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轟き照らすは金の龍  作者: 火蛍
銀龍
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引っ越しの計画

アルムとアルジェがタイガーキメラと戦闘を行った日の夜、テレビではどのチャンネルでもアルムとアルジェの姿が映し出された特番が放送されていた。

 そんなことを余所目にカグヤはアルムとアルジェを呼んでテーブルに冊子を広げていた。

 そもそも家に地上波が映るテレビがないカグヤにとってニュース番組などどうでもいい存在であった。


 「はい。というわけで今日あーしは不動産屋に行って物件をいくつか紹介してもらいました」

 「ブッケン?」

 「売買できる建物や施設のこと。このアパートも物件」


 聞きなれない単語にアルムが首を傾げるとアルジェが補足を入れた。

 カグヤは引っ越し先を考えるために丸一日を費やして不動産屋に足を運んで様々な物件の紹介を受けていた。

 そして彼女なりに考えた結果、その内の何軒かまで候補を絞り込んだのである。


 「アルムとアルジェも一緒に暮らすことを考えた結果、あーしの中ではこんな感じのが候補になりました。まず一件目がこれね」


 カグヤは冊子と資料を広げてアルムたちに見せた。

 そこにかかれていた物件は今よりも広いマンションの一室であった。

 間取りは今よりも二回りほど大きく、LDK付で防音も完備されている。

 そして家賃も現在の二倍以上であった。


 「で、二件目がこれ」


 アルムたちにある程度資料に目を通させたカグヤは次の物件の資料を見せた。

 二軒目は中古の一軒家であり、多少旧式の建築だがつい最近まで人が暮らしていた物件ということもあって数年前にリフォームが施工されているらしく、内装は綺麗に映っている。

 おまけに今より駅に近くなるという好立地であった。 

 その購入価格を見たアルムは目を見開いて驚いた。

 

 「えーっ!?家を買うのってこんなに高いの!?」

 「中古物件だからこれでも安い方だよ。でもね、現代にはローンというシステムがございまして」

 

 カグヤはローンのシステムを大雑把にアルムに説明する。

 そしてそのローンこそがカグヤの歩みを阻む最大の障壁であった。


 「あー、前にカグヤが言ってたアレ」

 「話は進めるべき」


 以前カグヤが言っていたことを思い出したアルジェはカグヤに提言した。

 アルジェからすればただ話を進めるだけのことだがそこでカグヤにどれだけのプレッシャーがかかるのかまではわからない。

 しかしアルジェの指摘自体は事実であるため、カグヤはスマホから母親に通話をかけようと試みた。

 しかし緊張で通話をかけるためのアイコンに指が触れられない。


 尻込みするカグヤを見かねたアルムとアルジェは顔を見合わせ、カグヤからスマホを回収すると通話のアイコンをタップしてそのままカグヤへと返却した。

 数十秒ほどの時間を経てカグヤの母が通話に応答した。


 『もしもし?』 

 「あー、もしもし母さん?あのさ、ちょっと話し合いたいことがあってさ、だから……」

 『それは電話で話せないことなの?』

 「電話だけじゃ話せないっていうか、父さんにも話さないといけないことだから」

 『そうなの。じゃあお父さんに代わろうか?』

 「別にいい。話すと長くなるし。だからね、今度そっちに戻ろうかと思って」


 カグヤはところどころで歯切れの悪い返事をしつつも用件を伝えた。

 彼女は引っ越しの件を相談するために一時的に実家に戻ることを決意したのである。

 

 『わかった。カグヤの都合がつく日がわかったらまた教えてね。こっちも予定を合わせておくから』

 「うん。ありがと母さん」


 話を付けたカグヤは母に感謝の言葉を残すと通話を切った。

 時間にして数分程度だが緊張で胸が激しく高鳴り、顔は血が上って真っ赤になっている。

 緊張の糸が解け、カグヤは大きく息を切らした。


 「ってなわけで、二人にも今度あーしの実家に来てもらうから」


 カグヤはアルムとアルジェと自分の実家に同行させることを言い渡したのであった。

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