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無慈悲な

少し書き直しました。

「神の領域」から「無慈悲な」にサブタイトルを変えました。


 リュウトがリザードマンを襲っている。

 そう知らせてくれた女性冒険者に案内してもらい、リザードマン達が住んでいる集落へと急いで向かった。

 集落についた僕達は、目の前に広がる光景を見て言葉を失った。

 何十人ものリザードマンが惨殺されている。殺されているリザードマンの周りには子供のリザードマンが泣いていた。

 これを、あの下衆がやったの?

 ふざけるな!!

「あの下衆!! ぶち殺してやる!!」

 僕は怒りに任せて生体感知を使う。しかし、よいやみに止められる。

「みつき!! 落ち着くっす!! 今は怪我をしている亜人さんの治療が先っすよ!!」

 よいやみに怒られて、僕は今やらないといけないことに気付く。

 道具袋から薬草の束を取り出し、よいやみに配ってくれるように頼む。

 今の手持ちは薬草三十個。生き残りは数十人……。怪我人には、くそっ!! 数が足りない!! 何人かは深い傷の者もいる。

 冒険者の中に僧侶がいてくれて、ヒールをかけまわってくれていたが、それでも足りない。

 重傷の人には薬草じゃ間に合わない!! どうする!?

「あしがギルドに戻ってリリアンさんをよんでく……」

「よいちゃん、ゆーちゃんがなんとかする」

 ゆーちゃんは出て行こうとするよいやみを止める。

「ゆ、ゆーちゃん、い、今は……」

 本当はゆーちゃんのひーるにも頼りたいが、リスクが高すぎる。

 僕はゆーちゃんを止めようとしたが、ゆーちゃんの目が今までと違い真剣に見えた。そして心なしか目が赤く光っている様にも見えた。

「こんかいは、ゆーちゃんもちょっとおこってる」

 冒険者達は弔うために、リザードマンの遺体を一ヶ所に集めていたのだが、その遺体が安置されているところにゆーちゃんが歩いて行く。

 いったい何をするのかと見ていると、リザードマンの遺体の前で両手を大きく広げる。

 両手を広げたゆーちゃんからは莫大な魔力を感じた。

 その魔力に驚きつつも、僕は思い出した。

 アリ姉が来た時に、僕のランクを見た後、ゆーちゃんのランクも魔宝玉で調べみたら僕と同じヒヒイロカネだった。

 ゆーちゃんの体が輝きだし、魔法を唱える。

「いきかえれー!!」

 え? それが魔法なの?

 僕は少しだけ疑ってしまったが、その()()を唱えた直後リザードマンの遺体が光だした。

 その後の光景に目を疑った。

 損傷が激しい遺体が修復されていく。無くなった部位も再生していく。

 なんだこれ? 禁術の蘇生魔法は聞いたことがあるし、実際に見たこともある。でも、僕が見た蘇生魔法は肉体の損傷までは出来なかったはずだ。

 蘇生魔法は禁術のひとつだ。禁術と呼ばれるには理由もある。


 遥か昔。

 とある国の王が死んだ我が子を生き返らせるために、文献に書いてあった蘇生魔法を使った。

 王の子供は生き返って、王は涙を流し喜んだそうだ。

 そこまでは良かったのだが、王はその蘇生魔法を使い他国を攻め始めた。

 肉体の損傷は治りはしないが生き返ることは出来る。

 他国は、恐怖した。殺しても殺しても、生き返らせて襲わせる。

 しかも、襲ってくるのは、体の一部が損傷した屍のような姿。

 人々は心の底から恐怖した。

 やがて、無理矢理生き返らせられた者達も壊れ始める。まるで生きた屍のようになり、自分の国すら襲い始める者も現れた。

 結局、国は滅びた。時の番人と名乗る者達によって王が討たれ、生ける屍を全て天に還したと言われている。

 この惨劇から、蘇生魔法は禁術に指定された。

 僕が幼い頃に聞いた話だ。

 

 でも、ゆーちゃんの甦生魔法は禁術の蘇生魔法とは別物だ。上位互換? 違うな。禁術に指定されている蘇生魔法なんかとは比べ物にならない程だ。

 ゆーちゃんの職業が『無慈悲な最終兵器』なのも、この甦生魔法のせいなのか? でも、それじゃ意味が分からない。


「ゆづきちゃん!! こっちの重症患者もなんとかならないの?」

 ゆーちゃんは、少し考えてから「いっかいしねばなおる」と恐ろしいことを言い出した。

 その言葉に、僧侶の顔が青褪める。

 ゆーちゃんが言うには、生きてる人間に使っても意味がないらしい。

 ゆーちゃんは更に恐ろしいことを言った。ひーるは、甦生魔法の甦生効果ともう一つの魔法の主な効果を消したあと、合体させて作った魔法らしい。

 魔法に疎い僕は「そんなことができるんだ……」と納得していたが「普通は出来ないからね!」と僧侶が叫んでいた。

 しかし、ゆーちゃんのもう一つの魔法か……。

 それも気にはなるけど、今は重傷の者をどう助けるかだ。

 ゆーちゃんに言わせるとそれも問題ないらしい。

 ゆーちゃんにしか出来ないのであれば、ゆーちゃんに任せるしかない。

 だがその直後、ゆーちゃんのもう一つの魔法の正体と『無慈悲な最終兵器』という職業の本当の意味を知ることとなる。


 ゆーちゃんはいきなり、瀕死のリザードマンに「しね!」と言い出した。

 その直後、重症のリザードマンはぐったりして死亡が確認された。

「ちょっと!! なにしているの!?」

 僧侶が、青褪めて叫んでいた。

 あれがゆーちゃんの唯一の攻撃手段(ひーるも恐ろしい攻撃だと思う)の即死魔法だそうだ。

 ゆーちゃんのひーるは甦生しない甦生魔法に即死しない即死魔法を足した魔法だった。意味が分からない。

「いったんころさなきゃなおらない」

 ゆーちゃんは表情変えずにそう言った。

 この辺が『無慈悲な』に繋がるってことか。

 その後、ゆーちゃんは甦生魔法で重症患者を生き返らせた。

 周りにいた重症のリザードマンは、恐怖で体が震えていた。

「だいじょうぶ。くるしくないしいたくない」

 そう言って、同じことを表情を変えずに繰り返す。

 僧侶の女の人は呆然として「こんなの神の領域じゃない」とぶつぶつ呟いていた。

 

 重症患者のリザードマンを全て助けた(?)あと、情報を集めるために、リザードマンに話を聞くことにした。

 どうやら、族長と呼ばれるリザードマンが、勇者を追いかけて行ったそうだ。

「族長を助けてください!!」

 リザードマンの若者にそう言われたが「僕もあれと同じ勇者だよ? 憎いでしょ?」と言って歩きだした。

 リザードマンの若者は何も言ってこなかった。きっと彼らからすれば僕も同じなのだろう。


 僕は、下衆と同じ勇者であることを恥じた。そして、僕の手でリュウトを殺すことを決めた。

 生体感知を使って、リュウトと族長らしきものが戦ってると思われる反応があった場所まで行くことにした。


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