第二話 図書室でのひととき
(図書室へ向かうぞっ!!)
そんな意気込むことではないが、友だちのいない彼女・朱音にとって、この放課後の時間というのはかなり楽しいひとときなのである。なにせ、彼女の手には――家から持参した新刊のラノベが!!
(ラノベ! ラノベの続きを読むぞっ!!)
ったく――この朱音ってやつは全くだ。この物語の主人公でかつメインヒロインだってのに、第一話からずっとラノベのことしか考えとらん。いや、でもまあ無理もない。なにせ、彼女は本当に何度も繰り返しにはなるが『陰キャ』なのだから(笑)。
まあ、それもそのはず、陰キャにとってこの図書室とかいう場所は言うなれば、御用達のような施設であるのだ。いや、そんなこと言ったら全国の図書室ユーザーに失礼だろと、そうツッコミが入るのも無理はない。だが、図書室は確かに陰キャにとって居心地の良い場所なのである。
理由としては、その施設的な性質がある。図書室は言うまでもなく、本を読む施設である。なにせ、『図書』室というぐらいだから。そして当然、本を読むのであれば静かにするということも必要条件である。そう――故に、図書室は静かであり、色々とおしゃべりをしたい陽キャたちは立ち寄らないので――、
(図書室! 静かで快適っ! 誰もいないっ!!)
シーン――、と静まり返った図書室で、朱音はただ一人胸を弾ませていた。それもそのはず、ここでは彼女一人でゆっくりとラノベを読むことができ、妄想に明け暮れることができる!!
(最高じゃねぇか!!)
そう――最高なのだ!! ヲタクとしてはやはり、新刊ってのは静かな環境で集中して読みたいってもんだ。それが朱音のポリシーだった。そして、初めて読むという衝撃をじっくりと堪能する。
(あぁ…最高! この展開っ! 最高すぎるっ!!)
ラノベを読む手が止まらない。図書室のカウンター的?な隅っこの席で一人、ただ黙々と朱音はページをめくり続けた。ときどき入るちょっとエッチい挿絵が、余計に彼女の想像をはかどらせるっ!!
(っわ…! これはガチでヤバいのではっ?!)
なんたるエッ(自主規制⦅笑⦆)!!
ったく、朱音ってやつは全くだ。ヲタク特有のニチャア顔を自然に浮かべ、せっかくの美人な顔が台無しではあるまいかっ!
だが、そうなるのも無理はない。なにせ、この公共の場である学校という空間の中、ちょっとエッチい挿絵を合法的に見れるっ! その罪は重いが、故にラノベは嗜好だし、最高だっ!!
――って、朱音ってやつは改めて全くだ。この物語のヒロインであるという自覚が彼女にはないのだろうか? ってか、この物語、いつになったらタイトル通り、妖が出るようになるんだ(笑)??




