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轟き照らすは金の龍  作者: 火蛍
金龍覚醒
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一人考える

 その夜、カグヤは一人パソコンにアップロードした動画を睨みながら考察に耽っていた。

 アルムとハルヒは寝室で寝息を立てている。

 

 (あのキメラの能力、偶然にしてはできすぎてるよな……)


 カグヤはトータスキメラの能力について考察した。

 アルムの打撃にびくともしない強度と強い弾力性に加えて放電を通さない絶縁体でできた甲殻、そして真っ向勝負でアルムと互角以上に打ち合えるパワー。

 これらが単なる偶然で設定されたものとは思えない。


 カグヤは考察を深めていく。

 トータスキメラを生み出したマスターはアルムのことを認知し、それを対策した能力を持たせた。

 そう考えれば納得のいくものであった。


 「今まで出てきたキメラたちってみんな同じ人が作ってるのかな……」


 カグヤは一人静かに呟くとトータスキメラのマスターの人物像についても想像を働かせた。

 アルムと初めて出会ったときに自分を襲ったキメラ、パンケーキでひと騒動を起こしたキメラ、カメレオンキメラ、そしてトータスキメラ。

 前者はともかくとしてカメレオンキメラからトータスキメラが出てきたのは前後の繋がりを感じずにはいられない。

 そしてトータスキメラは明らかにアルムと戦うことを想定して作られている。

 その裏にアルムに対する何かがあるように考えられた。


 カグヤは敵キメラのマスターの正体について考えるがやはり人物像が見えない。

 思考力と眠気の限界が近づき、大きな欠伸が漏れた。

 カグヤはそれ以上の考察をやめ、ソファの上に枕を敷いて横になると静かに瞼を閉じた。


 時を同じくして、トータスキメラは男の手によって強化を施されていた。

 能力はそのまま、熱を蓄積しにくく排出しやすくなるようになっていた。


 「次にお前が姿を見せれば金龍は必ず現れる。次で仕留めてみせろ」

 「ははっ」


 トータスキメラは男からの命令を受けると甲殻に籠って休眠に入った。

 男は椅子の上に腰を下ろすと小さくため息をついた。


 (カメレオンキメラが言っていた金龍の背後にいる女とは何者だ……?)


 男はカメレオンキメラの口から語られた金龍の背後にいる人物について気になっていた。

 彼女はカメレオンキメラの動きを見抜き、金龍に撃破させるに至っている。

 知識や判断力に優れる切れ物のように思えてならなかった。

 もしそうだとしたらトータスキメラの対策も手を打たれているかもしれない。

 その正体を知らないが故に脅威のように思えてならなかった。


 (小手先の能力で金龍を翻弄することができても背後の女に見抜かれて対策を立てられる。その上で金龍を倒すためには……)


 男は打倒金龍にあたって背後にいる人物の存在が重く感じられた。

 カメレオンキメラは透明化能力や鞭の攻撃で金龍を翻弄することこそできたが追い詰めるには至らず、トータスキメラは追い詰めることこそできたが活動限界で撤退を余儀なくされた。

 ともすれば背後の人物にすでに弱点を勘破されている可能性すらあった。


 ともなればキメラを使って金龍を倒す方法は一つ『対策を許さないほどの圧倒的な能力を持ったキメラで金龍を完封する』

 それだけであった。

 男としては幸いにも金龍の能力を分析する足掛かりはあり、新しいキメラの作成に着手することは可能であった。


 (金龍を倒せるだけの能力とは……)


 男は一人金龍を超える力を持ったキメラを構想するのであった。

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