魔大陸の真実
王様からの依頼で、魔大陸に行くことになった僕達だが、肝心の魔大陸の場所が何処にあるのかが判らなかったので、店の控え室で地図を広げてみた。
「ってか、なんでみつきが知らないんすか?」
よいやみに痛いところをつかれたが、よく考えたら、僕はくじ引きで飛ばされたんだから、自分のいた大陸の場所なんて、知らなくて当然だ。
「僕はよいやみと違って、ただの村娘だったんだよ?自分が住んでいた大陸の場所なんて知らないよ。そもそも、地図見ても、王都の場所すら判らないし」
僕が地図をジーっと見ているのを、よいやみは呆れた顔で見ていた。
「みつきはあれっすよね。あしらとパーティ組んでいて良かったっすね」
どういう意味だ?
「パーティ組んでなかったら、どこかで迷子になってそのまま・・・・・・」
「微妙に怖い事言うの、やめてくれるかな」
僕達は、そのあとも魔大陸の場所を探すべく、地図を見ていた。
「地図なんか見てどうした?」
「あ、お父さん!魔大陸ってどこ?」
地図をじっと見ていると、いつきさんの父親のゲンさんが部屋に入ってきた。
「なんだ?魔大陸に行くのか?」
いつきさんが、ゲンさんに陛下の依頼で魔大陸に行くことになったことを話した。
ゲンさんは、ひとつの小さな大陸の指差して「ここだ」と教えてくれた。
「思ったより、小さい島っすね。大陸じゃないじゃないっすか」
僕もそう思った。僕の住んでた島はこんなに小さかったのか。
「この小さい島が魔大陸と呼ばれている理由はな、この島の魔物や魔王軍で、世界を滅ぼせる程の戦力を持っているからと、言われている」
流石にそれは言い過ぎだろう。
僕は一人で笑っていたが、皆の僕を見る目が優しかったので、恥ずかしくなった。
「しかし、俺が行くのはいいが、お前達が行くとなると心配だなぁ。勿論、よいやみちゃんやみつきちゃんが、俺よりも遥かに強いのは知ってるがなぁ」
「魔大陸の魔物はどれ程の強さなんすか?」
よいやみが、興味津々な顔でゲンさんに聞いていた。僕に聞けば良いのに。
「僕がおもう「みつきには聞いてないっす」・・・・・・」
酷い。
僕が教えようとしたら、拒否された。
僕は魔大陸出身だから、少しでも有益な情報を、教えようと思ったのに。
「みつきは、自分の強さすら判ってないのに、魔物の強さを計れるわけないっす」
酷い言われようだ。
ある程度の強さは判るのに。
「強いなんてものじゃないぞ。あの大陸の一番弱い類いの魔物は、この大陸ではトップクラスの強さだ」
「う、嘘だ!!弱いゴブリンもちゃんといるもん!!」
これは事実だ。
ゴブリン達が縄張りを広げるために、うちの村に喧嘩を売ってきたことだってある。
当然、村人の皆が力を合わせて、ゴブリン共を駆逐したけど。
「みつきちゃん、あのゴブリンとこの辺のゴブリンを一緒にしちゃダメだ。アイツら見た目と脆さは、弱いままだが、その他の強さは桁が違う。あんな連中が王都に攻めてきたら、二、三日で王都を奪われるだろうな」
そんな馬鹿な?うちの村人は簡単に倒していたよ?
「村にいけば、さらに驚く。見張りの門番が、この国の英雄レベルだ」
「いやいやいや!!あのおっちゃんは娘のことになるとおかしくなる、ただのおっちゃんだよ!?」
「なんだ、みつきと同じじゃないっすか」
「同じってどういうことだ!!」
「ゆっきー病の症状と一緒って意味っすよ」
ぐ、ぐぬぬ。
「まぁ、行ってみれば俺の言ってることが正しいのが、すぐに判るよ」
ゲンさんは、魔大陸に入る方法を教えてくれた。魔大陸には魔物を外に出さないための、巨大な結界があるそうだ。その結界を抜けるのが魔大陸に行くための行程で、一番危険な行程だそうだ。
そんな話、初めて聞いたんだけどね。
魔大陸ってそんなにおかしいの?
僕が軽く凹んでいると、店先の方に誰かが来た。
「客か?」
そう言ってゲンさんは店の方に戻った。
「あら、ゲンさん。この店に、みつきちゃんがいると聞いたのだけど」
聞いたことのある声がしたが、あの人がここにいるわけない。
僕は、店の方に顔を出してみると、そこにはアリ姉の親友であるハインさんがいた。
ハインさんはメイド服を好んで着ていて、ピンクの髪の上位魔族だ。
「ハインさん!!」
「みつきちゃん、久しぶりね」
「どうしてここに?」
「占い師で老害のゴンザレスが、みつきちゃんが魔大陸に戻ると、占いで出たと騒いでいたので、アリスが「妹とお友だちに長旅なんてさせたくない」と、私に迎えに行くように言ったのよ」
「ということは、転移魔法で行くことが可能と言うことですか?」
「えぇ。私が村の近くまで送るわ。そこから先は、観光でもしながら城に来てほしいそうよ」
僕達にとって、かなり嬉しい話だ。
地図を見る限り、片道だけで一月近くかかる。
その行程を無くせるのは、かなりありがたい。
僕達は、最低限の準備だけしてハインさんと町の外に来た。
「さて、私はみつきちゃん達が王都にいない間、バカンスを楽しみながら王都を守護するわ。みつきちゃんなら、私の強さを知ってるでしょ?安心してゆっくりしてきてね」
僕達の足元に魔方陣が浮かび上がる。
「じゃあ、いってらっしゃい」
ハインさんがそう言うと、魔方陣が光った。
僕達は、眩しくて目を閉じた。
目を開いたら、懐かしい匂いのする、平原に立っていた。
「凄いですね。私の空間魔法に匹敵します。みつきさん、あの人強いんですか?」
「ヴァイス魔王城のなかで、五本の指に入る強さだよ。僕に剣技を教えてくれた人でもある」
僕がそう言うと、よいやみが「王都は、あしらがいるより安全になってるっすね」と言って、皆が頷いていた。
僕達は、絶望の村に向かって歩き出した。




