聖女の力と権力
ギルドマスターのオルテガさんに食事を奢って貰った後、暫くマッタリとしていたら、部屋にリリアンさん、王様、シドさんと屈強そうな男の人が入ってきた。
「ギルマス、陛下をお連れしました」
「おう、オルテガ久しぶりだな」
王様は気軽に挨拶をしている。他の国は知らないけど、王様ってこんなに、軽いものなのだろうか?
「レオン、その隅で転がってる奴だがな、見覚えあるだろう?」
王様はフォズをチラッと見た。
というか、オルテガさん、王様を呼び捨てしていいの?
そうリリアンさんに聞いたら、昔からの悪友だからいいそうだ。
「馬鹿兄貴に仕えてた、四馬鹿の一匹だろ?」
「き、貴様!!ティタン様を馬鹿だと!?」
転がりながら、よく反論なんて出来るな。自分の立場、判ってないのかな?
「馬鹿だろ?無能な国の運営をして、反乱起こされて、殺されてもまだ、自分がアホと気付かないんじゃ、馬鹿と言われても仕方ないだろうが」
王様が、屈強な男の人に何かの指示を出した。
男の人は、唇をなめてフォズに近付いた。
「や、やめろ!!そ、そいつは・・・・・・!!」
僕達が、フォズを見ていると、シドさんが前に現れて「年頃のお嬢さんがたが、見るものではありませんよ」と言われた。
その後、フォズは男の人に連れていかれた。
「早く入れ!!くそババア!!」
廊下が何やら騒がしい。ってか、この声はいつきさん!?
いつきさんは、食事の途中に用事があると言って、席を外していたが、いつもの口調と違ってかなり荒々しい。
部屋に入ってきた来たのは、ロープで逃げられないように、ぐるぐる巻きにされた、お婆さんと、二人の若い女の人、それと鬼のような笑顔のいつきさんだった。
「おい、それは教会のトップのシスタークリスじゃないのか?」
王様が、恐る恐る聞いてきた。
「そうですけど、トップではないですよ?歳で聞き分けが無いから、無理矢理来て貰ったんですよ?」
「は、離せ!!私を誰だと思っているのですか!?」
「お前はシスター、私は聖女、つまり、私の方が立場は上。判るかな?」
「あ、貴女を聖女とは認めていません!!」
「別にお前に認めて貰う必要なんてないの?判るかな?おばあちゃん?」
シスタークリスは悔しそうに、歯ぎしりをしていた。
「お前のような、守銭奴が聖女な訳ないじゃろうが!!」
それは、僕達も思うが、いつきさんは聖女じゃなくても、何も問題は無いと思う。
「確か、黒姫一行の聖女いつきだったな。何故、シスタークリスをここに連れてきたんだ?」
「五百年前の勇者アインの出来事の他にも、教会は色々隠しているのでそれを、陛下の言葉で公表して貰おうと思いましてね」
「ふざけるでない!!貴様、守秘義務と言うものすら知らんのか!?」
シスタークリスがそう怒鳴ると、いつきさんは「教会の秘密とやらで、教会がどうなろうと知ったことじゃないですよ?」と笑顔で言っていた。
「そうだ、えりかさん。この資料を陛下に渡してください」
「判りました」
いつきさんに付いてきた一人が、いつきさんから資料を受け取って、王様に渡そうとする。
「えりか!!お前は、今までの恩を忘れおって!!」
シスタークリスが、えりかさんに怒鳴ると「貴女からは、理不尽な仕打ちしか受けていません。影から私達を守って下さったのは、いつき様です」と言い、王様に資料を渡す。
王様は、その資料を見ると、どんどん怒りの表情に変わっていく。
「いつき、これは事実か?」
「さぁ?私は聖女に選ばれましたけど、基本的には商人ですからねぇ。ただ、税金を払ってる者としては、それは許せない事ですよねぇ」
王様は、汚いものを見る目で、シスタークリスを見下した。
「おい、お前は教会を隠れ蓑にして、随分好き勝手やっていたみたいだな。金に関しては、まだいいが勇者リュウトの凶行も、お前が裏で糸を引いていたのか!?」
え?じゃあ、リザードマンを虐殺させるように、仕組んだのはシスタークリスなのか!?
「後で、しっかり話を聞かなければいけないな。オルテガ、職員か冒険者を貸してくれ。この婆さんを連行する」
「わかった。リリアン手配してくれ」
「はい」
リリアンさんは、一度部屋を出ていき、冒険者らしき人を二人連れてきた。
「私に触るな!!私は教会のトップだぞ!?」
シスタークリスは暴れようとしたが、そこは冒険者がしっかり押さえられていた。
「シド、一度その婆さんを城に連行しに行ってくれ」
「判りました」
シドさんは冒険者達と、シスタークリスを城に連行するために、部屋を出ていった。
王様は、オルテガさんの隣に座った。
「さて、話を聞こうか?」
いつきさんが、遺跡で何があったかを王様に説明してくれた。
「一気に色々ありすぎたな。頭が追い付かねぇ」
王様の気持ちは良く判る。僕も正直、話についていけない。
ゆーちゃんは、僕にもたれかかって寝ているし(かわいい)、よいやみも良くわかってないのか、首を傾げている。
「しかし、五百年前の勇者に会うか。普通なら信じられんが、目の前に聖剣があると、信じないわけにはいかないな」
王様は、テーブルの上に置いた聖剣をじっと見ていた。
「国が持っていた方がいいなら、渡しますけど」
僕には、大きすぎる力だし、何よりアインから託されたとはいえ、確か聖剣の所有権は国にある筈。
僕が、そう説明すると王様は呆れるように「国が所有している聖剣はバトスが持っている。その聖剣は遥か昔に所在不明になっている、それに聖剣が、お前を所有者と認めているのなら、お前が持つのが一番だ」と言っていた。
「ところで、お前は聖剣を鞘に入れているんだな」
ん?鞘に入れないで持って歩いてたら、僕は危険人物だよね?
「いや、そうじゃなくて、聖剣は独自に空間魔法を持っていて、そこに収納出来るんじゃないのか?」
「え?そんなこと出来るんですか!?」
そんなこと初耳だ。
聖剣を持つのも初めてなのだから、当たり前だけど。
「どうやるんですか?」
「バトスの話だと、消そうと思えば消せるらしいが」
本当に、出来るんだろうか。僕は聖剣を持って、消えるように心で念じて見た。
聖剣はパッと消えた。
今度は出そうと念じてみたら、手に持っていた。
な、なんて便利なんだろう!?
「本当にどんどんと危ない兵器にになっていってるっすね。みつき」
し、失礼な!!
よいやみとそんなやり取りをしていると、王様がよいやみを見て、首を傾げていた。
「よいやみって、魔導大国の第六王女だよな?」
まさかー。よいやみがそんな大物な訳って・・・・・・
よいやみの方を見ると、完全に固まったよいやみがいた。
書き上がり次第投稿します




