魔王と国王
少し書き直しました。
厳ついおっさんを騎士団長からギルマスに変更しました。
この先の話でギルマスが初登場しますが近いうちに直しますので、書き直すまではスルーしてください。
僕が黒姫という名前にガックリしていると、ゆーちゃんが真っ直ぐな目で「みーちゃん、くろひめってなに?」と聞いてくる。
ゆーちゃんの何の悪気もない純粋な質問が僕の心をより一層抉る。
「うん。僕も今日聞いたところなんだ。本当になんだろうね……。恥ずかしい」
「あらあら、良い、二つ名じゃないの~」
アリ姉が、笑顔で言ってくる。
「そんなことより、黒姫とまおうさ! ぐぼぉ!」
からかっているような態度のよいやみに裏拳を顔面にいれておいた。
まともに鼻に入ったのか、よいやみは悶絶している。
「リリアンさん、この恥ずかしい名前消せませんか?」
「黒姫の事? 別にはずかしくないじゃない。それに、これは女神様がつけた二つ名だから消せないわよ」
は?
この二つ名って、町の人が勝手につけたんじゃないの? 昼間に会った婆ちゃんはそう言ってたよ?
「お婆さん? 誰かしら? 少なくとも黒姫って名前は、表には出てないはずだから、今は安心してもいいと思うわよ」
「い、今は?」
「何らかの式典のときには二つ名が、使われるからね」
ま、まぁ、僕はそんな式典なんかに出る予定はないから、いいけどね。
僕が現状にショックになっていると、よいやみが鼻を擦りながら「酷いじゃないっすか。ちょっとからかったくらいで」とほざく。
僕はよいやみを睨んでおく。
「えっと、魔王アリス様」
リリアンさんがおそるおそるアリ姉に話しかけていた。
「様なんていらないわよ~。ワタシは、親が魔王だったから、魔王を継いでいるだけだし~」
いや。アリ姉の強さは異常だ。僕達が束になってもかなわない。
「じゃあ、アリスさん。国王陛下と会談をしていただきたいのですが」
「いいわよ~」
アリ姉、少しは考えた方が……。ゼクスさんの髪の毛がまた可哀想なことになりそうだ。
「みつきに聞いた鬼族の扱い、人族にも魔族にも共存を願う者がいるというのは、本当に素晴らしいわぁ~」
アリ姉は、魔族や亜人、そして人間には大した違いはないといった。
寿命にしても、実はほとんど変わらないらしい。
え? それはそれでおかしい気が……。まぁ、気にしないでおこう。
「それでですね。会談を正式に行いたいので、一度陛下に会って貰えないでしょうか」
「非公式ってことね~」
「はい。失礼なお話ですが、私達は魔族を異形の者と考えておりました。しかし、アリスさんは人間とほぼ変わりない姿をしています」
「ずっと敵対してきたのなら、仕方ないわよね~。異形と言われるのは、亜人の人達がほとんどね~。それに、魔族、人族と言うのは、略語であって、正式名称は人族が繁栄生産人間、魔族が魔力特化人間と、言うらしいわ~」
アリ姉、それは初耳だけど、実はすごい事なんじゃ……。リリアンさんも、始めて聞いたって顔して食い入るように聞いてるし。
「とは、言ってもそれは遥か昔の話であって、今はどちらの種族もたいして変わらないわよ~。ワタシとみつきがいい例でしょ~」
「僕とアリ姉? 姉妹のように仲が良いから?」
「そう思ってくれるのは嬉しいけど、違うわよ~。ワタシは魔王、みつきは勇者。どちらも強力でしょ~?」
なるほど? いやいや、僕とアリ姉なんて比べようがないって!
暫く談笑してるとノックの後、シドさん? と、若い男の人と厳ついおっさんの三人が入ってきた。
「まだ、お城の方に連絡をしていないのに、どうして陛下がここにいるんですか!?」
陛下?
もしかしてこの厳ついおっさんが王様?
でもリリアンさんは、若い男の人に行っている気が……。
もしかしてこの若い人が王様?
「未来の王妃様と勇者黒姫様がなにやら、相談とのことなので、鬼族との共存の立役者になった、黒姫様の力になれないかと参上させてもらったのですよ」
黒姫、黒姫、連呼しないでもらえるかなー。恥ずかしくて吐き気がするじゃない。それにリリアンさんは連絡をしてないって言っていたけど……。もしかして盗聴?
