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後輩にライダーにされた俺は異世界に召喚されて熱中症になりそうです。  作者: ふうらいぼう


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山田刑事と残骸の王子様エンカウント開幕

コラテラルダメージ! コラテラルダメージは全てを解決する......!


とりあえずダンテ王子......本当にすまん! もやしだの顔色悪いだのハンスだの言ってマジですまん!......は悪人で無い事が確定したならば、後はおじさんを討ち取って全力で土下座しかねえだろう……!


ダメな時は逃げよう。そこは異世界なんだし。勇者は揉め事が終わればドロンするのが世の常というならば、刑事が同じことやったって悪いって道理はなかろうよ! 俺は恐る恐る通信機に各階の攻略法を聞きつつ、ひたすら最上階を目指していた。


途中で自身の罪に関して、通信先に聞いてみた所......「斬首刑だけは免れるかもしれないっすね?(ぺっ)」という敵意マシマシの一言が。ああ、こりゃあどうすっか。深山君なんかいるっぽいし。よもやオレぁが逃げた場合、あの子が捕まって処刑とかされんだろうな?


その場合は、佐枝ちゃん......まさか、こっちにあの子もいるとは思わんが、あの子がどういう報復に出るかが何故か異様に気になるのはどうしてだ? あの子は普通のお嬢さん......とは思えんが、まあ、一般人だとは思う。まなぶさんが懐くんだから悪人ではない。きっと。


オレぁガシガシ頭を掻いた。現在57階。もうどこもかしこも炎の海で、不思議とそれが広がらないのが謎だったが、ともあれ攻略法をしっかり頭に入れつつ、おじさんとの戦いに備える。外の連中が全員敵だと思っていたから、1人で殴りこまなきゃいかんと思っていたが、仲間がいるなら話は別だ。


「うぉっと!?」の野郎が、何処をほっつき歩いているかは知った事じゃないが、少なくとも今現在は、オレぁやお巡りさんのターン。ここで思わぬ邪魔とかはしてきやすまい。途中でハイパーアーマーいう鎧を拾えたお陰で、今のオレぁ......迷野が見たら大爆笑ものだろうが、タンクトップではなくなった。


ああ、本当オレの外面に合わんな。でもまあ、動きが制限される事とかはないし、これのおかげで即死を防げると思えば、ライヘンバッハの滝の3倍は気が楽というものだ。オレぁ、ニューナンブとシグをそれぞれ手に握りながら、ハーっと息を吐く。


ダンテ王子の隊は階下35層あたりをウロウロしている様子だ。このまま此処で合流を待っても良いが、気まずい事を先送りにしたい気もあったので、オレぁ先へ進もうとしたその時だった。


「!」


異様な気配を感じ、ふと曲がり角の方を見やる。そこには……中心に赤い服と金髪を着ていたと思われる何者かの骸骨が入った......母の胎内を模した?......キューピー人形と達磨さんの出来損ないの様な巨大な何かが浮いていた。


――「ココハあたたかい。あたたかい。ココハあたたかい。あたたかい」――


人の声らしいもの......ああ、ちくしょう、これは今までのお約束から言えば、あの仏さんっぽいなぁ!?ついでに、こりゃあ、『手からビーム出しちゃうおじさん』の趣向ではない。ガチもんの化け物案件の方か! 


オレぁ、反射的に横に飛びのく。その直後さっきまでオレぁがいた所にヌラヌラした粘液にまみれた透明の手が山と突き刺さった。それは床を引っこ抜き、怪物は自らの口にそれを頬張る。ぐしゃぐしゃぐしゃ......!


同時に体に金髪の子供の顔が山と浮かんだ。彼らは一斉に笑う。


「おかあさま! おかあさま! おいしい! おいしい!」


......こういうのは、『あだしぎり』の案件だろうに! オレぁ呪いを吐きながら、怪物に拳銃をぶっ放す。銃弾はキューピーチック達磨......略してキュピ達磨の体に当たるもニュポンっと音を立てて、中に吸い込まれてしまった。


金髪の子供達は、「あめだまー。おかあさま......! あめだまですね! ごほうびぃぃぃ?」と良い笑顔だ。ええ、お前の母さん、銃弾をオヤツに出してくれるんかい......!? 異世界の母子関係ってどうなって……いやあ、そうじゃねえな、こりゃあ。


さて......どうしてこんな怪物がいきなり降って湧いたのか。オレぁ即座に幾つかの仮説を頭の中に作り上げてみた。「うぉっと!?」こと迷野の死神女に関わってからというもの、こんな案件には何度か出くわした事がある。


『ココではない今、あっちではなく何処か』


......そういう頓智なんだかペテンなんだか分からん、世界の外から落っこちてきた物を目撃するなり喰われるなりして、存在そのものが狂ってしまった気の毒な残骸風情。本来、こういうのを駆除だったり、世界の外側へ追っ払うのは、最近少子高齢化でめっきり数を減らしている討伐組織『あだしぎり』の仕事だったりするのだが、オレぁがあった場合は......さて、本当に困った事になる。


基本、こういうのと長く関わっていると、オレぁは何故か平気なのだが......迷野が何かをしたか?......見ている人間は身も心もおかしくなる。今までで一番ひどかったのは、構成物質と炎が全部入れ替わって、エリア一面生き物から建物まで、みんな火だるまになったというオチだが......ともかく、通常の様に直の増援が期待できないのがまず1つ。犠牲者が増えるだけになっちまう。


2つ目は、さっき銃撃した時そうだったように、何をやったら死ぬのかがサッパリ分からん事が多いという事だ。『あだしぎり』の連中みたいに、気配なり雰囲気なり心中なりに化け物と結ばれた部分を見出して逆算して壊すみたいな事が出来たら良いが、そもそもの問題、オレぁには何言ってんだかサッパリ分からん。


お約束だと、あの仏さんが入っている玉みたいなのぶっ壊すことが効くかもなという事で、撃ったが......うぉ!? きっしょ! あの玉子供の口みたいになって、やっぱり銃弾飲み込んじまったぞ......!?


ええ、どうすんだよぉぉぉ!?(´;ω;`)


オレぁ泣きたい気持ちを堪えながら、再び飛んできた生々しい腕を回避しつつ、今度は懐に手を入れてさっき騎士からかっぱいだ、炎入りの筒を2,3、投擲してみた。すると筒の爆裂で腕の先端が消し飛んだのが見える。


ああ、そう。そういう感じね。物理じゃなくて魔術みたいなもんなら効くという感じか。そうか。だったら後は......


オレぁ、自分の汗をぬぐいつつ、切れた唇をなめながら毒づいた。


「……これをどうお前の中に放り込んだら死ぬかを......ゆっくり検証してやろうじゃあねえか!!」


......何故か、これを見ていると迷野のにやけヅラが浮かぶが、今はそんな事はどうでもいい。此処を生き延びて、おじさんにワッパ掛けるまでは......リタイアなんざしてやるもんか......!


(ダンテ王子達の到着まで、あと20分)

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