オーガ暴走の理由
少し書き直しました。
鬼族の大男はハグロと名乗った。
僕達に姿を見せることはないが周りを囲っているのは、ハグロの仲間達だそうだ。ハグロは鬼族の族長だそうだ。
「仲間の皆がすまないな。無用な争いを避けるため、俺一人でお前逹と接触しようと思っていたのだが、皆から反対されてな。族長という立場である以上、それは許されないそうだ」
ハグロは申し訳なさそうに言うが、彼が族長という立場なら仕方がないだろう。族長が死ねば鬼族そのものの存続に関わるかもしれない、仲間がそういう反応になるのは仕方が無い。
「オーガのことだが、この辺りのオーガは比較的大人しく、こちらから襲いかからない限り、襲ってくることはないはずだった……」
だったということは、今は違うという事なのかな?
大人しいというのなら襲われている村が悪いってことになるのかな? そう聞いてみると「そうではない。オーガは基本的には凶暴な魔物だ。この地のオーガが異常なのだ」と否定された。
「村の自業自得とは、どういうことなのですか?」
よいやみは、人間でしかもただの村人達がオーガを怒らせるとは思えないらしい。
でも、どれだけひ弱な人間であっても、魔物を怒らせることくらいは簡単にできるのだ。
「そっちの黒髪の嬢ちゃんなら、魔物の本能にも詳しそうだから、もしかしたら気付いてるんじゃないのか?」
ハグロがそんなこと言うものだから、よいやみが僕を見てくる。
「なんで僕が、魔物の本能に詳しいと思うの?」
「俺をオーガと思わなかっただろ? 嬢ちゃんは最初っから、俺を鬼族としてみていたということは、亜人と魔物の違いもわかっているだろうからな」
本能のまま生きている魔物ならば、僕達の馬車を見た瞬間に襲ってくる。
恐らくだけど、村が襲われている理由は、何らかの理由でオーガの縄張りに入ってしまったこと。
ハグロが人間の自業自得と言っているのは、亜人ならば魔物の本能を知っているから、余程のことがない限り魔物の縄張りに足を踏み入れる真似はしない。
亜人が魔物の縄張りに入るときは、何かしらの理由で魔物を狩るときだけだろう。
「きっと普段は大人しいオーガだから、少しくらい縄張りに踏み込んでも構わないとでも思ったんだろうね」
それでオーガは怒り狂ったんだろう。
「で? ハグロはどうして人間をこの先に行かせないようにしているの?」
人間の自業自得ならば、この先で何があろうと鬼族には関係のないことのはずだ。
それに、たまたま僕がハグロ達を鬼族と気付いたから戦闘にはならなかったけど、普通の人間ならば逃げるだろうし、冒険者で腕に自信のあるものならば戦おうとするだろう。
「無関係だが、無駄に死なれるのも後味が悪いものだからな」
なんだ良い奴じゃないか。よいやみも少し見方が変わったのかハグロを見る目が変わっている。
「先程、人の忠告を聞かずに無駄に回転をする変な人間がいたな。たしか勇者がどうとか叫んでいたが」
勇者がこの先にいるの? しかも無駄に回転する奴って……昨日の夕方に見た気がするんだけど。
いつの間にかリリアンさんも外に出ていたみたいで、その特徴を聞いて少し呆れた顔になっていた。
「みつきちゃん、急いだ方が良いかもしれないわ。あの子変に自信だけはあるから、何かしでかすかもしれない」
よいやみはそれを聞いて「問題児じゃないっすか!!」と呆れていた。お前が言うなと思ったが。
たしかゴールドランクだったかな? 簡単な目利きだけど、あいつよりハグロの方が圧倒的に強いように見える。
「みつきちゃん。クレイザー君はうるさいし、行動が面倒くさそうだったでしょ? つまりね……」
リリアンさんの言いたいことがなんとなくわかった。
あんな性格だから、村で下らんことして、さらに状況を悪化させる可能性があるということだ。
そう考えたらマジで面倒くさいなぁ。
「ハグロ、忠告ありがとね。僕達は行くよ。
勇者とやらがアホなことをすれば、村が滅びかねないからね」
「そうか、鬼族に影響がでなければ、人間が何をしようと構わない。……ではな」
そう言ってハグロは仲間のもとへと帰っていった。
ハグロと別れたあと、再び馬車にのりクレイザーについて、二人に説明した。
「話に聞いたり、近くで見ている分には楽しそうっすけど、かかわるとひたすら面倒くさそうっすね」
「あのきらきらめざわり」
ゆーちゃんは、普段から冒険者ギルドに入り浸っていたからクレイザーの事を知っていたのか。
二人とも面倒くさそうに思ってくれてれば、もし、オーガの討伐の邪魔をしてきても、容赦なく排除出来そうだ。
話が終わってゆったり馬車に揺られていると、これは殺気!?
流石に、ここまでわかりやすい殺気だとリリアンさんでも気付いたようだ。よいやみは、当然、気付いている。
「リリアンさん、馬車を止めないでくださいね」
僕は馬車の扉を開いた。
馬車は結構速い。昨日のうちに着替えを買っていてよかった。
王都に来た時の格好なら、スカートがめくれていた所だったよ。
「みつき、今度はオーガっすか?」
「多分ね。何匹かがこっちに向かった走って来てるんじゃない?」
僕とよいやみが馬車から身を乗り出して会話してるのを見たリリアンさんが、感心したように「みつきちゃんは王都に来たときに、自分はなにも出来ない村娘って言ってたけど、歴戦の勇者みたいな行動をとるわね。それに、よいやみちゃんも余裕があるように見えるわ」と言ってきた。
正直、僕も意外だった。
王都の冒険者や、勇者はもっと強いものだと思っていた。
そこで僕は仮説を立てた。もしかしたら魔大陸の人間の強さがおかしいのかと。
僕の村の人間なら、人の気配、殺気の察知なら誰でも出来る。
更に、僕を含めた何人かは、生体関知も習得している。
それを考えたら、よいやみは本当に強いのかもしれないな。
遠くの方に馬車に向かって走り寄ってくる5体の影を確認した。
「んじゃ。行ってくるね」
僕は馬車から飛び降りた。
「リリアンさん!! そのまま、馬車を走らせてください!! よいやみ!! 馬車は任せたよ」
「わかったっす!!」
走り去る馬車のよいやみは少し膨れた顔をしているように見えた?
僕は闘気を使って、全力で走る。やっぱりオーガだ。
剣を抜いて、すれ違い様に一匹!! そのまま二匹目!!
残りの三匹が、僕を睨む。
いや、二匹目がまだ生きていた。
浅かったか? いや、オーガの皮膚が思ったよりが硬かったのか、斬ったはずの場所からは血が出ていなかった。
傷はある事を考えると、筋肉で出血を止めたのか? 出鱈目だなぁ。
これは、少しだけ真面目に戦った方がいいかもしれないな。
僕は少しだけ剣に闘気を纏わせる。
オーガはあと4体。
「さて、かかって来い!」
最後のみつきの剣を一本にしました。次を直すまでちょっとおかしいかもしれません。




