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みつきとじいちゃん

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 僕達は、何もない平原を歩く。村の方向は、判るから大丈夫なのだが、よいやみの様子がおかしい。

「どうしたの?そんなに周りを警戒して」

 何をそんなに警戒してるんだろう?この、まとわりつくような魔力は、魔大陸では普通なのに。

「いや、普通じゃないっすからね。魔大陸に入ってから、この鬱陶しい程まとわりつく魔力はなんすか!?こんな魔力濃度の濃い場所で、本当に人が生活出来るんすか?」

 全く失礼な話だ。僕はこの大陸で産まれ成長し、生活してきたと言うのに。

「成る程。みつきさんが自分の強さを、理解できない気持ちも判りますね。魔力濃度が濃すぎて、感覚が麻痺してるんでしょうね」

 そこまで言うかな?魔力濃度とか知らないし。

 ゆーちゃんは、あれ?なんか艶々して、気分良さそう。

 ほら見たか!ゆーちゃんは純粋だから、魔大陸は住みやすい筈だよ。

 僕がゆーちゃんをニヤニヤしながら、抱き寄せていたら「まーた、ゆっきー病の症状がでたっす」と言われた。


 進行方向にゴブリンが二匹いる。

「ほら!!弱そうなゴブリンもいるでしょ!?」

 僕が、ゴブリンを指差したら、よいやみといつきさんが驚愕していた。

「なんすか!?あのゴブリン!?」

「あれが、魔大陸の名前の由来の魔物ですか。確かに、あれなら王都を落とせるでしょうね」

 え?なんで、そんなに驚いてるの?

 ゴブリンは僕達に気付き、襲いかかってきた。

 僕は、剣を出して一匹の首を落とす。

 よいやみの方を見ると、ゴブリンの首を蹴って、へし折っていた。


 楽勝だね。

「ほら、弱いでしょ?」

 僕がどや顔してると、よいやみが疲れた顔で「いや、結構マジで攻撃したっすよ?」と言っていた。

 

 よいやみが言うには、蹴りの前に殴ろうとしたら、急所を外されたと

、咄嗟の蹴りには反応できてなくて良かったと、言っていた。

 いつきさんに聞いてみたら、動きが普通の魔物と思えないほど速かったと。

 そんな馬鹿な?

 

 いつきさんが、ゴブリンの死体を見て、僕を呼んだ。

「みつきさん、浄化の灰を掛けてみれば、ここのゴブリンがおかしい理由が、判りますよ」

 僕は、ゴブリン程度に浄化の灰なんて勿体無いと言ったけど、いつきさんが是非というので、掛けてみた。


 んぅ?金色の魔石と銀色の骨が残った。ゴブリンの場合は、くず魔石と汚い骨の筈なのに?

「いつきさんが魔石を手にして、ゴールド魔石とミスリルの骨、これだけで数百万ルーツですね」

 いつきさんが言うには、女神様の話では、魔物にもランクがあるらしく、ランクに応じて魔石が手には入るらしい。

 このゴブリンの魔石はゴールド、つまりゴールドランク。

 確か、冒険者ギルドのランクでは優秀な冒険者って・・・・・・

 えー?ご、ゴブリンなんて家畜のエサにしかならないと思ってたのに一攫千金できたのか。


「みつきさん、村までどのくらいあります?」

「もうすぐだよ。ゴブリンがいたということは、ゴブリンの集落が近くにあるということだから、うちの村も近い筈」

「そうですか」

 そう言って、足元の草を引き抜いていた。

 何をしているんだろう? 


 しばらく歩くと、平凡な柵で囲まれたうちの村が見えてきた。

 うちの村の唯一の出入り口に、門番のおっちゃんがいる。


「おっちゃん!!久しぶり!!」

 僕はおっちゃんに向かって、手を振る。

 おっちゃんは、こっちを見たあと、手を振りながら歩いてきた。

「みつきちゃんじゃないか!!聞いたぞ?勇者になったんだって?」

「うん。じいちゃんのせいで選ばれた」

「あのじい様は、勇者に並々ならぬ憧れをもっているからなぁ」

 おっちゃんが、よいやみ達を見る。

「嬢ちゃん達が、みつきちゃんの仲間かい?何もない村だがゆっくりしていくといい」

 いつきさんが、コソッと取り出した、魔宝玉を見て驚愕していた。

 

 村に入った僕達は、村長であるじいちゃんに帰ってきたことを、伝えるべく家に帰ることにした。


 途中、近所のおばさんやおじさんに会って挨拶などをしながら、約半年ぶりくらいの家に着いた。


「な、なんて殺気すか!?」

「何故みつきさんの家に、貴女にたいして殺気を放つ者がいるんですか!?」

 二人は僕のじいちゃんに会ったことがないから、あの人の頭のイカれ具合を、知らないのは当然だ。

 僕にとっては、こんなの日常茶飯事だ。


「みつきぃ───!!」

 家の扉を壊してきた、僕は冷めた目で、聖剣を取りだし、闘気を込めて迎撃にでた。

「いちいち、扉を壊すなぁ!!」


 じいちゃんの魔力を込めた拳と、僕の闘気を込めた聖剣がぶつかり合う。

 衝撃波のようなものが、僕達から発生する。

「何故、帰ってきた?勇者の使命はどうした!?」

「やかましい!!仕事で帰ってきたんだ!!お前みたいに勇者に憧れるだけの、ボケ老人と一緒にするな!!」

「なんじゃと!?」

「なんだよ!?」

 僕とじいちゃんは、力を入れながら、睨み合う。


 じいちゃんが逆の手を繰り出してきた。

 僕は、攻撃を避けようと後ろに跳んだ、じいちゃんはこれは好機と、蹴りの動作をとった。

 残念だったな!!僕はそれを待ってたんだ!!

 じいちゃんの蹴りが放たれる瞬間に、僕は最速でじいちゃんを斬った!!

 じいちゃんは、家に向かって吹っ飛ぶ。

 良し!!勝ったぞ!!


「僕の勝ちだ!!」

「いやいやいや!?なんで、あの爺さんはみつきに襲いかかったんすか!?何で、当然のように斬ってるんすか!?」

 え?何を驚いてるの?こんなのいつもの事だよ?

 その証拠に、近所の人達は「今回はみつきちゃんの勝ちか」「みつきちゃんの攻撃に耐えられる武器が手に入ったんだな」「なんだ、もう終わりかよ」「みつき姉ちゃんのかちー!!」だとか、すっかり見世物気分だよ。


「お、お爺さんは大丈夫何ですか!?」

 へ?あの程度で、死ぬわけないよ?あれでも、村で一番強いから。

「いてててて、みつき、その剣は聖剣か?」

 ほら、普通に無傷だし。


「ここは、化け物の村っす」

 よいやみが、ボソッと呟いていた。

 

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