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轟き照らすは金の龍  作者: 火蛍
リバース・アルケミスト
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命なき土塊

 土塊で作られた再生キメラの出現から数日。

 日夜問わず出現する再生キメラたちにアルムとアルジェは憔悴させられていた。

 個々としての力はアルムたちには遠く及ばないものの、あまりにも数が多かったのである。


 「あー、これじゃキリがないや」


 土塊のキメラを屠ったアルムは建物の陰で人間の姿に戻ると壁に寄りかかって疲労のため息をついた。 

 もう同じ姿のキメラを何体倒したかも覚えていない。

 千年前のキメラ殲滅よりも酷い有様であった。


 「アルム、やはり大元を断たなければ」


 アルジェがアルムに提言した。

 再生キメラを製造している元凶がいるのは明白であり、そこをどうにかしなければ再生キメラは無限に湧き続ける。

 だがアルムにはそこに踏み切れない理由があった。


 「わかってるよ。でもボクたちがアイツらを倒さないと町の人たちが危ないじゃないか」


 アルムは再生キメラの大元を叩きに行けない理由をアルジェに語った。

 アルムの使命は『キメラから人間を守ること』であるため、再生キメラに襲われている人間がいればそれを助けることを優先する。

 自らに与えられた使命がその場で足踏みを繰り返させていたのである。


 「なら私が大元を探す。連絡はスマホで」


 アルジェはそう言うとアルムと別れて単独行動を開始した。

 アルジェがマスターであるカグヤから与えられた使命は『マスターを守るために戦うこと』であるため、彼女にとってカグヤ以外の人命救助は二の次である。

 そのため使命に反しない範疇であればある程度の犠牲も厭わない行動に踏み切ることができた。


 しかし単独行動に際してアルジェには欠点があった。

 それは彼女にはキメラの気配を察知する力が備わっていないことである。

 普段アルムが行っている気配を頼りにキメラの居場所を突き止めるということがアルジェにはできないため、別のアプローチを考える必要があった。 


 (キメラの材料はすべて同じ土。 であればその土があるところに再生キメラの主がいるのでは……)


 アルジェは推理を働かせてとある仮説へと行き着いた。

 再生キメラを形作る土はすべて同じものである。

 その土を特定することができれば自ずと再生キメラの主の居場所がわかるのではないかというのが仮説であった。

 判断材料には乏しいが今はやるしかない。

 アルジェは早速特定に向けて急ぎ出した。


 (なるほど。 土はホームセンターというところで売っているらしい)


 土を売っているという情報を得たアルジェは近場にあるホームセンターを回った。

 するとそこのスタッフから興味深い情報を耳にした。


 「この頃どこのホームセンターでも土が荒れてるみたいでねー」


 「買った人の特徴は?」


 「僕が直接見たわけじゃありませんが、黒い帽子に厚手のコートを着てたみたい。 この時期に暑くないんでしょうかね」


 アルジェは不審に思った。

 その人物の装いは聞く限りではフォーマルなものであり、ガーデニングや家庭菜園で使う土を扱うには似つかわしくないことはアルジェでもわかったからである。

 アルジェはその人物を突き止めることにした。


 「黒い帽子、厚手のコート」


 ホームセンターのスタッフから情報を得たアルジェは土を大量に購入したという人物の特徴をアルムに共有した。


 『キメラの材料と同じ土を大量に買った人物がいた。 黒い帽子に厚手のコートを着ていたとのこと。 もし見かけたら教えて』

 

 スマホのメッセージに一言を入れ、アルジェはその人物を探して町を回るのであった。

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