レオンの提案
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少し書き直しました。
≪レオン視点≫
ここは王城の執務室だ。俺が普段仕事をしている場所だ。
俺の机の上には各所からの報告が集められていた。俺はその報告書を一枚一枚読んでいく。
その中の一枚を読んだときに、俺は激怒した。
「リリアンがオーガ討伐に向かっただと!? 誰が許可した!? ぶち殺してやる!!」
俺は執務室で怒鳴り散らした。未来の俺の嫁さんに何かあってみろ!! 命令した奴を俺の独断で処刑してやる!!
「とりあえず、落ち着きなさい」
「あぁ?」
ドゴン!!
鈍い音とともに俺の頭頂部に激痛が走る。
「痛ぇええええ!!」
「落ち着かなければ殴りますよ?」
こいつ殴ってから言いやがった。殴ってから言うなよ!? ベタ過ぎるだろうが!?
今、俺を殴った奴はシド。俺の右腕だ。
スラム出身だが頭の良い奴で度胸もある、今の立場は宰相ってやつだ。
こいつとは昔馴染みで、こいつを含む数人で城下町で良く悪事を働いていたものだ。
兄貴を倒した時も一緒にいた連中だ。この国のどんな貴族よりも信頼している仲間だ。
「リリアン殿が絡む報告書にいつもキレるのは止めてください。鬱陶しい……」
「あれ? 今、鬱陶しいとか言わなかった? 不敬罪で訴えてもいいかな?」
「構いませんよ。但し、どういう結果になるかは、わたしの知ったこっちゃないですよ」
そのセリフですべてを悟った……。最終的に俺が悪くなるように仕向けるつもりだ……。
俺は、この事はなかったことにして、報告書の件に戻した。
「オーガの件だが、リリアンは無事なんだろうな?」
「同行者はヒヒイロカネの勇者です。大丈夫でしょう」
澄ました顔で、簡単に言いやがって!
ヒヒイロカネの勇者って言ってもまだ、子供だぞ!! くっそ!! しかも田舎娘っぽいし。
「よし! 視察に行くぞ!!」
俺が視察に出かけようとすると、シドの目がおぞましい程に冷たくなり、俺を睨み付けた。おかしいな……どっちが主だったかな?
シドは黙って床に座るように指示をする。うん。逆らっちゃダメなやつだ。
俺は小一時間、シドから説教された。くっそ! 正座のせいで足が痛ぇ!!
昨日の夜はリリアンが心配で、全く寝れなかった。
「陛下、眠そうですね。わたしはとてもよく眠れましたよ」
「なんでいちいち、自分が寝たかどうか言うんだよ!? どうでもいいわ!!」
「わたしの睡眠状況が気になってるようなので」
「…………」
こいつを相手にしてると、無駄に疲れる。こういう時は無視だな。
「リリアンから報告はないのか?」
「無視ですか? 無視ですね。今日は気分が優れないので帰宅します」
うわぁ、こいつめんどくせぇ。
「あー、わかった、わかった。無視して悪かったな」
「で、リリアン様からですが、早急に返答してほしいと手紙が届いております。婚約の話ではないようです」
「おま……いちいち俺の心の傷を抉って楽しいのかよ!!」
「はい。とても」
こいつ本当に俺の部下か? 俺はシドから手紙を受け取った。
俺は手紙を読んですぐに返事の手紙を書くことにした。
「シド! この書簡をリリアンに届けてくれ! それから村経営に強そうなお前の部下と、お前も一緒に行ってこい!!」
シドは俺の采配に驚いてはいたが、俺が渡した手紙を読んで俺の考えを理解してくれる。
今回の事は、一部貴族には内密に行動しなくてはいけない。
「わかりました」
シドはそう言うと、執務室を出て行った。
≪シド視点≫
わたしはシド。アロン王国で宰相を、やっています。
わたしと陛下は私がスラムにいる時からの友人で、いつも陛下を含む数人でスラム街を渡り歩いていました。
今でこそ、陛下とこうして楽しくしていますが、最初は思いましたよ。王族なんて、贅沢で良い暮らしをしてるんだから、俺達スラム暮らしの苦しみなんか理解できるはずはないと。
けれども、陛下は違いました。幼くして、俺達スラムの子供達を全て救いました。
俺達に教育を施し、最低限の生活を保証し、生きる術を与えてくれた。
だからこそ、俺達もレオンが望む未来を創るためにどんなことでもしてやる。っと、つい昔の口調に戻ってしまいますね。
さて、今のわたしの仕事は、オーガに襲われている村に向かう事ですね。わたしの部下を数人連れて行きましょう。村の経営に優れた者を連れて。
陛下の命令で、オーガに襲われているという村に転移魔法を使用して向かおうと思っています。
「反対派にばれないか?」
また、余計な心配をしているようですね。
少し、注意しておきますか。
「陛下。あまり心配ばかりすると禿げますよ?」
「は、ハゲ?」
おどろいているようですね。全くこの方をからかうのは楽しくて仕方ありません。
さて、陛下を安心させておきましょうかね。
「冗談ですよ。反対派は、わたしが帰ったあと、排除しますので安心してください」
「そ、そうか。って排除?」
