復活のアイデア
ホワイトレオキメラとの戦闘の直後、アルムとアルジェはカグヤとハルヒから傷の手当てを受けていた。
アルジェの傷は彼女自身の体感以上に深く、アルムも充電が上手くいかないことから普段より回復が遅い。
「そういえばアルムさんって前にキメラに右足をやられてからこうなってるんだよね?」
「うん、そうだよ」
「ちょっと右足見せてもらってもいいかな」
手当をしていたハルヒはふと思い立ってアルムの身体の状態を確認した。
アルムが右足を見せると、そこにはかつてスティングレイキメラに切りつけられた痕が残っていた。
「もしかしてアルムさんの身体から電気が漏れ出す原因ってこれかも」
ハルヒはアルムの漏電の原因が右足に残った傷である可能性を指摘した。
毒は抜けたものの後遺症が残っており、それがアルムの体内の電気のコントロールを阻害している可能性があった。
「うーん……だとしたらどうすればいいだろう。 その傷は前の戦いからだいぶ経ってるけどまだ残ってるし」
「自然回復で完全に塞がるとは思えない」
カグヤとアルジェは現状を打破する悩まされた。
アルムの回復力をもってしても塞ぎ切れず、残り続けている傷を塞ぐ方法など見当がつかなかったのである。
アルムの力が発揮できなければホワイトレオキメラを打倒することは絶望的であった。
「皮膚移植……ってできないかな?」
ハルヒはふと呟いた。
自力で回復できないのであれば他の何かを使って外付けで塞いでしまうというのが彼女のアイデアであった。
「移植ねぇ……できるかも」
カグヤはハルヒのつぶやきを耳にして一瞬考えるとアルジェの方に視線を向けた。
アルムのデータを基にして作られたキメラであるアルジェであればアルムに身体を一部を移植させられる可能性があった。
ハルヒもカグヤの視線の先を追ってその意図を察する。
「そっか。 アルジェちゃんならアルムさんと血縁みたいなものだし」
「移植できる可能性がある」
カグヤとハルヒは希望を見出した。
「アルジェ、鱗を少しだけアルムに付けられないかな」
「意図は理解しかねるが……やってみる」
アルジェはカグヤたちの発言の真意を理解しかねて首を傾げるが言われるがままにドラゴンの姿へと変身した。
アルジェは自身が身にまとう銀色の鱗を数枚削ぎ落し、それをアルムへと提供する。
アルムもまたドラゴンの姿に変身するとアルジェの鱗を自身の右足に取り込んだ。
取り込まれた銀色の鱗はアルムの身体の一部となって漏れ出た電気を吸収し、アルムの体内を循環させてかつての感覚を取り戻させていく。
「すごい! 前のボクに戻ったみたい!」
人間の姿に戻ったアルムは調子が戻りだしたことを嬉々としてカグヤたちに報告した。
元気な様子が戻ってきた様子を見たカグヤとハルヒは安堵のため息をついた。
「完全な同化には少し時間がかかる」
「そうだね。 その間にしっかり回復して、今度こそあのキメラを倒す!」
アルムは意気込みを見せると角と尻尾を露出して尻尾をコンセントに接続した。
漏電が起こらなくなったことで充電もしっかりと機能するようになったのである。
「今はあのキメラを野放しにしていることが気がかり」
「今のところ気配はないよ。 どこで何してるんだろうね」
アルジェがホワイトレオキメラの動向を憂うがアルムはその気配を感じられなかった。
少なくともどこかで暴れているようなことはない。
「落ち着いてる今のうちにしっかり備えよう」
「じゃあ私レバニラ作るねー。 しっかり食べてスタミナつけよう!」
カグヤがアルジェに休息を促し、それに呼応してハルヒが袖を捲りながら台所へと向かっていった。
アルムが復調に向かいだした今、万全の状態に持ち直して再戦に臨むことが何よりも大事であった。
「ハルヒ、ありがとう」
「どういたしまして」
カグヤは台所でハルヒと並び立つと彼女に感謝を伝えた。
ハルヒはクスリと笑みを浮かべると簡潔な返事をするのであった。




