王様の依頼
固まっている、よいやみは置いておいて、王様の話では、東の大陸に魔導大国ガストという国があるそうだ。
五年程前に、国交を結ぶために魔導大国まで行った事があってそこで、当時は普通のお姫様だった、よいやみに会って挨拶したらしい。
よいやみは、ガスト王の子供達のなかで一番下の子ということもあり、親兄弟みんなから可愛がられてたそうだ。
僕は、よいやみをチラッと見て、何でこんなのになったのかなぁと疑問に思った。
当時の事を聞こうと、よいやみを現実に戻すことにした。
現実に戻ったよいやみは「バレてしまったっす」と頭を抱えていた。
よいやみは、気まずそうな顔をしている。
よいやみの話では、今は王家からは除籍されているため、魔導大国とは関係のない、ただの冒険者ということになっているそうだ。
「しかし、ガスト王の溺愛っぷりは、話を聞いていた俺達でも、引くくらいだったのに、よく除籍なんてことをガスト王が許したな」
「あしを、嫁に出したくないのと、たまに帰るという条件で除籍にして貰ったっすよ。そもそも、第六王女なんて、他国、もしくはうちの国の貴族に嫁に出すくらいしか、役に立たんっすからね」
お姫様はお姫様で大変なんだなと、これからは多少敬っていこうかな?
「よ、よいやみ様?」
「だから、そういうのをやめるっす!!」
敬ったら、怒られた。
しかし、五年前に会っているのなら、覚えてそうだと思うけど、覚えてないのかな?
「あの頃は、いろんな人に毎日のように会ってたっすから、いちいち覚えていないっすよ」
これって不敬罪になったりしないのだろうか?
「あと、あしは物覚えが悪かったっすからね」
それなら、仕方ないか。
「いや、仕方なくは無いだろう。王族に生まれたらには、色々な人に会う、人の顔を覚えないと失礼にあたるだろう?」
「だから、あしは王族をやめたんすよ」
よいやみの言い分もなんとなく判るが、王族ってそんなに簡単にやめれるんだろうか。
王様は呆れた顔になり、溜め息を吐いてこの話は終わった。
「黒姫一行、お前ら俺の依頼を受けてくれないか?」
王様からの依頼か・・・・・・あまり、良い依頼じゃなかったら断りたいんだけど。
依頼の交渉は、いつきさんに任せてあるし、どう答えるかはいつきさん次第かな?
「話だけ聞きますよ?私達にメリットがない場合は、お断りさせて貰います」
流石はいつきさんだ、王様相手にも、自分の主張を言う。
王様は軽く溜め息を吐いて「みつきにとっては、メリットはあると思うぞ?」と僕を見た。
僕にメリット?
僕にとっての幸せはゆーちゃん関連だけなんだけど、ゆーちゃんが喜ぶことなんだろうか?
「陛下、みつきはゆっきー病だからゆっきー関連じゃなきゃ、喜ばんっすよ」
また、ゆっきー病って言われた。
「ゆっきー病ってなんだ?」
「みつきはゆっきー、ゆづきが関わること以外では、喜ぶとかしないんっすよ。つまり、陛下の言う依頼にゆづきが絡んでないと、みつきにとってはメリットなんてないんすよ」
て、丁寧に説明された。なんか、恥ずかしい。
「ゆづきが関連じゃないけどな、みつき達、特にみつきに行ってほしい場所がある」
僕に?
「魔大陸、絶望の村に里帰りしてほしいんだ」
「お役御免ですか?喜んで、引退しますけど」
別に好きで、勇者になったわけじゃないから、やめて良いならいつでもやめるんだけど?
「違うわ!お前ほどの奴を簡単に手放すわけ無いだろう!!」
ん?それは即ち、いつまでもこきつかうつもりなのか?
「冗談はそれくらいにして、みつきさんに里帰りさせるのが、何故、陛下からの依頼になるのですか?」
いつきさん?冗談じゃなくて、いつまでもこきつかわれるかも、しれないんだよ?大問題だよ?
「今回、お前達が捕まえてくれたフォズは、ティタンの腹心だった奴だ。アイツが負けたことで、ティタンがどう出てくるか判らない以上、出来るだけ早く、魔王アリス殿との同盟を組みたい。そこで、みつきに会談の日程についての書簡を、渡すのを頼みたいんだ」
書簡か。
王様同士の話し合いとなると、口約束で簡単にとはいかないわけか。
いつきさんも、納得してるみたいだし、僕一人で行くことになるだろうから、問題ないかな?
「みつきさん?もしかして、一人で行こうとしてませんか?」
「ここから、魔大陸まではかなりの距離があると思うよ?暫く、オフとかなくなるよ?」
「ゆーちゃんはみーちゃんについていく。ここにいても、みーちゃんがいなきゃ、ひま」
「あしも付いていくっすよ。魔大陸で、強い魔物がいるらしいっすから」
みんな、付いてきてくれるんだ。僕は少し感動していたら「いや、陛下は、黒姫一行に依頼してるのでみんなで行くのは当たり前ですよ?」と、いつきさんがその感動をぶち壊してくれた。
「出来るだけ早く出発してほしい。さっきも言ったが、ティタンがどう動くか判らない」
「先に、報酬を聞きたいんですが?」
いつきさんが気になるのは、やっぱりそこかな?
「みつきの里帰りなんだ、これくらいで」
「他を当たってください。みつきさんには、ゆづきちゃんを横に置いておいて、満足して貰いますので」
「お前は鬼か!はぁ、冗談だよ。本当はさっきの百倍だ」
報酬額に満足したのか、いつきさんがニコッと微笑んだ。
「まさか、元の百分の一の金額で行かせれたらなぁ、とでも思ったんですかぁ?」
いや、満足してなかった。かなり怒っている。
しかし、王様相手に凄い強気の交渉だなぁ。
「わかったよ。さらに三割増すよ」
「判りました。受けますよ。準備があるので、私達はこれで失礼しますね」
僕達は、いつきさんに言われるがまま部屋を出て、ギルドを後にした。
「かなりの儲けですよ。王族相手でも、吹っ掛けてみるものですね」
「はたから見てても、かなり怖かったっすよ。もし、陛下が怒ってたら、どうするつもりだったんすか?」
「え?別に国にいれなくなったら、魔大陸に住めば良いじゃないですか」
そこまで、考えて強気の交渉してたの!?いつきさん恐ろしい。
「ともかく、長旅になるので、準備はしっかりしましょう」
僕達は、準備をするために、いつきさんのお店に戻った。




