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閑話 ボロボロの冒険者

「なさけないな……」

「クリフ……」


 何をやってるんだ俺は……。


「……エリーを止められなくて、だったらエリーもシェリルも絶対に守るって腹を括ったつもりがあの様だ。それに助けてくれたデミトリにも迷惑ばかり掛けてる……足手纏いって思われても仕方が無いな……」

「……」

「リーダー失格――」

「えい」

「痛っ!?」


 不意打ち気味に脇腹をシェリルに突かれ、冷たい氷の足場に手を付く。


「シェリル??」

「そういう反省の仕方は良くないから。エリーを説得出来なかったのは私も同じだし、助けが間に合ったのはクリフが命懸けで守ってくれたお陰よ? 本人だとしても、私の自慢の仲間を不当に低く評価しないで」

「……すまない」

「もう、クリフは当分謝るの禁止!」


 シェリルには敵わないな……。


「心配を掛けて――いや……ありがとう、シェリル」

「どういたしまし――」

「!? 何が――」


 俺達が乗ってる台を囲った厚い氷の壁越しでも空気が震えるような凄まじい衝突音に驚いて振り向くと、デミトリが氷壁を殴りつけていた。


「マジかよ!?」


 ジェイドと呼ばれた男が驚愕するのとほぼ同時に脈打つように氷を伝っていた罅が止まり、一拍置いて氷壁が粉々に砕け散る。


 細かな氷の結晶が舞い松明の明かりに照らされ、廃坑の中とは思えない幻想的な空間を見つめながら何が起こったのか脳が処理できず呆気を取られていると、横から声が聞こえて来た。


「あの氷壁を素手で……!?」


 流石にシェリルもデミトリがこんな所業を出来るのは想定外だったみたいだ。


 それもそうだ……普通の冒険者はあんな事出来ない。それとも、デミトリが特別なだけじゃなくて金級になるならあれ位が出来て当たり前なのか……?


 だとしたら、俺は――。


「また良くない事を考えてない?」


 手を痛めてしまったのか、回復薬を飲むデミトリの事を無意識に目で追っているとシェリルから話し掛けられた。


「そういうわけじゃ……」

「本当に?」

「……想像してた以上に、金級への道は遠いなって少し思っただけだ」

「本人は自分なんて大したことが無い風に私達に接してくれてるけど、デミトリは二つ名持ちなのよ?」

「そうは言ってもデミトリの等級は俺達の一つ上の金級だ。比べちゃうのは仕方ないだろ?」


 デミトリが収納鞄から出してくれた毛皮の上に座っているとは言え、氷で出来た小部屋の中で過ごすのは想像以上に俺達の熱を奪っていたらしい。


 シェリルに握られた手の冷たさに驚きながら、咄嗟に空いていたもう片方の手で彼女の手を包み込む。


「ソロで活動が認められてるんだから、デミトリの実力は最低でも白銀級の冒険者と同等よ? 私達も白金級の冒険者を目指してるから、いつかは追いつかないといけないけど……その時が今じゃないってだけで焦る必要は無いわ」

「そうか……そうだよな」


 実力不足でシェリルとエリーを危険に晒して救助されてしまった負い目もあったのかもしれない。彼女の言う通り、少し焦り過ぎた……。


 今は無理でも良い。いつか必ず追い付いて見せる。


「……色々と弱音をごめんな、話せて大分すっきりした」

「もう、謝るの禁止って言ったじゃない? でも、気持ちは分かるわ……今回の件で私達の力不足を痛感したから、これから気を引き締め直して頑張りましょう?」


 私達、か……今は謝罪の言葉を胸の奥に仕舞うけど、シェリルにここまで言って貰わないと大事な事に気付けなかった事はちゃんと反省しよう。


 俺達はパーティーだ。一人でうじうじしてる暇があったら俺達の今後について考えて前を向かないと。


「ありがとう……一緒に頑張ろう」

「うん!」

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