「はい。正直いつまでも、昔の権力を振りかざされるのは鬱陶しいので……」
はい。陛下は貴族達を許している様ですが、わたしは許しません。あいつらも俺達スラムの人間を、嘲笑って生きてやがった連中だからな……。
転移魔法を使い村に跳んできました。流石に高等魔法だけあって筆頭宮廷魔導士じゃないと使えず、往復一階で魔力切れを起こす……。もう少し使い勝手が良く、便利になるといいんですがね。
おや? わたし達が急に現れたから、見回りの方々が驚いているようですね。
「村役場はどこでしょう?」
「あ、あの建物です。貴方達はいったい?」
「わたしは、アロン王国宰相です。後ろの二名はわたしの部下、あそこでへばっているのは宮廷魔導士です」
「さ、宰相様!!?」
驚いていますねー。でも村役場の中にいらっしゃるリリアン殿は未来の王妃ですよ? 彼女が否定しようが、陛下が望んでいる以上それは決定事項なのです。
わたしは村人に案内され村役場に入りました。
「なにやら、眩しいですね。鬱陶しい」
村役場のベッドの上で光輝く物体がいます。あれは、二年ほど前に選ばれてきた勇者クレイザー君でしたかね? 彼は光輝く勇者になりたいと言ってましたから、今の姿は本望でしょうね。
私としてはかかわりたくないですが……。
クレイザー君のベッドの横で少女二人が和気あいあいと話し合っていますね。彼のパーティ……なわけがありませんね。
あの小さい少女は、ヒヒイロカネのゆづきさんでしたかね? もう一人は、見たことのない……ん? いや気のせいでしょう……。あの方がこんな所にいる筈ありません。
「シド様!!? どうしてここへ!?」
「未来の王妃様が心配で、見守りに村へ行ってこいとの命令がありましたので」
わたしの言葉に役場内がざわつきます。
皆さん、とっても面白い顔をしていますねぇ……。
「し、シド様!! その話は毎度、断っているじゃないですか!? 私はただの平民です!!」
「ははは、我が国に身分なんて関係ありませんよ。わたしを見なさい。わたしは、スラム出身ですよ? 陛下とは悪友だったのですよ? それが今じゃ宰相だぜ? おっと、素が出てしまいましたね」
わたし達が和気あいあいと話をしていると、役場の外が騒がしくなります。
「お、オーガだ!! オーガが村の中にいるぞ!!」
ふむ。緊急事態ですか?
「でも、襲ってこないぞ?」
「あの女の子。今朝村を出ていった子だ」
女の子? そういえば勇者の子がいませんねぇ……。
「じ、嬢ちゃん!? なんで、オーガを連れて帰ってきてるんだ!!?」
私は役場を出て、騒ぎのあった方に視線を移します。
村の入り口に、黒髪の女の子とオーガの男女がいますね。彼等が手紙に書いてあった鬼族ですかね。
しかし、あの女の子魔大陸出身と聞いていましたが、魔大陸にはあの子の強さを持った人間が普通にいると言っていましたね。
恐ろしいですねぇ……。
絶望の村とは良い関係を結びたいですねぇ。それが無理なら、我が国は滅ぶでしょうね。そうなれば、陛下とリリアン様とわたしだけは逃げましょう。いや、国民を守るために、反対派の首で何とかしましょう。
「な!? こ、こんなことを陛下は望んでいるんですか!? それは、流石に無理が……」
陛下の書簡にリリアン様が驚いているようですね。
そこには、鬼族と村人を同じ村で生活させるという、内容が書かれていますからねぇ。
「リリアンさん。王様はなんて?」
勇者は 、村の人を無視してリリアン殿の所に来ましたね。鬼族の二人はまだ入り口にいるみたいですね。
リリアン様がこちらを見ました。その書簡は貴女様への書簡です。好きにして構いませんよ。
わたしは、黙って頷きました。
勇者は陛下の考えを黙って聞いています。なんでしょう……。ものすごく余裕があると言うかなんというか……。
リリアン殿から説明を受けた勇者は鬼族のもとに駆け寄ります。二人に説明している様です。
「ハグロ、村人と仲良くできる?」
「ふむ。人間次第だとは思う。鬼族の連中は、俺とボタンがいれば抑えられるが、人間がこちらを敵視するならば、俺にはどうにも出来ないな」
「確かに……。リリアンさん。村の代表は誰になる? 村長は逃げたでしょ?」
リリアン殿に聞いても流石に決められないでしょう。さて、どうしたもの……「もし、誰もいないなら見回りしてたおじさんでもいいや」とそんなに簡単に決めますか?
あの勇者、みつきさんでしたね。凄いですねぇ。彼女なら真の勇者と呼ばれて、当然のように思えて来ました。
暫くして、リリアン殿から、双方が提案を受け入れるとの報告を受けました。
説得や話し合いなどの話の間に入ったのは、みつきさんでしたけどね……。
はて? わたしは何をしにここへ来たのでしょうか?
まぁ、いいでしょう。
わたしは王都に帰ってから、陛下の進む道に転がる、 邪魔な石ころを排除する仕事に、勤しみましょうか。
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