第五話 トイレの花子さん
前回の第四話――この小説にしてはかなり珍しく良い引きで終わったと作者は我ながら思う。それもそのはず、非常にこの小説のタイトル通り、妖がちゃんと登場したっ!!
(まって?! これ、トイレの花子さんってコト?!)
そう――朱音ちゃんの名推理『トイレの花子さん』である。
有名すぎて説明するまでもないが、学校の七不思議とかいうのがあるだろう。日本の学校にまつわる七つの都市伝説のことだが、その中で最も有名なのがこの『トイレの花子さん』ってやつである。
『トレイの花子さん』――学校の特定の女子トイレに現れる、女の子の姿をした怪異である。色々と俗説はあるが、よく言われるのが『校舎の三階』だとか『奥から三番目の個室』だとか、まあ言いたいこととしては要するに――、
(これは確実にトイレの花子さんだ! なぜって、三だよっ! 三!!)
そう――三。トイレの花子さんを語る上で、この数字は外せない。朱音の推理は的を射ていた。なにせ、三という数字がすべて重なるとき、その怪異は姿を現すというのだから。そして――、
「って、えぇ?!」
思わず、声が出た。いや、これもまあ、無理もない。なにせ、朱音の目の前に現れたのは――、
「やぁやぁ。ったく、私を起こしたのは君かいっ??」
「って、わっ! ホントにっ?! ホントに貴方…トイレの花子さんっ?!」
「いかにも。私が七不思議が三番・花子だ」
――予想通り。個室のトイレの中、朱音はその怪異・トイレの花子さんと二人きりになった。だが――、
「花子さん…って、アレ? 想像してた姿とちょっと違うわね、貴方」
「…ったく。君が勝手に私を起こしたってのに、最初の一言がそれかい! 全く、人間ってやつは…」
なんだか不機嫌になる花子さん。まあでも、朱音がそう思うのも無理はなかった。
なにせ、その花子ってやつの見た目っていたら――、無論、皆がよく想像するような赤いスカートにおかっぱ頭っていうステレオタイプ的な花子ではない。
って、ステレオタイプな花子って、なにそのパワーワード(笑)って、ひとまずそういうツッコミは置いとこう。それもそのはず、その怪異・花子の見た目を以下に記す。
黒髪のショートウルフヘアに赤いインナーカラーを入れた、いかにも現代的なルックスをした少女。まるで怪異とは思えない。目は切れ長であり、眉毛も同様に鋭い。長いまつ毛は女性的だが、全体的には中性的な顔立ちであり、肌は妖らしく雪のように色白い。手足は細く、背は高めでスラッとしており、黒いレトロ調のセーラー服を着ている(って、萌え要素多くね??⦅笑⦆)。
「花子さん…案外貴方、そんな格好良かったのね」
「って、急になにを?!」
って、朱音?! ったく、コイツは急に、怪異相手になにを言い出すんだか。まったく気が知れたわけじゃないんだから。ほら、そんなことをストレートに言われた花子もなんだか照れている。
「花子さん…貴方って、顔が赤いのね」
「いや…! って、これはだな…妖の赤く染まる霊力ってやつだよ! いや、ガチでそうだ!」
なにかを誤魔化した花子。そして、妖にも容赦なく話す謎の陰キャ女子・朱音。ついにっ! 二人のちょっと不思議な物語が幕を開けたのだった!!




