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十社会十パラドックス  作者: 遠藤千和
第1章 ー入学編ー
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第8話 「蜃気楼の過去」

前回初登場の人物・前回情報を公開された人物 (説明)

志水 潤 (男、おどろ建設取締役)

宮島 賢三郎 (男、おどろ建設従業員)

「宮島さん!ありがとうございます!俺らにこの学園の建設について教えてください!」


「わしがな、加羅琉学園の建設に関わったのはもう60年以上も前のことだからのう。」


「60年前、ですか。それはじゃあ黎人、亜夜芽さんから聞いた情報に謝りはないみたいなだな。」


「だねだね!」


「この学園を立てた年は忘れもしない、半世紀以上前の1964年のことじゃ。」


「そうなんですね。亜夜芽氏さんの情報と合っているということは、間違えないってことですよね。私は亜夜芽氏長さんの話を聞いたわけではないですけど。」


「そのころはまだこの辺に学校が少なくて、みんな学力足らずで地方へ行くことが多かったんじゃがな。」


「それでこの加羅琉にこんな大きい学園を作ったんですね。そしてたくさんの人々を受け入れるために、6年制にしたってことですかね?」


「まさにそうじゃな。加羅琉は本当にいいところじゃ。」


「ていうかすいません。僕が宮島さんに聞きたかったことがあって。それを聞くために来ていただいたくらいです。」


「そうなのかのう。わしがこの学園に知っていることは建設とその他のほんの少しののことだけじゃが。」


「この学園で起こった事件って聞いたことはないですか?何か些細なことでもいいんです。」


「ああ、そういえばのう、この学園ができてすぐの頃じゃったかのう。わしがこの加羅琉学園の建築に不備がないか学園を訪れたことがあったんじゃ。いつだったかは少し曖昧だがのう。たしかに事件はあったはずじゃ。」


「どんな事件だったんでしょうか。」


「あの事件はのう、わしは建設関係で来ただけだったんじゃが、先生たちが騒然としていた気がするわい。そうじゃ、思い出したわい。あの時起きた事件はたしか、「子作り事件」だったはずじゃ。明確な事は見てもいないし、聞いただけだからのう。全部が正しいかはわからないんじゃが。」


「この年齢で、子作りですか?私たちの年齢で子作り、しかも開園してすぐの学園だったってことは初めて会ってすぐに行為に及んだってことですか?」


「ああ、確かにそうなるのう。その時の犯人じゃが、名前は「吉基(よしもと)」とという人だと聞いた記憶があるのう。下の名前はわかんないがのう、年齢は1年生だったからのう、15歳か16歳のはずじゃな。時期はは12月くらいだったはずじゃ。昔のことだから正直曖昧だがのう。」


「吉基。そいつがもしかしたら、元凶、、。(現代なら名前を変えているかもしれない。そいつから周りの人間関係を辿れば?いや、僕らはあくまで1の学生だからそこまで深い詮索は不可能。やっぱり頼れるべきはこの学園に深く関わってる人。ここ以外にもきっと関わった人はいるはずだ。今は下は名前はわからない。でもここまでの情報は手に入れられた。)」


「君たちはその事件に興味があるのかのう。」


「ありますよ!学園の真相に迫っているんです!」


「わしの当時のおどろ建設の友達はもう今は周りにいないからのう。でもわしが君たちに情報を提供できてよかったわい。」


「ほんっとありがとうございます!」


「ああ、あとのう、思い出したんじゃが。テレビで見た記憶じゃがのう、その犯人と言われていた吉基はおそらく、もう死んでいるはずじゃ。」


「えっ。(なんで、嘘だ。嘘だ。これじゃあ名前は掴めても、証拠が掴めないじゃないか、、。)」


「なんで死んじゃったんだろ?」


「まあおそらく犯人としての荷が重かったんじゃないかのう。なにせ事件当時はまだ15歳か16歳だったんじゃ。その若さでは責任に耐えられなくて精神的に病んでしまうこともあるんじゃないかのう。」


「でも、事件はその吉基さんが起こしたものだったんじゃないんですか?だったら、それくらい分かってたんじゃないですか?」


「まあその年齢だったらのう、わしは何をしてもおかしくはないとも思うがのう。」


「吉基さんが犯人じゃないってことはないんですかーー!」


「どうじゃろうな。その時代は監視カメラもないしのう。きっと吉基にはアリバイがなく、やられた側も誰か覚えてなかったんじゃないかのう。あの時は確か犯人と断定されなかったんじゃないかのう。つまりは犯人が吉基ではなくても、犯人は確実に姿を見えないようにしていたということじゃな。だとすれば、その警察の意見を信じるしかないとわしは思うがのう。」


「監視カメラ、、。その当時は監視カメラがなかったんですよね。証拠として1番のものはなんだったんですか。」


「まず、動機とアリバイじゃな。現代でもそれを最初に考えるじゃろ。」


「たしかに、、。そうですよね。(当時のことをもっと詳しく聞かなければ、吉基が犯人かはわからない。でも確実に、そんなことをするクズがそのまま死んでいくわけがない。なぜなら、クズの望みは決まって仲間を持つことであり、そして子供を作れば、そのまま血と言うものは必ず遺伝するからだ。そうやってクズは生まれていく。)」


