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轟き照らすは金の龍  作者: 火蛍
銀龍
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78/79

キメラの配信ライフ

 新居に引っ越して数日、落ち着いてきたところでカグヤたちは配信活動を再開した。

 配信用の部屋もリニューアルし、隣人を気にしなくてよくなったことで配信はさらにパワーアップしていた。


 『【雑談】引越し終わり!いろいろ近況報告だ!』


 アルムは朝からリスナーたちにさまざまな近況を報告していた。

 チャンネルメンバーのあれこれはおおよそアルムの配信で確認することが可能である。


 『最近カグヤがあんまり出てこないね』

 

 「そうだねー。カグヤは最近ボクたちの配信企画考えたり切り抜き動画の編集したりで忙しいからね。それにバイトもあるし」


 アルムは最近のカグヤの状況を思い出してリスナーに事情を説明した。

 趣味で細々とやっていた頃と違って今は配信が収入源になったため、リスナーを楽しませるクオリティを維持するためにカグヤが日々企画作りに奔走している。

 さらに動画編集をできるのがカグヤしかいないのも彼女が裏方になっている理由に拍車をかけた。


 『今はカグヤいないの?』

 

 「カグヤならバイトに行ったよー」


 今日もカグヤはバイトで不在であった。

 アルムたちのマネージャーとバイトを掛け持ちするカグヤにリスナーたちは労いを感じずにはいられない。


 『これでカグヤに美味しいもの食べさせて』


 『あんまり無理させないで』


 「わわっ!?みんなありがとー!」


 リスナーから労いのスパチャが飛んだことにアルムは驚きながらも感謝の意を示した。

 スパチャに対するリアクションが収益化したばかりの頃からずっと変わらないのがアルムの配信の魅力の一つでもあった。


 『夏休みの学生リスナーに一言』


 「夏休み?っていうのはボクはよくわかんないけど宿題とかいっぱい出るんでしょ?アニメで見たことあるよ。宿題はちゃんと終わらせないとダメだよ」


 アルムは夏休みという概念をアニメやマンガでしか知らなかった。


 『アルムちゃんは勉強どうなの?』


 「うーん。ボクは人間の学問を勉強するのは苦手かもー」


 アルムは率直にぶっちゃけたトークを展開した。

 彼女は学習能力こそ高いものの、詰め込むようなやり方は苦手であった。

 イメージ通りの発言にリスナーたちは安堵する。


 「今日は夜からアルジェの配信もあるよー。リスナー参加型の配信だからみんな見にきてねー」


 アルムは次の配信を告知して一時間程度の雑談配信を終えた。

 そして夜になり、今度はアルジェの配信が始まる。


 「今日はライアーショットをリスナーとやる。部屋番号は概要欄に貼ってあるから見てほしい」


 アルジェは開始早々にゲームの募集を開始した。

 ライアーショットはオンラインでプレイできる対戦型のテーブルゲームである。

 トランプのダウトで嘘を見抜かれたあるいは嘘を見抜けなかったプレイヤーがロシアンルーレットを行い、誰かの手札がゼロになるかロシアンルーレットで残り一人になるまで脱落するかで勝敗を決めるというゲームであった。

 普段メインにしている格闘ゲームとは全く趣の違う内容であるため、リスナーたちがこぞってやってくる。


 「むむ、今のは嘘じゃなかった」

 

 「今度も嘘じゃない。 この人はこのゲームが上手い」


 アルジェは画面越しのダウトに苦戦していた。

 AIによる思考補助をもってしてもプレイヤーの手の内を読むことができないため、普段見せている強みが活かせないのである。

 そんなアルジェの姿にリスナーたちは新鮮さを見出していた。


 「あ」


 プレイ開始から十数分、嘘を見抜かれたアルジェはロシアンルーレットで『当たり』を引いてしまった。

 拳銃の発砲音が勢いよく鳴り響き、アルジェは一瞬硬直する。

 表情こそほとんど動かないものの銀色の鱗に覆われた尻尾がビクンと跳ね上がり、驚いているのが十分に見て取れた。


 普段と違うジャンルをプレイしているとはいえ、彼女がゲームで負ける姿にリスナーは大盛り上がりであった。


 『アルジェちゃんでも勝てないゲームってあるんだ』


 『俺たちが対等に戦えるゲームがここにあった』


 「やはり人間との駆け引きはわからない」


 アルジェは残ったプレイヤーのプレイを見ながら首を傾げた。

 その仕草はアルムとそっくりであった。


 「面白かった。次やろう」


 十五分程度の対戦を終えたアルジェは次の対戦を募集した。

 ものの数秒でメンバーが集まり、次の対戦が始まる。


 こうして金と銀、二体のドラゴンのキメラは配信という現代の人間文化にすっかりのめり込んでいたのであった。

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