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陰キャ女子、妖にだけはなぜかモテる  作者: てんまる
【第一章】 朱音と花子・出会い編
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第一話 陰キャヲタク女子・赤染朱音

 ――浮世うきよある限り、あやかしあり。


 妖――それは人間の負の感情や未練などの地縛じばくから生まれる怪異かいい。不可解な怪奇現象を起こし、ときに悪事を働く。彼らの住まうこの浮世に、一人の少女がいた。


 赤染朱音せきぞめあかね――それが彼女の名だ。今春から高校一年生となりこの『都立桜花高校とりつさくらはなこうこう』に通う彼女。かなりの美少女だった。


 ミルクティブラウン色のふわっとしたロングヘア。重めの前髪。ぱっちりとした垂れ目に長いまつ毛。太眉ふとまゆ童顔どうがん乳白色にゅうはくしょくの肌。低身長ながら豊満ほうまんなバスト。


 そんな容姿端麗ようしたんれいな彼女だが、性格はまあ――悪く言えば、『ザ・陰キャ』と言った感じだった。要は、ラノベの主人公によくありがちなヲタクちゃんタイプの内気な女の子といったところだろう。今日も今日とて、彼女は朝から教室の隅で読書をしている。


(――ああ、面白っ)


 キョトンとした表情をしているが、朱音の脳内には様々な妄想で溢れかえっている。言い忘れていが、それもそのはず、彼女のする『読書』とは決して大層な文学作品や学術本を読むようなことではない。なにせ、彼女は陰キャだ。陰キャが好きな読書とは、言わずもがなズバリ――、


(ラノベ! 面白っ!!)


 そう――ラノベだ! ライトノベルだ!! 朱音、彼女はラノベが大好きだった。

 特にラブコメ系のが好きだった。あり得ないくらい相手役にモテるヒロインの女の子が出てくるような、そんな非現実的な話がお気に入りだった。まあ、ヲタクなら誰しも好きなジャンルだ(笑)。


(はあ…。こんな私にも、白馬の王子様が突然来てくれたらなぁ…なんて)


 時々、そんな馬鹿なことを考える。いや、年頃の女の子なのだから朱音がこのように考えるのも無理はない。だが、彼女は何度も繰り返しになるが陰キャでヲタクだ。そんなヲタクちゃんな彼女に、白馬の王子様など、やって来るはずが――と思っていたのだが――、


* * *


 ――放課後。


(よし…! 続きを読むぞ!!)


 なにやらウキウキとした表情で廊下を歩く朱音。陰キャな彼女がこんなにも笑みを浮かべているとは珍しい。とうとう友だちってもんができたのかと、疑うが――まさか、彼女に限ってそんなことはなかった。


 そう――朱音には、放課後、彼女だけの秘密の楽しいひとときがある。


(図書室へ向かうぞっ!!)

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