ユウシャリュウト
少し書き直しました。
僕は生体感知をフルに使う。戦っているリザードマンの気配が何かおかしい? 下衆の方が弱いと踏んでいたけど、何かがおかしい。嫌な予感しかしない、急がないと!!
リュウトの姿がみえ………た?
僕が戦闘場所に到着すると、獣のようにリザードマンを喰らうリュウトがいた。
「お前、その姿は……」
リュウトの姿は、全身を赤色の鱗で覆い、口は横に裂け、目は金色になっていた。
まるで、リザードマンのように、もはや人間には見えなかった。
「オ、オ、ンナ。オレノエサノ、ジャマヲスルナ」
魔物変化症か? 亜人が理性を忘れるという病と僕は聞いていたが、人間にもかかるのか? 亜人ですら滅多にないらしいのだが。
今のリュウトは人間にも見えない。それに亜人もそうなのだが人は共食いを絶対にしない。禁忌と言われているからだ。その点、リュウトは完全に魔物になり下げている。これが僕と同じ勇者? ふざけるな!!
「リュウト、そうやって亜人を貪り喰う姿は、魔物そのものだね。もう、人間とかじゃなく、いや、人ですらないね」
僕の挑発を聞いていたのか、リュウトがこちらを睨んでいる。
一応、人の言葉はわかるようだ。
「オレニサカラウナ!! オレハユウシャダ!!」
ほとんど聞き取れない、叫び声とも言えそうな言葉だ。
「鏡見てこいよ。今のあんたは立派な魔物だよ」
リュウトの魔力が更に大きくなった。
人間だったころと違い、強い魔物と同じ魔力を感じる。
皮肉なものだ。人間の時はたいしたことがなかったのに、魔物化してから強くなるなんて馬鹿みたいな話だ。
魔物は急に襲ってくる。リュウトも同じような物だろう。剣を抜き、リュウトを睨む。
リュウトが地面を蹴った。結構な速さだな。
リザードマンやドラゴンは鱗の色で固さが変わるらしい。リュウトの鱗は赤色。かなり固い部類のはずだ。
普通に斬って斬れるか?
襲いかかってくるリュウトの腕を斬ろうと剣を振るう。
キィン!
弾かれた、ちっ! 強化ゴブリン並みに固いかもしれない。
「キカン! シネ!」
リュウトが腕を振り上げた。
リュウトの腹を蹴って距離を取る。
「イタクナイ、オマエ、オレノオモチャニスル」
こいつ、僕の攻撃が効かないと思って、すでに勝ちを確信でもしてるのか?
こんな奴には使いたくないけど、勝たなきゃいけないからね。
確かにゆーちゃんのお陰で、死者は少なくなると思う。でも、こいつに喰われたリザードマンは、生き返れない気がする。
リザードマンがなにか悪いことでもしてたか? 少なくとも討伐対象じゃなかったはずだ。
それを、こいつは殺戮を楽しむように殺した。
「魔物に言葉が通じるかわからないけどさ、あんた何でこんなことをしたの?」
リュウトは、話し掛けられているのは何となくわかるようで、口を何度もカタカタならしながら、笑ってるように見えた。
やっぱり話なんて通用しないか。僕はそう思っていたが、リュウトな変化がみられた。
さっきまでの獰猛さがなくなっていく。
「ゴミを片付けるのに、お前は誰かの許可を得るのか?」
僕は驚いた、リュウトの言葉に威圧感がでている。
「亜人は魔物とは違う、そんなこともあんたにはわからないの? それが分からないほどアホなの?」
「それがどうした? オレの欲望を満たすためなら、ゴミが死のうと女共が泣こうとも、オレが満たされることの前にはなんの意味もない」
やっぱりこいつは魔物だ。本能で動いて、鳴き声の代わりに言葉を発してるだけの魔物だ。
害をなす魔物は排除しないと。
「ゆーちゃんやよいやみには、ちょっと見せられない戦い方をしてあげるよ。なぶり殺してあげる」
僕は口角を吊り上げ、こいつを殺すことだけを考え……。
ごん!
誰かに後ろから叩かれた。
「なに言ってんすか?」
「よいやみ……」
よいやみはリュウトに視線を移して「みつきは勇者で、あし達のリーダーっす」と僕の頭をポンポンと軽く叩いた。
「みつきが優しいことを、あしらは知ってるっす。みつきの口からなぶり殺すなんて言葉は聞きたくないっすね」
よいやみは、僕の目をしっかり見て、軽く微笑んだ。
「こんな、人の道を外れたヒトモドキの相手はお姉さんに任せるっすよ」
「え? お、お姉さん?」
「みつきは16歳、あしは19歳、あしのほうが歳上っすよ?」
え? いや、よいやみが年上?
「え、えっと……よいやみさん?」
僕が歳上である以上、呼び捨ては良くないと思って、さんづけすると、よいやみは心底呆れた顔をした。なんで?
「そんなのはいらんっすよ、今まで通りでいいっす」
そんな、軽い会話をしたあと、よいやみは心底蔑んだ目でリュウトを睨んだ。
「お前はやっぱり下衆っすね。散々、勇者勇者とほざいていたみたいっすけど、結局自制心もない、ただのカスだったってだけっすよね。まぁ、魔物に成り下がったお前には分かんだろうっすけど」
「女はオレに逆らってはいけないのだ。この世は、オレを中心に回らなくてはいけないのだ」
「あー、あれっすか? 大したことないのが、ちょっと強くなったから調子こいてるんすね。まるで、子供みたいっすね。いや、子供に失礼っすね」
「まだわからないのか? 女はオレのために股を開いていればよいのだ」
「あー、もう喋らんでいいっすよ。不快な気になるだけっすから」
よいやみは地を蹴って、リュウトの顔面を殴りにいった。
よいやみの拳が光っている、あれは魔力を纏っている。
リュウトはよいやみの拳を受けためようとしたが「ぶち抜くっす!」と、受け止めた手を貫いて顔面に拳をめり込ませた。
「ブフゥ!?」
めり込ませた手を軸に体をひねって、そのままリュウトのこめかみに膝蹴りをいれていた。
蹴られたリュウトは飛ばされて岩に激突する。
よいやみは冷めた目で、リュウトを見下し「お前、なにか勘違いしてるっすよ? みつきはお前が人だから、本気だせないんすよ? 本気なら、お前程度の魔物なんて一撃っすよ?」岩にもたれかかったリュウトの顔面を踏みつけた。
「あしは、師匠から人だろうと容赦なく破壊するように言われてるっすから、みつきのかわりにお前を壊すっす」
よいやみが殺気を放っている。
「ってわけで、みつき。あしが代わりにコレを殺すっす」
よいやみが力を入れた瞬間、リュウトの体が地面にめり込んだ。
よいやみは、僕に気を使ってくれている。
「てめぇら!!許さねぇぞ!!」
リュウトが地面から飛び出して、こっちを睨む。
目が真っ赤に染まっていた。
「オレはもう勇者じゃなくて構わねぇ。てめぇらを殺せるんならな!!」
リュウトに羽根が生えて尻尾が生え、口調も元に戻り、更に禍々しい魔力まで放っている。
「オレは魔王リュウト様だ」
リュウトはそう宣言した。
面白かったら、評価、ブックマークをよろしくお願いします




