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遺跡二階層2

 ばあちゃんが案内してくれた先に広間があり、二十代前半くらいの美人さんと、金髪をオールバックにした立派な鎧を着たおじさんが木に寄りかかって座っていた。

 よしおは何かを警戒しているようだった。

 このおじさんが、勇者バトスだろう。かなり重症だ。

「こやつがバトスじゃ。バトス傷の具合はどうじゃ?」

「だいぶ良くなった。これで探索を続けられる」

 この人は、まだクエストを続行しようとしているみたいだが、体力的に限界じゃないんだろうか。

 ばあちゃんと僧侶のお姉さんは無傷な所をみると、きっと戦士と二人で守っていたのだろう。

 あの、よしおという戦士も、怪我と疲労がみてとれる。

「バトス様、その怪我ではもう探索は無理です」

 僧侶のお姉さんが、ふらつくバトスさんを支える。


 僕は今はバトスさんよりもよしおが気になってしょうがなかった。

「みつき、どうしたっすか?あのよしおっておっさんをジッと見て。あれが好みなんすか?」

 よいやみをとりあえず、叩いといて「痛いっす!!」よしおの見ている理由をよいやみに話した。

「そんなわけないでしょ!あのよしおって人さ、何をあれだけ警戒しているんだろうと思ってね。あの人達も生体関知くらい出来るでしょう?」

「どうなんすかね?あしは、あまり強そうに見えんっすけどね」

「あんたが、木の壁を破壊しながら進んでいる時に、僕達に気付いて出てきたじゃない」

「音で来たんじゃないっすか?」


 ボソボソと、二人で話していると

よしおが急に叫んだ。

「ヘルハウンドに囲まれている!!」


 僕はよしおの言葉を疑った。生体関知でなにもいないとおもっていたからだ。でも、よしおの視線の先にヘルハウンドがいた。

 ヘルハウンドは狼に似た魔物だ。ただ、少し炎を纏っている。

「!!?」

「いつの間に来たっすか?気付かなかったっす」

 よいやみは少しショックを受けているようだった。

「ここの魔物は生体関知に引っ掛からないんだ。くそ!?はる様!?バトス様を頼みます!!」

「お、俺も戦う!」

バトスさんがよろよろと立とうとする。


「今からお話しするので、その魔物は邪魔です。みつきさん、よいやみさん、ちゃちゃっと殲滅してきて下さい」

 いつきさんが、ボソッと言った。

「了解っす」

「わかったよ」

 僕とよいやみは、ヘルハウンドに向かっていった。

 ヘルハウンドは見た感じ数十体。

「よいやみ!あんた右!僕左!」

「オッケーっす!」

 僕達は左右に別れた。

 ヘルハウンドは僕達二人にそれぞれ襲いかかる。

 ヘルハウンド程度なら、闘気を纏わせなくても斬れるようだ。

 弱い!!数だけだ!!

 よいやみにとっても、同じらしくヘルハウンドを、殴って蹴ってを繰り返し、一匹一撃で仕留めている。素手で殴っているが、熱くないのだろうか?と思っていたが、一応魔力を込めているようだ。

 

「終わったっす」

 僕も剣を鞘に仕舞う。

 僕達の周りには、ヘルハウンドの死体が転がっていた。

「浄化の灰を掛けるにも数が多いっすね」

 よおやみがそう言って、道具袋から浄化の灰を出そうとしていると、ヘルハウンド達が砂になって崩れた。

「これは、リュウトの時と一緒っす。戦利品無しっすか?」

「みたいだね。作られた魔物だから生体関知にも引っ掛からなかったのか。厄介だね」


 よいやみが灰を蹴っているのを、バトス一行は驚いた顔で見ていた。

 ばあちゃん一人は、あまり驚いてなかったみたいだけど。


「お前ら一体」

「あれが、黒姫じゃよ」

「そうか、あれが・・・・・・あの強さなら、俺以上と言われても納得できる・・・てか、あの金髪の嬢ちゃんも同じくらい強いと思うんだが」

「あの娘も、ランクはお前と同じくオリハルコンじゃよ」

 バトス一行は更に驚く。

「さて、私達は貴方達パーティの救出に、この遺跡に出向きました」

「俺達は、陛下の依頼でここにいる。簡単に帰るわけにはいかない」

「ふむ、でも、その体じゃこれ以上の探索は不可能です。申しわけありませんが、ここで強制的に帰ってもらいます」

「し、しかし!?」

「貴方達は、国にとっても大事な方々です。無理に戦われて、死なれる方が迷惑なんですよ」

「貴女!?バトス様に何て口を!?」

 僧侶のお姉さんが怒っている。

「私も戦闘能力は低いですが、ランクだけで言うなら、バトスさんと同等のオリハルコンです。でも、国にとっての重要度は貴方達の方が、上なんですよ?死なれる方が迷惑でしょう?」

 国にとっての重要度なら、聖女であるいつきさんも、大概だと思うのは僕だけだろうか?


「この遺跡の探索、というより処分は私達が引き継ぎますよ。ギルドからの依頼になっていますので」

「バトス」

「あぁ、わかった。みんな戻ろう」

 バトスさんは引き返そうとするが「私が送りますので固まってください」とバトス一行を一ヶ所に集まらせた。

「転移魔法を使いますので、動かないで下さいね」

 いつきさんが、そう言うとバトス一行が光の中に消えていった。


──────────────────────


 俺達は困惑していた。

 はるも、信じられないものを見たといった気分だろう。

 転移魔法は、魔方陣を設置しないと発動すらしない、神の領域と呼ばれる超上級魔法の一つだ。

 それを、単独で、しかも無詠唱で使った?なんなんだ、あの娘は?

 

 俺達は、ギルドに転移されたあとギルマスによって、治療院に運ばれた。

 俺達は四人の並ぶように別寝かされていた。


「はる、あれが女神に選ばれた勇者か?」

「そうじゃよ。わしは黒姫だけが強いと思っていたが、パーティ全員がわしらとは別次元の強さを、持っておる」

 勇者黒姫、みつきはまだ本気を見せてないだけでなく、勇者や上位の冒険者が到達する《覚醒》をまだ起こしていない(俺は覚醒してオリハルコンになったんだがな)そうだ。

 ゆづき、ギルドにいるものなら知らないものはいない、気分で即死魔法、甦生魔法を使う超危険人物。

 よいやみ、この娘も明らかに本気をだしていないし、《覚醒》もまだだろう。あと、この娘はあの魔導大国の第六王女じゃないのか?

 最後に聖女いつき、神聖魔法をあまり使わないらしく、その力は未知数だが、あの転移魔法だけでも充分異常だ。

 はるから、四人の特徴を聞いたが、正直信じられはしないが、俺達でもあの数を捌くのは時間もかかるし、消耗だってする。

 実際に俺達が、あの場から動けなかった理由があいつらだ。

 それを、ほんの数分、しかも無傷で息すらきらさず一匹残らず殲滅していた。

「はぁ、本当に俺達も、もう引退かな?」

 つい、ため息とともに本音が漏れてしまった。

 

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蘇生の漢字を間違って甦生にしていたけど、意味は同じらしいのでそのままにして、漢字違いのゆづきだけの魔法ということにします。

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