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轟き照らすは金の龍  作者: 火蛍
銀龍
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金と銀

 「えーっ!?カグヤがアルジェのマスターに!?」


 その日の夜、おおよその事情を聴いたアルムは大声を上げるほどに驚いた。

 ただその事実だけでなく、キメラが自分の意思でマスターを変更し、それまでの命令を破棄したというキメラの常識ではまず考えられないことを起こしたことの方が驚きが大きかった。

 

 「元々アルジェはあーしのことをマスターだと認識してたんだけど、今日をもって正式にあーしがマスターになったってことで」

 「カグヤは私を生み出すためのデータを提供してくれた人。だから私のマスター」


 アルジェはカグヤをマスターと認識するに至る理屈を説明した。

 実質的な生みの親となればある程度の納得はできた。


 「じゃあ、ボクのこと倒そうとしない?」

 「しない。カグヤと約束した」


 アルジェは以前の命令である『アルムを倒す』ことを放棄している。

 カグヤとも『アルム命のやり取りをしない』ことを約束したため、もう戦闘を仕掛けるようなことはしない。


 「ところでさ。キメラのことは何かわかった?」

 「うーん。それがさっぱりだったよ。気配すら追えなくて」


 アルムはアルジェを襲ったキメラに関して何もわからなかったことをカグヤに報告した。

 彼女は丸一日を費やしてキメラを捜索していたのである。

 しかしめぼしい成果は何も得られなかった。


 「アルジェは何か感じなかった?」

 「わからない。私にそんな機能はない」


 カグヤの問いに対してアルジェは首を横に振った。

 彼女にはアルムのようなキメラの気配を探知する能力は備わっていなかったのである。


 「今なんとなく思ったんだけどさ。もしかしてキメラって人間に化けてるときは気配を追えなくなるんじゃない?」


 カグヤは今思いついた仮説をアルムに説いた。

 過去にアルムが気配を察知できたキメラはあくまで本来の姿を見せている状態であった。

 逆に人間の姿に擬態している時はその索敵を掻い潜れるのではないかというのがカグヤの仮説である。

 その仮説はアルムの中では十分な信憑性があった。

 というのも、昨夜キメラの気配を一瞬で見失ったのもそれで説明がつけられるからであった。


 「人間に化けられて、毒を持ってるキメラかぁ」

 「私はキメラの姿を見た。黒く光る蠍の姿だった」


 アルジェはキメラの姿を確認していた。

 背後から奇襲を受け、ほんの一瞬ではあったがキメラの姿を視認していたのである。

 そのキメラは黒光りする甲殻に身を包んだ蠍のキメラであった。


 「カグヤ、あのキメラは私にやらせてほしい。万全の状態であれば遅れをとることはない」


 アルジェはキメラへのリベンジをカグヤに嘆願した。

 手傷を負わされたのはあくまで人間の姿でいたからである。

 銀龍の姿で戦闘を行うことができれば勝てる相手であるというのが彼女の主張であった。


 「だそうだけど、アルムはそれでいい?」

 「キメラを倒してくれるならそれに越したことはないかな」


 アルムは一応の協力をする姿勢を見せた。

 気配を察知できないアルジェの代わりにキメラの居場所を特定し、戦闘までの流れをフォローするのがアルムの役割であった。


 「アルジェ、頼んだよ」

 「承知した」


 カグヤに見込まれたアルジェはリベンジに燃えるのであった。

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