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よいやみの師匠

「ゆっくりしていくといい!」

 じいちゃんの能天気な態度に、多少イラっときたが、いつもの事で、気にしたら敗けだと思っているので、相手にしないことにした。

 

 僕は、三人にお茶を出した。

 よいやみはお茶を美味しそうに飲んで、ゆーちゃんは猫舌なのかちょびちょび飲んでいた。

 いつきさんは「これ、薬草使ってますよね?」と言い出した。

 いや、僕は家の裏にある香草を乾燥させてただけと言ったら「そうですか」と言って、ニヤけついていた。

 いつきさんが、あんな顔するときは、お金が絡んでいる筈だ。


 僕達が居間でマッタリしていると「頼もう!!」と、玄関先で声がした。

 誰かが来たみたいだ。

「また、あやつか、面倒じゃのぅ」

 じいちゃんの知り合いかな?

 じいちゃんは、面倒くさそうに玄関まで歩いていった。


「今の声は、聞いたことあるっす!」と、よいやみが玄関に行こうとしたので、この村でよいやみの知り合いが、いるのかと気になったので、付いていってみた。


「手合わせ願おう!!」

「嫌じゃ、面倒くさい」

「何故だ!!共にいい汗をかこう!!」

「臭いから嫌じゃ!!」

 玄関先に、熊のように大きなおじいさんが立っていた。

 うちのじいちゃんもでかいけど、この熊もでかいな。


「し、ししょー!?」

「む?よいやみか!?何故、お前が拳神殿のところにいる!?」

 拳神?誰が?よいやみの知り合い?

「拳神って、修行のしすぎで、頭おかしくなったんすか?」

「お前は、相も変わらず一言多いアホ弟子だな」


 玄関先ではなんなので、家に上がって貰った。

 この熊にみたいな人は、グレンさん。よいやみの師匠で、武者修行の旅の最中に、この村に寄ったみたいだ。

 そこで、全員があり得ない強さを持った(?)この村で、一番強いじいちゃんに戦いを挑んで、敗けてしまったらしい。

 それから毎日、勝負を挑んでいるそうだ。

「もう五十回は戦っとる。いい加減諦めてほしいんじゃがな。ただのぅ、こやつ、毎日強くなっとるんじゃよ」

 それを聞いて、よいやみが驚いていた。

「し、師匠まだ強くなってるんすか?しかも、負けても挑むって、どえむっすか!?」

「全く、お前は姫様なんだから、口調だけはおしとやかにと、言ってあるだろう?」

「あ、あしは、もう王族じゃないっす!!」

 なんか、二人のやりとりを微笑ましく感じて見ていると、いつきさんが、僕に魔宝玉を見せてきた。

 僕は唖然とした。

 じいちゃんもグレンさんもランク・ヒヒイロカネだった。

 ちょっと待って!?ヒヒイロカネってギルドでも、隠されているようなランクじゃないの?

 それだけでも驚いてるのに、いつきさんの話では、一部の子供を除けば、この村の殆どの大人はランク・オリハルコンだったそうだ。

 あり得ないと言ったが「私の方があり得ないという気持ちですよ。伝説のヒヒイロカネが、この場に四人もいるんですよ」と、逆に呆れられた。


「拳神殿のお孫さん、よいやみを少しお借りしてもよろしいかな?」

「え?はい。二週間くらいはゆっくりしてから、アリ姉に会いに行こうと思ってましたから」

 僕としては、すぐにヴァイス城に行くつもりだったのだが、いつきさんが「本当は一月はかかる旅路だったんですから、暫くゆっくりしましょう」と微笑んで言っていたので、逆らうと後が怖いので、二週間くらいは村に居ることにしたのだ。

「それは良かった。よいやみ!この二週間で更に強くしてやろう!!」

「な、何言ってんすか!?」

「ははは!!遠慮するな!!拳神殿!よいやみを鍛え終わったらまた、勝負をしよう!!」

 グレンさんは、よいやみの腕を掴むと、嫌がるよいやみを引っ張った。

「離すっす!!もう、修行は嫌っす!!引きずるなっす!!痛いっす!!」

 笑いながら、グレンさんはよいやみを引きずっていった。

 

「みつきさん、この村に宿はありますか?」

「無いよ。でも、うちはじいちゃんと母ちゃんとの三人暮らしだから、部屋が余っているから、そこで泊まれるよ」

「母ちゃん?そういえばお母様はどちらへ?」

「母ちゃんは城下町で働いてるよ。そのうち帰ってくるよ」

「そうですか。それなら、私も少しやりたいことがあるので、ちょっと出ますね」

 いつきさんも、何処かに行ってしまったので、ゆーちゃんと村を散歩することにした。


「ゆーちゃん、何かしたいこととかある?」

 僕と手をつないで歩くゆーちゃんは少し考えてから「まほーおぼえたい」と言った。

 魔法か。

 魔法具屋のおばちゃんなら、ヴァイス軍とも取引あるから、いい案を出してくれるかもしれないと、魔法具屋に向かった。

 魔法具とは、魔石で作られた、魔力を使って使う道具のことで、魔術師が使う道具の杖なんかが、それに該当する。

 基本、どんな人間にも魔力はあるとはいえ、誰でも使えるものでもないので、攻撃用の魔法具は基本魔法職の人しか使うことはない。

 こんな村で魔法具なんて、使うのかといいたいけど、台所で使う火の魔法具、水の魔法具、夜の光に使う光の魔法具、など魔力の少ないものでも使える魔法具も色々ある。魔力流すことで使えるのだが、僕の場合は闘気を流せば何故か使える。

 とはいえ、闘気を編み出すまでは使えなかったのだが。

 闘気で使えたときは、闘気とは魔力の事なんだと勘違いしたものだ。


「僕は魔力が無いから、魔法を覚えるというのは、判らないけど魔法具ならいいのあるかもしれないし、行ってみようか」

「うん」


 村で唯一の魔法具屋に入った。

「おばさーん、いる?」

 店の奥から、ふくよかな体をしたおばさんが出てきた。

「あれまぁ、みつきちゃん。帰ってきてたのかい?そうか、外が騒がしいと思ったら、みつきちゃんと村長か」

 帰って早々、申し訳なく思う。

「で?今日はどうしたんだい?つきのに何か頼まれたかい?」

「つきの?」

「僕のお母さんの名前だよ」

「おや?その子は?な、なんだい!?その凄まじい魔力は!?」

 おばさんが、ゆーちゃんを見て驚いている。

 おばさんは、ゆーちゃんをじっと見る。

「両目の魔眼にこの魔力」

 おばさんは、少しゆーちゃんをうっとり見つめた。

 いや、ゆーちゃんは渡さないぞ!

 僕がゆーちゃんを隠そうとすると「違う違うよ。私達、魔法職の憧れなんだよ、その子は」と言い、ボソッとこう言った。

「まさか、生きて会えるとはねぇ。無限の魔力の持ち主と・・・・・・」

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