 こんな場面に出くわしたことはあるだろうか。学生が一方的な暴力で喧嘩が発展。それに親が乱入。親は学校に対して文句を言い続けるクズ。いわゆるモンスターペアレントというものだ。子供は親の姿を見て育つ。それは身の回りを見ていればわかるだろう。性格が似ている親子というのはよく見るものだが、似てない親子というのはあまり見たことがないだろう。姿もそうだ。性格だけではなく外見も遺伝する。遺伝したことは直すのは難しい。意識をできていることだとしても、それを簡単に行える人はいない。それは人間は1度習慣となったものはそのまま習慣となることが多いからだ。まさに人間の生き方が物語っている。朝を起きて最初に顔を洗うこと、それは意識をせず自然と行えるだろう。つまり、その血が遺伝し、習慣が同じ人間であれば、子供でもその人間と近しい形になれるということだ。


「だったら答えは一つじゃないか、、。元凶の血縁者は絶対にいる。」


「うわびっくりした!急に元凶の血縁者の話しないでよー。」


「まあ何にせよその事実は変わらんわい。でもそうじゃ、わしも久しぶりに学園に行ってみれば聞いた話を思い出すかのう。」


「確かにそうかもですね!」


「こんなわしをわざわざ呼んで話を聞いてくれたお礼じゃ、今度加羅琉学園に行くとするわい。何か思い出したらまた話をするかのう。」


「わーい!ありがとうございまーす!宮島さん!」


「(まずは、吉基。この周りの怪しいと考えられる人物を探すしかない。今はわからなくても、絶対に見つけてやるよ、元凶の血縁者。)」


「(豊龍くん、かなり考えてる様子。私はまだ知らないことが多いし、2人の頭についていけるかどうかはわからない。でも、私は感じた。今日の違和感。2人がきっとわからない、とても嫌な違和感を。)」


「本当にありがとうございました。宮島さん、また今度も加羅琉学園に来たらよろしくお願いします。」


「全然大丈夫だわい。君たちのような若者が未来に輝けるように応援しとるぞ。」


「みんなもうそろそろ質問時間が終わるよ。午後は直接建設している様子を見に行ったり、設計の途中経過を見てもらったりするよ。」


「はーい!お腹すいた!」


「13時まで昼ご飯の時間をとるよ。みんな2階まで降りようか。ここでは出る時にもカードキーが必要なんだよ。」


「大変ですね!でもセキュリティ厳重でいいですね!大手のすごさを感じますね!」


「そうだね。ちなみに午後はあちらの東オフィスに集合してね。」


「わかりました。黎人、河実しっかり時間間に間に合うように頑張るぞ。」


「じゃあまたね。気をつけて。集合は1時間半後だよ。」


「よし!それじゃ予定通りデリシャバーガーに行って昼ご飯食べよ!」


「そうですね。(ん、やっぱり後ろに人の気配。しかもなんだか不穏な気配。嫌な予感がする。)」


「割と距離あるし話しながら行こ!ていうかここ裏道通れば早いよ!」


「そうだな、ここを通るか。」


「ね、豊龍くん。後ろから誰かつけてきてるかもしれないです。気をつけておいた方がいいと思います。」


「えっ?後ろ?っうわ!」


「久しぶりだなー?豊龍凪紗?」


「凪紗!大丈夫?」


「うっ。痛い。うん、なんとか、大丈夫。(よく磨がれたナイフ?これがすれたら間違いなくただでは済まない。ていうか、このタイミング、なんで?)」


「このクズ野郎がよ、お前のせいで俺は酷い目にあったよ。」


「クズ野郎はお前だろう?九条櫂!」


「あーん?俺はお前に殺意が湧いて湧いて仕方がねえよ。クラスの中心だった俺に恥かかせやがってよ。お前みたいなヒーロー気取り野郎はいらんねえんだ。」


「自分のやっていることの愚かさに気づいてから喋るんだな。」


「っち。不意打ちに失敗したしな。ここは退散させてもらうぞ。次は仕留めてやるよ。クソが。」


「うっ、待て。」


「凪紗無理しないで!命の方が大切だよ!」


「そ、そうだよな。ありがとう、黎人。河実も、河実が教えてくれなかったら俺は刺されていたかもしれない。」


「助けになってよかったです。(私が感じた不穏で不気味な違和感はこれだったんだ。)」


「クソっ。やっぱり、僕の責任だ。九条櫂をあんなことにしたのは。


「ていうか、これは学園に早急に報告するべきだよ!実際に危険な目に遭ったんだよ!」


「でも企業研修が、、。」


「何を言ってるんだよ!報告することの方が大切なんだから!」


「分かった、。公衆電話からかけるよ、。」


 プルルル、プルルルル。


「すいません。加羅琉学園1年C組の豊龍凪紗です。」


「はい、福永です。どうしましたか。」


「く、九条櫂が襲ってきました。」


「なんですって?今は大丈夫?相手の状態は?」


「よく磨がれたナイフを所持しています。不意を突いて刺そうとしてきましたが、なんとかかわせました。」


「豊龍くん。企業研修のことは考えなくていいからあなたたちの保護の方が大事です。警察に連絡するので、そこで待っていてください。研修先には先生から事情を説明しておきますから。」


「はい。ありがとうございました。」


「こんな、ことって。(クソ。せっかくいい情報が得られたのに、殺されるわけにはいかないんだ。)」


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