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遺跡

 今回のクエストは、緊急性が高そうなので、いつきさんに報告する。

「みつき、なんか、いつきがリーダーみたいになってるっすよ?」

 いや、だって、僕がリーダーするよりしっかりしてるイメージあるしさ。


「と、いうわけで、勇者バトス救出のクエストを受けました。場合によっては遺跡の調査も引き継ぎます!」

 僕は緊張しながらいつきさんに報告した。

 いつきさんは、笑顔で僕の話を聞いたあと。

「ゆづきちゃんを起こしてきて下さい。私は冒険者ギルドに少し用事があるので」

 そう言って、冒険者ギルドに出掛けていった。

 この一月、いつきさんが冒険者ギルドに報酬の交渉に行くことが多くなった。

 よいやみもこの行動には賛成で、僕だと報酬の交渉が甘いそうだ。


「ゆーちゃん起きて。お仕事だよ」

 今、僕達はいつきさんのお店の一部屋を拠点にしている。僕としては、宿代が浮くのがありがたかった。

 僕達のパーティには回復魔法を使えるものはいないから、あの高い薬草を使うことが多いので、お金は出来るだけ薬草にまわしたいのだ。

 それに、いつきさんが聖女なので、回復魔法を使えることに期待したが、聖女の使う神聖魔法は、浄化や攻撃魔法しかないのはショックだった。


 モソモソと、ゆーちゃんが動き始めた。これが、かわいいんだよ。

「みつき、目が怖いっすよ」

 よいやみに注意された。ゆーちゃんの寝顔を見ると、つい理性が飛んでしまう。

 よし、添い寝しよう。

「添い寝をしようとしないで、早くゆっきーを起こさないと、いつきに怒られるっすよ?」

 おっと不味い、またいつきさんに数時間単位で説教をされてしまう。

 よいやみが呆れた目で見ているが、そこは気にしないでゆーちゃんを起こそう。


 眠そうなゆーちゃんと、手を繋いで店の方に降りてくると、いつきさんが待っていた。

「交渉、上手くいったの?」

「当然です。ギルマスだろうと報酬はキチンと払ってもらわないと。遺跡内での収得物は所有権はこちらで、バトスさん救出後、遺跡探索は私達が続行します。これくらいはしないと、せっかくのオフを取り戻せませんので」


「すいません!こちらに勇者、黒姫様一行はいらっしゃいますか?」

「なんでしょう?」

 いつきさんが対応してくれる。しかし、最近黒姫っていう名前の方が広まりすぎて、恥ずかしすぎるんだけど。


「みつきさん、いつまでも恥ずかしがってないで、そろそろ出発しましょうか?」

「あ、うん」

 さっき来た人は、ギルドが用意してくれた、遺跡までの馬車の御者さんのようだ。移動代が浮いたといつきさんが喜んでいた。

 遺跡までは、王都から一日くらいの場所にある森の中のだそうだ。

 いつきさんの転移魔法で行ければいいのだが、一度いった場所じゃないと行けないそうだ。

 よいやみが使えないっすと余計な事を言って、いつも通り麻痺らせられていた。

 

 僕達は馬車に乗り込むと(よいやみは引きずり入れた)、いつきさんから、遺跡に到着したあとのことを話し合った。


 馬車の中で一晩過ごして、遺跡の近くまで来ると、何か嫌な予感がした。

 よいやみも、何かを感じたらしく、少し目を細めて「こりゃ、最悪もあり得るかもしれんっすね」と言った。

 一月前に戦った魔王リュウト以上にヤバイのが一人いる。

 よいやみは一方的に痛め付けていたから、リュウトを弱く感じていたが、あれからクエストを何度もやったが、あれ以上の魔物は見てはいない。

 冒険者から見れば、強敵と呼ばれる魔物でも、僕達から見れば弱いと感じると気付いたのは、最近だ。

 この、最上階にいると思われるものは、僕達が強いと感じるほどだ。

 ん?弱々しい何かがいる。四人?

「バトスさん、生きてるかもね。二階層にかなり弱っているけど、反応がある」

「みつきの生体関知は桁外れっすよね。あしじゃ、そっちには気づけんっすよ」

「バトスさんが、生きている可能性があるのなら、まずは真っ直ぐそちらに向かいましょう。バトスさん達をギルドに送ったあとですが、勝てますか?」

「戦わなくて済むならそっちの方が良いけど、倒せるかと聞かれたら倒せるよ、多分ね」

「やばくなったら、ゆーちゃんがころす」

 ゆーちゃんの即死魔法は思った以上に強力で、今まで効かなかったのは、僕達のパーティくらいだ。

 しかし、禁術である以上、使いすぎると、時の番人という奴が禁術の使い手を始末しに来るそうだ。

 そいつらは、強いなんてレベルの生物じゃないらしい。いつきさんが一度時の番人の末端に会ったらしいが、恐怖と威圧で動けなかったそうだ。

「今は、小娘だったあの頃とは違いますけどね」

 そう言って、いつきさんは笑っていたけど、そんなのからゆーちゃんを守るのは、難しいかも知れないから、出来るだけ即死魔法に頼ることはしたくない。

 もし、現れたとしたら、どんな手を使ってでも守るけど。


 遺跡に到着した。

「予想以上に大きいですね」

 僕は遺跡を見たとき、ある疑問が浮かんだ。

 これだけ大きいものだと、簡単に見つかるし、これだけ近いのなら、軍や調査団を送ることも可能なはずなのに、なぜ国は、いや、誰も気付かなかったんだろう?

 もしかして、意図的に作った?もしくは、封印されていたものを、誰かが解放した?

 どちらにしても、余り楽観視出来ない状況なのには変わりない。

 ここは、リーダーらしいことをいって・・・・・・

「みつきさん、この遺跡は間違いなく悪意があって存在しています。気を付けていきましょう」

「あ、はい」

 あれ?僕がリーダーのはずなんだけどな・・・・・・

 僕は、首を傾げながら遺跡に入っていった。



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