キメラと娘
「ただいまー!」
「今戻った」
昼下がりになってアルムとアルジェはカナメ家へと戻ってきた。
二人にダメージらしいダメージは見当たらない。
「おかえり。どうだった?」
「しっかり仕留めてきたよ!」
「流石は世界最強のキメラ」
アルムとカグヤは陽気にやり取りを交わす。
ちょうどその時、家に置かれていたテレビで金龍と銀龍の映像が流れた。
戦闘の衝撃で町は壊れ、雷と冷気で画面が荒れに荒れている。
カグヤの両親はそれを見て今目の前にいる二人が熾烈な戦闘を繰り広げていたことを知る。
「アルムさん……いつもあんな風に戦ってるの?」
「うん。そうだよ」
カグヤの母からの問いにアルムは当然のように答えた。
カグヤの両親はアルムとアルジェにすっかり萎縮してしまっていた。
「町がめちゃくちゃになってるようだが」
「えーっと、それは」
「キメラを野放しにして出る被害と比べればあれでも軽度で済んでいる」
カグヤの父から指摘を受けて返答に困るアルムをフォローするようにアルジェが答えた。
「そうなのか?」
「まーそうだね。前に町一帯を焼いたキメラいたでしょ?野放しにしてればああなるよ」
カグヤは過去に出現したキメラを引き合いに出して話に割り込んだ。
人間を遥かに超えた力を持ったキメラが破壊活動を行えばその被害規模は計り知れない。
アルムとアルジェの奮闘あって映像に映る程度で済んでいるというのが実情であり、カグヤはそれを理解していた。
「カグヤ。お前はその二人と一緒にいて怖くないのか」
「別に。初対面の時はビビったけど、この子たちに敵意はないから」
恐る恐る尋ねる父にカグヤはあっさりと答えた。
アルムたちとの付き合いの中で彼女たちが人間に対して敵意を持たないキメラであることは把握済みである。
なんならアルムに関しては出会ったその日から敵意がないことを示しており、その後の行動で立証までしていた。
「お父さん。アルムさんとアルジェちゃんは私たちを助けてくれたこともあるんだよ」
ハルヒが擁護に回った。
カグヤとハルヒは姉妹共々アルムに救われた経験がある。
「アルムが初めて姿を現した日は知ってるでしょ。もしアルムが来てくれなかったらあの日あーしはキメラに襲われて死んでた」
「それに怪我人が出たってニュースは一度も出たことないじゃん」
「そうか。言われてみれば確かに……」
カグヤたちから説得を受けた父はすぐに見る目を改めた。
娘たちの命を救った恩人であると知れば親として感謝せずにはいられなかった。
カグヤの両親はアルムとアルジェの二人と向き合った。
「娘たちを助けていただいたこと、感謝します」
「このご恩は一生忘れることはありません」
「いやいやそんな!ボクはただできることをやったまでだよ!」
カグヤの両親から頭を下げられたアルムは謙遜するように言い放った。
アルムがマスターから与えられた使命は『キメラから人間を守ること』であり、彼女はただそれに倣ったまでである。
こうして、アルムとアルジェは娘たちの恩人としてカグヤの両親から受け入れられたのであった。




