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ヒヒイロカネの勇者

少し書き直しました。

≪レオン視点≫ 

 俺はアロン王国の国王レオン。

 この国は魔族の脅威に長年悩まされている。こちらとしても黙ってやられるわけにはいかないので、軍を魔族に回さなければいけない。

 その結果、周りの国にも気を回さなければいけない。

 先日も魔族の軍と衝突があった。

 魔族の軍は魔物で構成されていて、死を恐れないからこちらの被害は大きくなる。

 冒険者にも討伐依頼を出したりしているのだが、魔王の脅威はなくならない…

 騎士団や軍も頑張っているのだが、どうしても後れを取ってしまう。

 

「勇者はどうなっている?」

 俺がそう聞くと、俺の周りの側近は口を紡ぐ。

 クジ引きで勇者を選ぶ。伝説の勇者《覇王》がクジ引きで選ばれた事が伝承で残っているために、この国はクジ引きで勇者を選ぶようになった。ただ、そのせいで強い勇者が生まれなくなっている。その結果、実力もなく勇者になり、そして死んでいくというのがこの国の勇者だった。

 先々代の王である俺の親父が、クジ引きで選ばれた勇者を支援することで死者そのものは減った。

 ただ、特別扱いされることから態度が増長してくる勇者が現れ、冒険者との関係も悪くなっていった。

 唯一のオリハルコン勇者のバトス、ミスリルで構成されたパーティ《パリオット》が魔王を倒してくれればと思うが、彼らはもうすでに何十年も王国のために、身を削ってくれているのでこれ以上は無理は言えない。

 せめて、もう一組、もう一人強い勇者がいればと常々考えている。

 正直に言ってしまうと、俺はクジ引きでの勇者選びは止めたいのだ…。


 俺が勇者の事で悩んでいると、俺の側近であり宰相を任しているシドが報告書を持ってきた。

「陛下、ギルドのゲイルから報告です、勇者が出現したそうです」

「出現?勇者の間に送られて来るのなら、来る前に俺への報告があるはずだがないという事はあれか?」

「恐らくそうなのでしょうね」

「で?ゲイルは何て言っている?」

「えぇ。実は…」


 俺はゲイルからの報告を聞いて、耳を疑った。

 少女が勇者の間の扉を蹴破った?馬鹿な!?あの扉には何重にも封印が施されてるんだぞ!?

 どれだけ強力な勇者が暴れても、凶悪な魔物が現れたとしても破られるはずがない結界だ。

 ゲイルからの報告はそれだけだったが、実際その勇者を目にしたゲイルから話を聞いてみたかった。

            

 後日、ゲイルに直接会って聞いてみたところ、強制的に転送されてきたわりには、怖がってるふりをしてるだけに見えたそうだ。なんというのだろう…。やけに落ち着いている風に見えたそうだ。

 実はゲイルは特別な目を持っている。ゲイルを冒険者ギルドに引き入れた理由は本人の強さもあったが、何よりその目のおかげか人を見る目が素晴らしかったからだ。

 そのゲイルが「あの少女は何かが違います」と言うくらいだ。しかし、少女か…。

 子供を魔王退治に使おうとするのは、正直心が痛む…。


 その日の夜に、ギルドのサブマスターのリリアンが俺のところへ報告に来た。

 リリアンが来ると緊張してしまう。俺はリリアンに何度も求婚しているが、いつも断られている。まぁ、諦める気はないが…。

「リリアン、俺の妻になってくれる気になったか?」

「なりません。そんな事よりも報告ですが…」

 くっ!また、断られたか。

 しかし、今回も考える素振りすら見せなかった…。それより今は報告だ…。

「本日、転送されてきた勇者についてです。報告前に言っておきますが、どれも信じられない内容ばかりだと思います」 

 そう言うと、リリアンは報告を始めた。

 俺は、黙って報告を聞いていたのだが、途中から報告そのものが何かの冗談にしか聞こえなくなってしまった。

「…以上が今日来た、勇者みつきちゃんの報告です」


 リリアンの報告で気になった事は、魔大陸の絶望の村…。そんな場所にある村に兵士はどうやってクジを持って行ったんだ?うちの軍の将軍でも、かなり危険のはずだ。

 しかも支度金を持って逃げたそうだが、魔大陸に行けるほどの将軍なら、そんなことしなくても金には困らないはずだ。

 次は強さについてだが、ゴールドランクの冒険者を一撃で沈めた?しかも重戦士の鎧を蹴り砕いた?

 俺は少女が転送されてきたと聞いたぞ?なんだ、その少女は筋肉の塊のような少女なのか?それは本当に少女か!?

 いや…。確かにゴールドランクには、ピンからキリまでいるのは確かだ。しかし、シルバーやカッパーとは違うんだぞ?勇者になりたての少女に勝てるはずがないのだ。

 リリアンから聞いた、最後の報告に俺は言葉を失った。

 魔宝玉での職業とランク判定だ。実は、このランク制度にはギルドマスターやサブマスター、それに国の重鎮しか知らない最上級のランクが存在する。

 この国の英雄であるバトスですら、オリハルコンなのだ。

 そのため、冒険者や勇者にはオリハルコンまでしかないと言ってある。

 実はこの国にもそのランクの人間が一人だけいる。

 その一人は、ギルドの問題児のゆづき。

 なぜ、あの子がそんなランクなのかはわからないが、あの子だけがそのランクを持っているのだ。

 そのランクの名はヒヒイロカネ。幻の鉱物の名らしい。 

 

 ゆづき

 職業 無慈悲なる最終兵器

 ランク ヒヒイロカネ

 

 ゆづきの職業とランクを聞いたときも驚愕したものだ。ランクもそうなのだが、ゆづきの場合は職業もおかしかったからだ。

 無慈悲な最終兵器って一体何なんだよ。聞いたこともねぇし、あの時はかなり悩んだ…。ゆづきをどう扱えばいいのかと。二、三日は寝れなかったのを覚えている。

 あのときの事は忘れられないが、再び同じことを思う日がくるとは…。

 今回転移してきた勇者の職業トランクが掛かれた報告書を見る。

 

 みつき

 職業 女神に選ばれし真なる勇者

 ランク ヒヒイロカネ


 この職業とランクを見た瞬間、俺は確信した。

 恐らくこのみつきという少女は…、絶望の村に用意されていたクジ引きは俺達の用意したクジ箱じゃない。

 推測でしかないが、伝説の勇者『覇王』と同じく女神が作り出した本物のクジ引きだ…。

 俺はリリアンに指示を出す。

「リリアン、暫く勇者みつきから目を離すな」

「それなんですが、少し困ったことになりまして」

 まだ、何かあるのかよ!? もう、お腹一杯だよ。

「ゆづきちゃんが、みつきちゃんに目をつけました。二人はパーティとして登録されました」

 マジかよ…。

 ヒヒイロカネの二人がパーティかよ。これは、魔族との争いに終止符をうてるのだろうか。

 期待していいんだよな。


 報告を終えたリリアンは、なにも言わずに部屋を去る。

「もう少し残ってくれると嬉しいんだがな。しかし、ヒヒイロカネの勇者か。結局、魔族とはわかりあえず滅ぼしあえってことかよ?女神様」

 女神様が選び出した勇者が現れた以上、魔王が滅ぶか、人間が滅ぶか、どちらかしかないだろう。

 俺としては、魔族と手を取り合える未来を願ってんるだがな…。


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