モノリス
某所のとある寂れた一軒家の中でシロガネ・レンは錬金術に没頭していた。
先のエレメントキメラの体内から摘出した不完全なモノリスを解析し、それを完全なものにするために必要なものを調べていた。
透明なケースに保管された不完全なモノリスを眺めながらレンは一人物思いに耽っていた。
(前回のキメラに埋め込んだモノリスはまだ不完全ではなかったがそれでもあれだけの力を発揮できた。 完成形になれば……)
レンはレオキメラに試作品のモノリスを埋め込んだ結果を鑑みていた。
レオキメラから発せられるエネルギーは彼が製作した不完全なモノリスによるものであった。
だが結果としてレオキメラはそのエネルギーを制御しきれずに自壊することとなった。
完成したモノリスがより高度な力を発揮できる可能性を夢想すると同時にそれに耐えられるだけの剛性を実現する必要があった。
(では金龍はなぜあれだけの力を制御できている……?)
レンの中で一つの疑問が浮かんだ。
それはアルムがなぜエネルギーを制御することができているのかというものであった。
他のキメラを圧倒できるエネルギーを発生させられるにも関わらずアルム自身はそれを完全に制御できており、暴走を起こしたりしたこともない。
きっとアルムの身体にその仕組みの秘密が隠されているだろうとレンは睨んだ。
「しばらくはモノリスを埋めるのをやめて金龍の身体の秘密について探りを入れてみましょう」
レンはモノリスのエネルギーを制御する方法を発見するためにアルムのことを探ることにした。
アルムへのアプローチの方法を模索し、とある作戦を思いつく。
その日の夜、レンは一体のキメラを作り出した。
全面は白で背面は赤茶色の平たい身体を持ち、左腕には返しのようなものがついた鋭利な刃を携えている魚類のキメラである。
レンは自ら作り出したキメラ=スティングレイキメラに命令を下した。
「金龍の力を暴走させられるか試してみてください。 あなたの左腕の刃には生物を強制的に活性化させる毒が仕込まれています」
「グギギ……」
スティングレイキメラはレンからの命令を受けると床下に潜り込むように身を隠して行動を開始した。
元より倒されることを前提として運用するため、スティングレイキメラの自我は希薄なうえに言語能力すら持っていなかった。
スティングレイキメラに行動を開始させたレンは別方向からのアプローチを考えだした。
それはモノリスの出力に耐えられるキメラを作るのではなく、モノリスの出力そのものを制御するという方法であった。
モノリスの完成に近づくため、レンの野心はどんどんと動いていくのであった。




