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第489話 アイリスの魔法練習

 ヴィラロボス辺境伯邸に到着し、魔法の練習をする前に腹ごしらえをするためアイリスと軽い昼食を取っていると、カミールが王家の影の同僚のルークを連れて来てくれた。


 十中八九ケイレブ殿は既に状況把握していて俺の杞憂に終わると思うが……念のため冒険者ギルドで目撃された不審な冒険者達についての報告。


 そしてイーロイ……ないし冒険者ギルドとの連携を強化した方が良いかもしれないという、お節介にも程がある内容を俺の代わりに伝達してくれるらしい。


「仕事を増やして申し訳ない」

「丁度リーゼへの伝言とエリック殿下への報告を終えて暇だったから気にしないでくれ!」


 ヴァネッサ達を呼び戻すための連絡係も、ルークが担当していたのか。


「ちなみに……話が変わっちまうが、しばらくここにいる予定か?」

「? ああ。カミールとアイリスの体力次第だが、日が暮れるまでは魔法の練習をするつもりだ」

「えっ!?」


 会話を聞いていたカミールが驚いているが、初めて魔法を習うアイリスが居るんだ。それ位時間が掛かってしまうのは当然だろう。


「そうか。終わってからで全然良いけど話したい事がある。後で時間を貰っても良いか?」

「勿論だ」

「ありがとう。じゃあ、ヴィラロボス辺境伯への伝言は任せてくれ!」


 そう言い残してルークは辺境伯邸の正門に向かって走って行った。昨日邸宅に帰って来たばかりなのにケイレブ殿はまた外出しているのか……過労で倒れないと良いが。


「でみとり、はじめよ!」

「デミトリさん、アイリスさんはともかく僕はそんなに激しい特訓じゃないですよね? 『体力次第』って言うのは……?」


 ルークの姿が見えなくなった後、立て続けに聞こえて来た声に振り向くと対照的な二人が瞳に移った。やる気に満ち溢れたアイリスと違い、及び腰のカミールは少し顔が引きつっているようにも見える。


「それじゃあ始めようか」

「うん!」

「カミールの質問についてだが、浮遊する足場の魔法を習得出来たら王家の影の任務でも応用が利くだろう? 一朝一夕で習得できるかどうかは分からないが、全力を尽くした方が確率は高いと思わないか?」

「全力……分かりました、頑張ります!」


 言葉に乗っている覚悟が大分重そうなのは気のせいか……? とにかく、カミールがやる気を取り戻してくれたようだしつっこむのは止めよう。


「まずはアイリスの指導から始めた方が良さそうだな」

「やった! どうすればいいの?」

「魔力を知覚出来ているかどうか確認しようと思うんだが、カミールはどう思う?」

「え、僕もアイリスさんに教える側なんですか!?」


 話の流れでカミールを誘って、勝手に決めてしまったので驚いて当然だが……ここはもう押し切ろう。


「当たり前だろう? 自慢じゃないが俺が使っている魔法は呪い由来の物だし、魔法の扱いについてもほぼ教育を受けていない。アイリスが魔法使いとして大成できるかどうかは、カミールにかかってると言っても過言ではない」

「めちゃくちゃ過言です!!」

「せきにんじゅうだい」


 アイリスは責任重大なんて言い回しをどこで覚えたんだ……? あり得るとしたら、昨日ニルとカミールと待機していた時に教えて貰ったのかもしれない。


 街に繰り出した時、注意深くアイリスの様子を伺っていたが……良くも悪くも俺だけでなくカミールと、その他の人間に対しての態度には大きな違いがあった。


「せきにんじゅうだいだよ?」

「わ、分かりました! 二回も言わなくて大丈夫です!」


 今もカミールとは普通に話せているが、訪れた本屋ではアイリスに友好的で温厚な店主とも目を合わせようとすらしなかったからな……いい機会だと思っていたが、お金の使い方を教えるのは諦めて一人で会計を済ませてしまった位警戒していた。


 完全な他人と接するのはまだ難しくても、せめて仲間の括りに入ったカミールともっと仲良くなれれば良いと思い指導役に無理矢理巻き込んだのだが――。


「僕、人に教えた事なんてないですよ??」

「奇遇だな、俺もだ。一緒に頑張ろう」

「あいりすもならうのはじめてだからだいじょうぶ」

「えー……」


 少しだけ幸先が不安だが、やれる事をやってみるしかないな。


「えっと、じゃあ……アイリスさんは自分の魔力を感じ取る事は出来てますか?」

「? よくわかんない」

「身体を動かす時、よく身体強化の魔法を使っているだろう? その時は魔力を操っている自覚はないのか?」

「んー????」


 無意識に発動していたのか……。


「ちょっと待ってください。僕、アイリスさんが魔法を発動したのに今まで気付いた事ないですよ?」

「アイリスは身体強化の魔法が得意なんだ」

「へへ」


 褒められてご満悦な様子でアイリスが頭を掻いているが、カミールは困惑しきった表情で彼女を見つめている。


「得意って……」

「それにカミールが気付かないのも無理はない。俺もアイリスが身体強化を発動する時、魔力の揺らぎとも呼べない程微かな魔力の漏れしか感じ取れていない。無自覚だが、魔力操作の才能があるんだと思う」

「でも、自分の魔力を知覚できてないとなると困りますね……」

「そうだな。荒療治になってしまうが……試してみるか」

「え、何を――」

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