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轟き照らすは金の龍  作者: 火蛍
リバース・アルケミスト
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アルギアとオルフェウス

 アルギアとエレメントキメラの手掛かりを求めてアルムは廃墟の中をくまなく探索した。

 すると最奥の部屋の一角に古ぼけた紙切れを発見した。

 紙切れは相当に年季が入っており、持ち上げると崩れてしまいそうなほどに風化していた。

 アルムは紙に書かれていた内容を読み解いた。


 「『オルフェウスが作り出した化け物の完成度は私の考えたそれよりも遥か上を行っている』……アルギアの手記だ」


 アルムが読んでいたのはアルギアが自ら遺した手記であった。

 オルフェウスが作り出した化け物とは彼によって発明されたキメラ、ないし彼自身の手によって生み出されたアルムのことを差しているのは容易に理解できた。

 

 『化け物たちが日夜我々の命を狙っている。 どうやらオルフェウスも身を隠しているようだ。 この世界が滅ぶのも時間の問題だろう』


 『オルフェウスが完成させた化け物が他の化け物どもをいとも容易く倒していく。 錬金術の暴走を鎮めたのは神の威光などではなく、錬金術の力だったのだ。 だが私はあの化け物に対抗できる錬金術を何一つとして示すことができなかった。 あれはもう世に示すこともないだろう』


 手記の中にはかつて一国を破滅に導きかけたキメラの騒乱のことも記されていた。

 そこにはオルフェウスの才能に嫉妬するアルギアの様子が生々しく綴られている。

 それと同時にこの頃にはすでにエレメントキメラの製造に着手していたことが伺えた。

 アルムは千年前の当時のことを思い起こした。


 『オルフェウスが錬金術を滅ぼすために動き出したようだ。 彼ならきっとそれを実現するだろう。 錬金術によって神の存在を否定し、またそれによって人間が神になることもなくなったのだ』


 アルギアの手記はそこを最後に途絶えている。

 そこにはオルフェウスによって野望が潰えたアルギアの無念が書き記されていた。


 錬金術の存在やアルギアの思想こそ書き記していたものの、錬金術を実行する方法に関しては一切記載されていなかった。

 この手記がオルフェウスによる焚書を免れたのも納得であった。


 (錬金術の痕跡はちゃんと消さないと……)


アルムは風化した手記を握りつぶすと静電気を起こしてそれを焼き払った。

 かつて見つけることのできなかった錬金術の痕跡を一つ消し去ったアルムは気絶させた集団が目を覚さないうちにその場を立ち去り、次なる痕跡を探しに出た。


 アルムは記憶を頼りに廃墟から少し離れたとある場所へとやってきた。

 そこはかつてオルフェウスが隠れていた場所、アルムが千年前に生まれて初めて目を覚ました場所であった。


 痕跡こそなにも残っていないものの、人目に触れなかったせいか当時の形がそっくりそのままであった。

 アルムの中に当時のオルフェウスとの記憶が鮮明に蘇る。


 『よく目覚めてくれた。 キミの名前はアルムにしよう』


 『マスター、ボクに命令を』


 『キミの使命は他のキメラを倒して人間たちを守ることだ。 行きたまえ』


 アルムが目覚めて初めてオルフェウスと交わした言葉がそれであった。

 彼女は肉体完成後もオルフェウスによって度重なる調整を施されており、目覚めた時点ですでに今の性格と能力が形成されていた。

 アルムは目覚めて早々に跳梁跋扈していた他のキメラたちをその圧倒的な力で縦覧していった。

 彼女がキメラの気配を感じなくなるまで一週間とかからなかった。


 『マスター、キメラはみんなやっつけたよ!』


 『ありがとうアルム。 これでようやく次の活動に移ることができる』


 キメラを殲滅した当時のことを思い出したアルムは同時にオルフェウスと過ごした記憶が呼び起こされた。


 (アルギアの手記が残っていたってことは、もしかしてマスターも……)


 アルムはとある可能性を案じ、目的を外れて異国の地を駆けるのであった。

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