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閑話 群れの序列?

「はぁ……はぁ‥…」

「素の身体能力も凄いし身体強化も使い慣れてるみたいだけど、動きが直線的過ぎるかな~」

「ちょくせん……てき??」

「真っ直ぐ向かって来るだけじゃ勝てないよって事」

「……もういっかいやったらかてるもん……!」


 アイリスちゃんかわいい。それに、磨けばかなり強くなりそう。


「ふふ、いいよ~? でもせっかくだから何かを賭けて勝負しない?」

「かけ??」

「私に勝てたらアイリスちゃんの言う事を何でも一つ聞いてあげる。代わりに私が勝ったら私と仲良くして欲しいな」

「セ、セレーナさん!? 本当に大丈夫なんですか?」


 急にこんな事を言ったらカミール君が心配するのも無理ないよね~。


 でも、このままだと歩み寄ろうと頑張ってるヴァネッサちゃんが可哀そうだし、デミトリもアイリスちゃんに強く言え無さそうだから誰かが何とかしないと。


「うん、心配しないで。また審判をお願いできるかな?」

「えっと、僕は構いませんけど」

「それじゃあカミール君の合図で開始ね?」

「……わかった」

「お二人共準備は良いですか?? ……始め!」

「!?」


 わー、すごいびっくりしてるね。攻撃が直線的って言われた後、まさか私が突っ込んでくるとは思わないよね~。


「ぐっ……!?」

「そこまで!!」


 肉薄して組み伏せたアイリスちゃんを解放して、咳込む彼女の背中を優しく摩る。


「こほっ……つよい……!」

「剣を使えたら――ううん、剣を使ったらもっと強いよ!」


 ゴドフリーにこれ以上心配を掛けたくないし、私もいい加減立ち直らないと……。


「セレーナさん……! アイリスさんは落ち込んでるみたいなので傷口に塩を塗り込まないでください」


 カミール君が横で呆れてるけど、これ位言いきらないと――。


「……でみとりのほうがつよいもん!」


 ほらね。アイリスちゃん、見た目は大人っぽいけど性格は結構分かりやすいな。


「それは否定しないよ? デミトリは私よりも強くて、私はアイリスちゃんよりも強いって事」

「むぅー……!」

「待ってくれ、そう言う意味じゃない!!」


 そりの扉が開いたのと同時に、悲鳴に近い大声が聞こえて来て全員の視線がそっちに集まる。


「えっ……」


 絶句してるアイリスちゃんの視線の先で、ヴァネッサちゃんの両手に顔を包まれたデミトリが膝まずいてる。


 大丈夫かな? 魔力の揺らぎ的にかなり力が入ってない……??


「じ、純粋に冒険者業が上手くいっている事を褒めたかっただけで、他意は――」

「私ね? デミトリを信じて、余計な心配をさせないようにって最近凄い頑張ってたんだよ?」

「ヴァネッサ――」

「それなのに『これなら一人でも何とかなる』なんて言われたら……悲しいよ?」

「俺の言葉の選び方が悪かった、そんなつもりは――」

「本当に?」

「勿論だ!」


 ヴァネッサちゃん、ずっと無理してたから感情が爆発しちゃったかー。端から見てて凄い辛そうだったからいい機会だったかも。


 デミトリは頭が良いのに変な所で無神経だよね……聞こえてくる言葉の端々からどんな擦れ違いが起こったのか大体予想出来るけど、それはヴァネッサちゃんも怒るよ。


「……ご?」

「ご……?」

「ごめ?」

「! ごめんなさい……」


 二人は周りの事なんてお構いなしだけど、アイリスちゃん完全に放心状態になってるね……全然反応が無いから、隙をついて背中から頭に手を移動させて撫でてみたらぴんとアイリスちゃんが背筋を正した。


「ヴァネッサ……でみとりよりつよい……!?」

「! うーん……? ある意味そうかも?」

「そんな……!」


 え、なんで膝から崩れ落ちて――。


「おさよりつよいってことは、アイリスよりつよい……」


 なんでそうなるの……??


 コボルドについてはあまり詳しくないけど、群れで生活するから序列意識が強いのかな? 仲良くなるためって考えると不純かもしれないけど――。


「ねーねー、私もアイリスちゃんより強いよ?」

「うっ……!」

「だから仲良くしようね?」

「くぅー……うん……」


 完全に納得したわけじゃなさそうだけど、アイリスちゃん側からも歩み寄ってくれるって言ってくれて良かった。


 強さの序列がアイリスちゃん的に重要なら、私もうかうかしてられないな。アイリスちゃんは叩けば伸びるだろうから、一緒に特訓すれば――。


「いけないいけない」

「??」

「こっちの話」


 まだ武器を持ってまともに戦えないくせに試合をしたくてうずうずしてる場合じゃないよね。


 そんな事より、散々デミトリ達に助けられたんだから今度は私がみんなの力にならないと。


「ヴァネッサちゃんとも仲良くできるよね?」

「でみとりよりつよいから、がんばる……」

「うーん……今はそれで良いんだけどね?」

「??」

「私は強いとか弱いとか関係なくアイリスちゃんと仲良くなりたいよ?」

「……!」


 前世から周りを遠ざけて、敢えて孤立しながら刀狩り紛いの事を繰り返してた私が言って良い台詞じゃないかもしれないけど……。


「私ずっと独りぼっちだったから。アイリスちゃんが認めてくれたら友達になって欲しいな」

「ともだち?」

「うん!」

「……け、()()()()する」

「え?」


 ちゃんと話すのが初めての私でも、アイリスちゃんらしくない言葉遣いなのは分かる。そこまでして拒否したくなる位嫌だったのかな……。


「セレーナさん! アイリスさんが言ったのはニルさんからの受け売りで……とにかく前向きに考えるって意味だと教えてるので!」

「そうなの?」

「じゅ、じゅくこうに、あたいする……!」


 よく見るとアイリスちゃん頬を赤らめて――。


「照れ隠しか~かわいいなぁ」

「や、やさしくなでて!」

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