き返した。

 おばさんによると、魔力というのは使い続けると、魔力が枯渇して倒れてしまうそうだ。

 無限の魔力を持つものは、魔力をいくら使っても、枯渇しない。

 僕のような、全く魔力が無いのも珍しいが、無限の魔力の持ち主は、伝説の勇者の伴侶となった聖女だけだったと言われている。

 無限の魔力は、魔法職の到達点と呼ばれているらしい。

 魔法職の到達点には、もう一種類あるそうだが、それについては謎だそうだ。

 ゆーちゃんに、魔力の枯渇について聞いてみたが、一度も魔力が無くなって、倒れることはなかったそうだ。


「しかし、無限の魔力の持つお嬢ちゃんが、こんな店になんのようだい?」

 おっと、本来の目的を忘れるところだった。

「攻撃系の魔法具ってある?」

「みつきちゃんじゃ、使えないよ?」

 いや、それは昔に試して知っているよ。あの時は絶望したなぁ。

「そんなみつきちゃんが、今では勇者って、凄いものだね」

 そんな言われ方をすると、少し照れる。

「ってことは、そっちのお嬢ちゃんが使うのかい?それだけの魔力があるのなら、魔法具を使わずに自分の持っている魔法を、組み合わせたりする方がよくないかい?」

 へぇ。魔法を作るには、そんな方法があるのか。

 でも、ゆーちゃんの魔法って、あの二種類だよね。

 それを混ぜたのが、あの《ひーる》だよね、もう作れるの無いんじゃ。

 僕が難しい顔をしていると、おばさんが心配してきてくれた。

「そっちのお嬢ちゃんは、どんな魔法が使えるんだい?」

「そせいとそくし」

 ゆーちゃんがそう答えると、おばさんは止まってしまった。

 やっぱり、両方禁術だからビックリしたのかな?


 おばさんが動き出してから、話を聞くと、甦生術は禁術ではないそうだ。

 禁術の元となったあの話では、蘇生術と呼ばれていたが、後の研究の結果《死霊術》と呼ばれる魔法の可能性が高いそうだ。

 死霊術でも、色々あるが時と場合によっては、禁術と呼ばれる時があるらしく、あの話では戦場で使うことが禁止とされているそうだ。

 

 即死に関しては、判らないそうだ。そもそも、そんな魔法が存在しているのすら、知らないということだ。

 

 蘇生魔法の方は、手順がややこしいらしく、まず魂を霧散させないために空間を固定し、次に神の使いが死者の魂を死界に送るための扉を開けようとするのを拒絶し、その次に肉体の完全な修復を行い、固定した空間内にただよう魂を掴みとり、肉体に魂を再び固定し、最後に蘇生魔法を使い、元の状態に戻すそうだ。


 魔法の使えない僕からすれば、何を言っているか理解できなかったが、この話を聞いてるだけでも、一人で蘇生魔法を成功させるのは不可能なんじゃ無いだろうかと思った。

 ゆーちゃんにどうやってるかを、聞いてみると「てきとうにやったらできた」と、かわいい答えを貰った。


 ともかく、今ある魔法だけではゆーちゃんは満足しないので、何か方法はないか聞いてみた。

 おばさんからは「魔法を生み出すことは本人しか出来ないけど、自分の身を守る魔法具ならあるから、使ってみるかい?」と言われ、ゆーちゃんもそれにたいして、頷いていた。

 

「地下に魔法具を試せるような場所があるから付いてきてごらん」

 僕達は、おばさんに言われ付いていったが、村の地下にそんな空間があったなんて。

 地下はかなりの広さで、村の半分くらいの大きさがあった。

 おばさんによると、ここは、空間魔法で作り上げられてるから、実際は店ほどの大きさしかないらしい。

 

「これを使ってごらん」

 ゆーちゃんが渡されたのは、魔導師が持つような杖だった。

 杖の先端に、拳くらいの大きさの魔宝玉が取り付けられており、魔力を流すことにより魔力の球を射つことが出来るそうだ。

「魔力を杖に送ってみるんだよ」

 ゆーちゃんは、目を瞑り杖に魔力を送っているようだ。

 杖の先端が、光始めた。

 おばさんは、なにやら魔法を使って土のゴーレムを的に作った。

「あの、土人形に射ってみな」

 ゆーちゃんは、言われるまま杖を土人形に向けた。

「えい!」

 杖から放たれた光球は、土人形に向かって走る。

 当たった瞬間、土人形が吹き飛んだ。凄い威力だ。

 おばさんも、驚いている。想定内じゃないの?

「私が作れる限りの、魔力を込めて作った土人形が、簡単に吹き飛ぶなんてね。何て威力だい」


 本来は魔物に接近されたときに、緊急用の魔法具だそうだ。

 だから、威力はゴブリン(魔大陸産ではない)を倒せるほどの威力しかないそうだ。

 当然、おばさんが用意した土人形は、ゴブリンを遥かに超えた耐久性は、あったらしい。

「使う人によって、ここまで変わるとはねぇ。そうだ!」

 おばさんは、急に上の店に走っていってしまった。

 

 ゆーちゃんが、杖に魔力を込めて遊んでいるのを、微笑ましく見ていると、おばさんが戻ってきた。

 おばさんは、ゆーちゃんを呼び寄せ、一つの腕輪を渡してきた。

「その腕輪は、杖から出せる魔力球に属性を付加する腕輪なんだよ。火を付加させたいときは、火をイメージして杖に魔力を送るんだ」

 ゆーちゃんは、言われた通りに火をイメージしたらしく、杖の先端に火球が生まれていた。

 おばさんは、もう一度土人形を作り、ゆーちゃんはその土人形に火球を射った。

 土人形は一瞬で消し炭に変わった。

 これには、ゆーちゃんも満足したらしく、僕はおばさんに杖と腕輪の値段を聞いたが「勇者になったみつきちゃんへの、お祝いみたいなものだから、お金は要らないよ」と、いってくれた。


 ゆーちゃんも戦う手段ができて上機嫌になっていた。

 僕達が戦ってるときに、見てるだけなのは嫌だったらしく、ひーるを使っても、敵にたいして嫌がらせにしかならないのは、面白くないと思っていたらしい。

 

 僕達は、おばさんにお礼を言ってお店を後にした。


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