リリアンさんの王様を見る目が、物凄く冷たくなっている。
「あらあら~。未来の王妃様だったのね~」
「いや! 違いますからね! シドさん達が勝手に言ってるだけですからね!」
「そこまで、力強く否定せんでも……」
あ、王様が凄く落ち込んでる。
「それで? そちらの方は?」
そう言われて、アリ姉はスッと立ち上がり、貴族の女の人がやる格好(僕は村人だからその行動の名前とか知らないよ)で「はじめまして、アロン王国国王レオン・アロン様。ワタシは魔大陸、ヴァイス魔国の魔王アリス・ヴァイスと申します」とにこやかに微笑み挨拶をした。
「魔王!?」
厳ついおっさんが、王様とアリ姉の間にはいる。
「ギルマス!! 落ち着いて下さい」
リリアンさんが厳ついおっさんを止めている。
そういえばリリアンさんはサブマスターだったもんね。この人がギルマスか。
このギルドにお世話になって二か月だけど初めて会ったよ。
「あんたが魔大陸の魔王か。悪いな、素養が足りないんで口が悪くてな。俺がアロン王国国王、レオン・アロンだ。よろしく頼む」
「それなら、ワタシもいつもの口調でいいわよね~」
「そっちの方がありがたい。で、後日、正式に会談を行いたい」
「それは構わないのだけど~。うちの方はみつきの村との交流があるから、人間との交流に反対の者はいないと思うけど~、貴方の国はどうなの~?」
「うちの国は、反対派が多いのは確かだな。実際、別とはいえ魔王に脅かされているのは事実だしな。だがな、人間だからとか亜人だからとかいう奴等は徐々に排除していっている」
「そう。それなら安心ね~。これだけはいっておかないとね~。この国を襲っている魔王についてだけどね~、元人間よ~。人間が禁術で魔物化したようね~」
僕達はおろか、王様達ですら知らなかった事実のようだ。
「名前は何て言ったかしら~。確か~」
「ティタンか?」
え? 王様、さっきは驚いていたのに?
「そうそれよ~。って知ってたの~?」
「いや、おかしいとは思ってはいたんだ。確かに絶望の村や魔大陸の一部はアロン王国の一部ではあるが、なぜこの国を欲しがっているのか全然わからなかった。近くには別の国もあるのにだ。ティタンならこの国を狙う理由も説明がつく」
「ティタンは陛下の元兄上です、全く無能の上に陛下に牙を向くとは」
「あいつは、血筋だけなら王に相応しかったんだがな、国民の事をなにも考えないやつだった。だから、俺が討った」
討った? それって、殺したってことだよね? なんで生きているの?
それに魔王? になったって……。
「あの方は、禁術である別生物になるための研究をしていたらしく、殺害できたものと思っておりましたが……」
「魔王になるのは簡単よ~。名乗ればいいだけだもの~」
え? そんなに簡単なの?
僕達が驚いていると、アリ姉がさらに驚くことを言い出す。
「人魔王に関しては~、勇者であるみつきちゃんに任せましょう~」
「は?」
どうして僕が? 他にも強い勇者がいるんじゃ……。
僕が反論しようとも、王様とアリ姉の中ではもう話がまとまったようで、人魔王ティタンのことは僕達に任されることになった。
王様達は会談の約束をとれたのに満足して帰っていった。
帰り際に、王様がリリアンさんにプロポーズしていたが、断られていた。それとよいやみを見て、首を傾げていたがなんだったんだろうか?
王様が帰ったあと、リリアンさんが夕食を奢ってくれることになり、皆で店に行った。
「あまり高い店には行きませんけど」とリリアンさんは言っていたが、アリ姉は昔から村の食堂で食事をとっていたので、安くて美味しい所をリクエストしていた。
食事の後、アリ姉がアロン王国の国王との会談、そして人魔王ティタンのことを通信魔法でゼクスさんに話す。
「早く帰ってこんか!? バカ娘!!!」と怒りが頂点に達したゼクスさんの叫び声が通信魔法越しに聞こえてきた。
「ゼクスがうるさいから帰るわ~。みつきもたまには魔大陸に帰ってきなさいよ~」
そう言って、アリ姉は帰っていった。
「魔王はもっと恐ろしいものだと思ってたっすけど、優しそうな人だったっすね」
「あれでも魔大陸を統治している人だから、僕達じゃ相手にならないほど強いけどね」
「さて、ゆーちゃんも眠そうだし帰ろうか。明日からまた、クエストを頑張らないと、お金がないからね」
僕はゆーちゃんをおんぶして、宿屋に帰った。
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