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魔王アリス襲来

少し書き直しました。


 すれ違う男の人がアリ姉を見ている。黙っていれば銀髪の超絶美人さんだからね。

「ところでアリ姉がどうして王都にいるの? ゼクスさんは知ってるの?」

 ゼクスさんというのは、ヴァイス魔王軍最高指揮官で、アリ姉の育て親のような魔族だ。

 最近はアリ姉の自由奔放な行動のおかげで、頭皮が薄くなってるらしく、抜け毛に困ってる魔族のおじさんだ。

「知らないわよ~。みつきに会いに来ただけなのに、いちいち言わないわよ~。それよりみつき~。黙ってアロン王国の王都に来るなんて、寂しいじゃない~」

 いや、僕だって好きで来たわけじゃないんだけど……。

 僕は王都に来た経緯をアリ姉に話す。ゲンさんのお店があるというと、後で行きましょ。と言っていた。


 まぁ、来てしまったものは仕方がないので、アリ姉に鬼族と村のことを話してみると「素晴らしいわぁ~、その王様には会う価値あるかもしれないわね~」と物凄いいい笑顔で言った。

 アリ姉が合う価値があると言っているので、リリアンさんに相談することにした。


 僕はアリ姉を連れて、冒険者ギルドに向かおうとしたのだが、アリ姉が僕の仲間に会いたいと言い出したので、僕達が拠点にしている宿屋に連れてきた。

 お金のかかる宿屋を拠点にしているのは、この二ヶ月の間に冒険者ギルドの宿泊施設を追い出されたからだ。追い出された理由はよいやみとゆーちゃんなのだけど……。

 

