魔将フォズ
「ようこそ、私の城へ」
手を胸にあてお辞儀して、挨拶をしてくる。
「私のかわいい、人造魔物をことごとく殺してくれたことの、お礼をしたいと思う」
何言ってるんだ?けしかけてきたのは、そっちだろうに。
それより、コイツのこの感じは間違いなく人間。でも、何故か違和感がある。
「しかし、お前達は見所がある、共にティタン様に仕えないか?お前達の戦闘能力に空間魔法、我々ならば有効に使えるだろう」
有効に?コイツ、何言ってるんだ?
国を追われて、逆恨みしているバカな無能に使われるなんて、御免だね。
「ティタン様は弟に謀れて、その地位を失った!!本来ならばあの国はティタン様の物だ!!」
「無能だっただけでしょ?」
「ティタン様を無能だと!?愚かな!?ティタン様は我々に素晴らしき力を授けて下さった!!」
「授けた?貴方が即死魔法を受けたにも関わらず、生き返ったのもそれに関係あるのですか?」
「はぁーはっはっは!!!」
フォズは顔に手を当てて、高笑いを始めた。
「知りたいですか?」
フォズは両手を大きく広げて。
「これは、ティタン様から頂いた命!!私達、幹部は幾つもの命をティタン様の魔法により、与えても頂いたのだ!!」
それを聞いたいつきさんの顔つきが変わった。明らかに怒っている。
「貴方の命は、罪もない人の命でしょう。私も禁術の全てを知っている訳じゃありませんけど、確か、他人の命を吹き込む魔法があったはず」
な!?
つまり、コイツが貰った命の数だけ犠牲者を出していたのか!?
ティタンは過去にも、魔導実験で犠牲者を出していた筈。
「そうだが?それがどうかしたか?」
「ティタンが使っている魔法は禁術です。つまりはいつかは時の番人の裁きを受けますよ?」
「禁術?そんなもの誰が決めているのだ?偉大なるティタン様が使用している以上、禁術ではないのだよ!!」
「戯れ言を・・・」
「しかも、時の番人?そんなもの我々にとっては恐ろしいものでも何でもない!!ティタン様のお力を持ってすれば、時の番人などとるに足らない者なのだ!!」
「話すだけ、無駄のようですね」
いつきさんが、詠唱を始める。
「いつき、待つっすよ」
よいやみが、いつきさんを止めた。
「なんですか?」
「あしが、戦うっすよ。いつきの魔法は多分対策されてると思うっすから」
対策か。
確かにあの魔法を見せられたら、何らかの対策をとるのは当たり前だ。
「我々の仲間にならぬと言うのなら、生かしてはおけん!」
フォズの魔力が、高まっていく。
この魔力の上がり方は、リュウトの時と同じ、魔物変化症か!?
「ティタン様から頂いたこの力にきょうぶっ!?」
フォズの頬によいやみの拳がめり込む。
「ぶぼぼびぼぞぼ?!!」
上半身を連続で隈無く殴る。
「や、め」
よいやみは表情を変えずに殴る。
殴る。
殴る。
殴る。
最後に頭を掴んで、床に打ち付ける。
「なんすか?全然、大したことないっすね。終わりっすか?」
そう言って、フォズを蹴り飛ばす。
「ぐべ、べべ、ば」
フォズは、這いずりながら逃げようとしている。
その時。
「はなせ」
ゆーちゃんがフォズに捕まった!?
なんで?そこで這いずっているのに!?
「ははは!!私には幾つもの命があると言っていただろう!!身体をもう一つ造れば、命を分けることも可能なのだ!!」
「はなせ」
「ガキ!!うるさい!!」
フォズがゆーちゃんの首を絞めた?
コイツなにやってんの?
なにやってんだ?
ゆーちゃんの首を絞めていたフォズの両腕が斬り落とされた。
勿論、斬ったのは僕だけど。
僕はゆーちゃんを抱き上げて、フォズから離れる。
ゆーちゃんをいつきさんに預けて、フォズを斬りに行く。
フォズは自分が何をされたか、まだ理解出来ていないようだ。
が。
理解できた頃には、上半身と下半身は離れている。
更に、首を落とす。
「くたばれ・・・・・・」
落とした首を、闘気を放出させながら叩きつける。
頭は完全に消滅した。
「あぁ、完全に消滅させれば、この世から消せるよね」
別に生かしておく必要は無いよね?
あとは、這いずっているのは?
「よいやみ、もう一匹どこ行った?」
「あれ?みつきが怖すぎて見てたら、逃げられたっす」
失礼な。かわいい妹を傷つけられたら、相手を殺すに決まっているでしょうに。
「それは、ゆっきー病にかかってる、みつきだけっすよ」
誰がゆっきー病だ。
ところで、フォズはどこに逃げたんだ?
「ぎゃああああああああ!!!」
突然、フォズの叫び声が聞こえた。
ズルズルと音をたてながら、何かがこの広間へと来る。
「ここは、どこだ?」
キョロキョロしながら、現れたのは、銀の髪をした青年。
何故こんなところにとは思ったが、顔色を見るとおそらくは、人間ではないと思う。
その手には、聖剣と思われる剣を持ち、逆の手には、ぼろ雑巾のようにボロボロになったフォズを掴んでいた。
「君達は誰だ?俺は勇者アイン」
顔色の悪い青年は、自分の事を勇者と名乗った。




