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緊急クエスト

少し書き直しました。


 よいやみの実力を見るために、手ごろなクエストを受けに冒険者ギルドに向かう。

「リリアンさん、手頃なクエストってありますか?」

 僕は勇者専用の受付に着くなり、受付に座るリリアンさんにクエストを要求した。

「みつきちゃん? そんなに焦ってどうしたの? 今日はもう夕方だから明日にしたら?」

 あぁ、よいやみを試すことしか考えてなかったから、今の時間を考えてなかった。

「じゃあ、明日行きますんで、何かそれなりに強い魔物の討伐ってありますか?」

「多少、強くてもいいの?」

 僕は、よいやみの事とお金の事を、リリアンさんに説明した。

 リリアンさんはこれはちょうどいいと言った顔で、一枚の依頼書を僕に渡してくれた。

【緊急依頼 集落がオーガに襲われている。至急救援に向かう事】

 僕は依頼書を見て、少しビックリした。

「緊急依頼? こんな大事なクエスト、冒険者になったばかりの僕達に任せていいの?」と僕がリリアンさんに聞くと「本当なら冒険者になって二日のみつきちゃんには頼めないわよ。でも、今日の朝のあの強さを見せられると、任せても大丈夫かな? ってね」

 僕は暫く考える。

 よいやみの力を見るのには良さそうだが、緊急依頼を力試しに使ってもいいのか……。まぁ、いいか。

 もしよいやみが弱かったとしても、オーガがこの前のゴブリン程の強さなら、闘気を使えばどうとでもなりそうだ。

 もしオーガがあれ以上の強さだった場合、かなりキツくなる。

「リリアンさん。この依頼を受けようと思うので、道案内ともしもの時の為に優秀な冒険者を一人付けてくれませんか?」

「僕がついて行きましょう!!」

 急に後ろから声がする。誰?

 振り返ると、キラキラ光る鎧を着た、若そうな青年が立っていた。

「リリアンさん! こんな小さい女の子に緊急依頼なんて危険です。ここは勇者である僕がついて行きましょう!!」

「リリアンさん。この眩しいのは何?」

「僕はクレイザー!! くじ引きで選ばれたゴールドランクの優秀な勇者さ!!」

「ゴールドランク? 雑魚?」

「クレイザー君、この子はみつきちゃん、ランクは……」

 クレイザーと呼ばれた勇者は、いきなりその場でくるくる回り始めた。何だこいつ? あ、キメのポーズをとった。

「大丈夫ですよ!! 守ってみせます!!」

 いや、絶対無理だろう。

 そんな事より、ゴールドランクってあの三馬鹿クラスでしょ? 足手まといで邪魔だよ。

「みつきちゃん、あからさまにこれ邪魔だなって顔しないであげて? それにゴールドランクは決して雑魚じゃないからね?」

「僕は優秀な冒険者に付いてきてっていったんです。よいやみですら強いかどうかわからないのに、それ以上に、面倒くさい……いえ、役に立ちそうにない人はいらないです。もし、よかったらゲイルさんに道案内を頼みたいです」

 クレイザーは、キメポーズのまま、微かに肩を震わせながら叫ぶ。まず、その鬱陶しいポーズを止めろ。

「き、君は僕を足手まといと言うのかい!? ゴールドランクの僕を馬鹿にするとは、君のランクはなんなんだい!?」

 僕が答えにくそうにしているとリリアンさんが代わりに答えてくれる。

「この子はオリハルコンよ、仲間にはゆづきちゃんもいるわよ」

 クレイザーは、ゆーちゃんの名前を聞いた瞬間、青褪めた。僕のランクよりもゆーちゃんの存在の方が怖いみたいだ。

「き、君には、ぼ、僕の助けはいらないみたいだ。また、何かの機会があれば!!」

 うん。君とは次の機会はないと思うよ……。


「で? ゲイルさんに頼めませんか?」

「私が行くわ」

 リリアンさんが? リリアンさんって強いんだろうか?

「私は元ミスリルランクだから、そこそこ戦えるわよ」

 リリアンさんによると、冒険者からギルドの運営の方に、引き抜かれたときに、ランク適応外になるらしくて、元というのがつくらしい。

 それ以上に、こんなに美人さんと出かけるというのは、ちょっと緊張する。

 しかし、緊急なら今すぐ出発した方が良いんだろうか?

「緊急とありますけど、今すぐ出ますか?」

「そうね、馬車を用意するわ。そのよいやみって子を連れてきといてね」

 そう言って? リリアンさんはギルドの奥に駆けていった。


 部屋に戻った僕は、大事なことを思い出す。

 一つは、ゆーちゃんが寝てしまっているのだ、起こすのはかわいそうだが、起こして事情を説明する。

「……ってことなの。ゆーちゃんが待ってるって言うなら、待っててもいいからね」

「いく」

 ゆーちゃんは、目を擦りながら起き上がった。

 さて、もうひとつの問題だ。

「あんた、いつまで麻痺してるの!」

 僕は床で転がるよいやみに聞いてみる。

「鬼っすか!? 麻痺らせたのはみつき達じゃないっすか!? すぐに治るって言うから待っているっすけど、全然治らないじゃないっすか!!」

 仕方ないなぁ……。動けないなら引きずって行くしかないよね。僕は、よいやみの腕を掴むと引きずって部屋を出ようとした。

「ちょ、ちょっと待つっす!! さっきは上りだったから痛かったっすけど、まだマシだったっす。だけど今度は下りっす!! 死んでしまうっす!! それに当然のように引きずっているっすけど、みつきみたいな小さいやつが、なんであしを簡単に引きずれるんすか!?」

 そうか……喧嘩を売っているのか……。

「もしかして、魔力を身体に流してるんすか!? なぜ、ししょーと同じこと出来るんすか!? い、いや!! そんな事よりなぜ階段で止まっているんすか!?」

 僕は階段からよいやみを放り投げる。

「ぎゃああああああ!!!」

 よいやみ、麻痺してるのにうるさいな。

 僕はゆっくり階段を降りる。生きているかな?

「な、なんてことするっすか!!!」

 生きていたよ。

「ほら、緊急クエストだから早くいくよ」

「みつきは鬼子っす」

 麻痺してるのに、カタカタ震えだした。こいつ、本当に麻痺してるのか?

 と思ったら急に立ち上がる。麻痺が解けたのか?

「麻痺が解けたおかげで受け身が取れたっす……」

 それは良かった。


 三人でロビーに行くと、リリアンさんが待っていた。

「その子がよいやみちゃんね。可愛い子じゃない」

 さっき、廊下ですれ違ったときは、よいやみの顔をよく見てなかったらしい、こいつ顔だけはいいからな。

 リリアンさんを見た、よいやみがふるふる震えている。

 まだ、麻痺が残ってるのかと思ったが違うようだ。

「めっちゃ、巨乳っす!!」

 リリアンさんは驚いた後、呆れた顔をして、僕の方を見て苦笑する。僕はリリアンさんの顔を見て静かに頷く……。

 

 うん。やっぱり、よいやみは口を開くと残念なやつだ……。

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