 僕とアリ姉が宿屋に入ろうとすると「みつき! 今、帰りっすか?」とよいやみの陽気な声が聞こえた。

 よいやみは、何かの肉の串焼きを食べながら帰ってきたようだ。

「よいやみ、ゆーちゃん起こしたら、冒険者ギルドに行くから用意しといて」

「わかったっす。ところで、その後ろのお姉さんは誰っすか?」

「アリ姉。僕の友達。それ以外はあとで説明するよ」

「あらあら、お姉ちゃんっていって良いのよ~」

 お姉ちゃんという言葉によいやみはビックリしている。多分この後さらに驚くことになるのに……。


 僕達が拠点にしている宿屋の自室では、ゆーちゃんが幸せそうに寝ている。起こそうとしたら、アリ姉がゆーちゃんを抱き上げた。

「みつき! この子をワタシの妹にする!!」

 あぁ。また始まってしまった。アリ姉はかわいい女の子を見つけると妹にしたがる傾向がある。

 しかし、ゆーちゃんはダメだ。

「アリ姉だろうと、ゆーちゃんは渡さない」

「???」

「なにをやってるんすか?」

 ゆーちゃんの奪い合いを始めようとする僕とアリ姉、意味がわからず混乱するゆーちゃん、それを呆れた目で見るよいやみ。自室の中はまさに混沌としている。


 結局のところ、ゆーちゃんは取り返したので、僕達は冒険者ギルドに向かう事にした。


 冒険者ギルドも昼過ぎになると、人も少なくなる。ラビさんも勇者専用の受付で眠そうにしている。

「ラビさん、リリアンさんいる?」

「あ! みつきさん。今日はオフとか言ってませんでした?」

 突然声をかけた僕に対して、目を擦りながらきちんと対応してくれる。

「うん。そのつもりだったんだけど、リリアンさんに相談したいことがあってね。それとランクを見るための魔宝玉を貸してほしいんだけどいい?」

「わかりました! 少しお待ちください!」

ラビさんは奥の部屋にリリアンさんを呼びに言ってくれた。

 少し待つと、ラビさんが「今日は部屋の方に来てほしいとのことなのでこちらへどうぞ」とリリアンさんの部屋まで案内してくれた。


 受付から見える場所にある扉の先の少し広い部屋に案内されて、僕達はソファーに座って待っていた。

 テーブルの上には借りてきたランクを見るための魔宝玉が置いてある。

 待っている最中にゆーちゃんが寝ようとしたので「今日は大事な話があるから、我慢して起きてて」とゆーちゃんに頼むと「わかった」と素直に聞いてくれた。

 少し眠そうなので、僕の膝の上に座らせてあげる。

「みつきも小さいから、かなり無理があるっすよ」

 とよいやみが言うと、アリ姉がゆーちゃんを抱き上げ膝に乗せる。

「これなら、バランスがあっているでしょ?」

 よいやみは頷いている。


 ラビさんが出してれた紅茶を飲みながら、僕が王都に来てからの二ヶ月であったこと、鬼族と村のことを詳しくアリ姉に話していたら、リリアンさんが部屋に入ってきた。

「待たせてご免なさいね。で? 相談があるって聞いたけど。その隣の方はどちら様?」

「この部屋の防音は大丈夫ですか? ちょっと聞かれると困る人なんで」

「困る人? ちょっと待っててね」

 リリアンさんは何かの魔法を使った。

「あら~。防音の魔法ね~。この魔法を無詠唱なんて、素晴らしいわ~」

 さすが魔王。さらっと使った魔法も見破るか。流石は完全な魔眼持ちだ。

「ゆーちゃんといっしょ」

「うん。一緒ね~」

「!!」

 アリ姉の言葉にリリアンさんが驚いている。なんでだろう?

「みつき。あしは魔導大国という国にいたことがあるっすけど、防音魔法なんて聞いたことが無いっす。みつきは知っているっすか?」

「僕に魔法のことを聞かないでよ。僕には魔力がないのに」

 僕とよいやみがそんな話をしていると「防音魔法は私が組み上げた魔法だから、他に知ってる人はいないはずだけど。そちらの方はなぜ、知っていたのですか?」と、少しアリ姉に警戒しながら聞いてきた。

「その事もちゃんと話しますので……」

 僕は覚悟を決める。

 どうなるかはわからないけど「ワタシはま!」僕はアリ姉の口を手で塞ぐ。

「む~む~」

「僕が話すから、アリ姉は少し黙ってて」

「い、妹が反抗期に~」

 アリ姉は、ショックで泣きそうになっているが、ここは無視で。

「妹? みつきちゃんのお姉さん?」

 リリアンさんは少し驚いていた。そりゃ、そうだろうね。僕の身内というとこは、魔大陸から単独で王都まで来たということだ。でも、違うよ? きっと、もっと驚くから。

「妹のように可愛がって貰ってますが、妹じゃありませんよ?」

「みつき~酷い~……うぅ……」

「アリ姉、話がややこしくなるから。真面目にしててね」

 僕はアリ姉を黙らせると、今度こそ覚悟を決めて話し始める。

「アリ姉は魔大陸にあるヴァイス魔国のを統治する《魔王アリス・ヴァイス》です。さっき、リリアンさんの魔法を見破ったのはアリ姉が片目だけだけど、完全な魔眼を持っているからです」

 僕がアリ姉の正体をばらすと、皆の顔が驚愕に染まる。

「ははは……。みつき、冗談が上手いっすねー。魔王がこんなところに居るわけないじゃないっすか」

「アリ姉、この魔宝玉に手を置いてみて」

「いいけど、割れるかもしれないわよ~」

 そう言って、アリ姉は魔宝玉に手を置いてくれた。


 アリス・ヴァイス

 職業 魔王

 ランク ヒヒイロカネ


 魔宝玉は割れることはなかったが、ランク・ヒヒイロカネってなんだろう? リリアンさんがものすごく驚いた顔をして見ている。 

「あら、いい魔宝玉ねぇ。最高ランクまでちゃんと表示されるなんて」

 ん? なんで、アリ姉がランクことを知ってるんだ? と疑問に思っていたら、リリアンさんが教えてくれた。


 ランクとは冒険者ギルドが作ったものではなく、教会が起源だそうだ。

 実際数百年前の勇者覇王の時代から存在していたらしい。

 アリ姉がその話に追加で話してくれた。

「覇王さんを選んだ、女神が作り出したと言われているのよ~。それに~。えい!」

 アリ姉は僕の手を魔宝玉の上に置いた。


 みつき

 職業 勇者黒姫

 ランク ヒヒイロカネ

 

 は? ちょっと待って!? ヒヒイロカネにもツッコミたいけど、前は真なる勇者だったのに、なんで黒姫っていう恥ずかしい二つ名が入っているんだ!?

「ほら、みつきもヒヒイロカネだった」

 いや、僕が言いたいのはそこじゃない。そこじゃないんだよ!!


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