第7話 「不穏と期待」
前回初登場の人物・前回情報を公開された人物 (説明)
なし
河実の姉「河実柚」との接触の後から数日が経った。僕と黎人は河実とともに、企業研修の当日の流れを確認し、ついに企業研修の前日となった。しかし、ここで1つの問題に光が当たることになる。
ーーー企業研修前日(企業研修準備8時間目)ーーー
「いやーついに明日だね凪紗!河実さんも楽しみだね!」
「まあそうだな。なんだかんだ他の氏と関わる機会ともなる初めての行事だからな。班は決まっているからある程度限りはあると思うが。」
「ていうか、先生に言わなくていいんですか?九条櫂のことについて…。」
「あいつはどうやら、今はこの学園にすら来てないみたいだからな。ほんとにどうなるかはわからないな。来て荒らされても困るから、来てほしいわけではないけどな。」
「前も言ったけどさー、あんなやつこそ本当になにするかわかんないよね!もしかして、裏で問題行動起こしちゃってたりー?いや嘘嘘!そんなわけないよねー!」
「だといいですね。とりあえず、企業には時間通りにいけばいいだけですから。」
「心配してもどうしようもないからな。心に留めておくことにしよう。(念のため、福永先生に聞くことにするか。もし何かがあって、こんな貴重な機会を無駄にするわけにもいかないしな。)」
「わかったよ!」
「黎人。今日は少し寄るところがあるから、先に帰っててくれ。」
「えー、しょうがないなー!凪紗のお願いだからね、いいよ先帰ってる!」
「豊龍くん、もしかして彼のことですか?」
「まあそうだ。この件は黙っといてくれ、河実。(危険に合わせるわけにもいかないからな。無駄な情報を知っておくのは1人で十分だろう。)」
ーーー放課後(学園の相談室)ーーー
「福永先生、聞きたいことがあるんです。」
「豊龍くん、君が来るなんて珍しいですね。」
「今学園に来ていない、1年C組の刹那氏所属の九条櫂ってるじゃないですか。彼について知りたいことが。」
「教えるべきではないかと思いますが、豊龍くんは確か何度か彼と対立していたことがありましたね。豊龍くんの性格なら心配しているでしょうし、話しても良いでしょう。」
「あ、ありがとうございます。」
「彼のことは今、私たち先生でも現状を掴めていないのです。最後に豊龍くんと対立した日に家から離れたそうです。彼にはよほど強く響いたんでしょうね。そこから現状を把握できるような話は、聞いていません。学園全体としてはかなり心配しています。」
「そうですか。もし仮にですけど、危ない人と接触している可能性はあると思いますか。」
「危ない人、ですか。彼は気が荒い性格ではありますが、悪には染まらないでしょう。あくまで推測になりますが。彼の親御さんも家を出ただけだから、きっと大丈夫でしょうと。前にも同じようなことがあったそうですよ。」
「なるほど。わかりました。」
「あ、豊龍くんは彼と同じ班でしたね。生徒で決めさせた結果、このような事態になってしまったことは、私に責任があります。豊龍くんと接触をすることがなければ、こんなことにはならなかったかもしれません。それはごめんなさい。しかし、もう過ぎてしまったことはもう取り返しがつかないので、学園として、彼を捜索して、いち早く復帰ができるように尽くします。」
「わかりました。僕もすいませんでした。1人の人を守ろうとただけで、こんな事態までに発展させてしまって。」
「豊龍くんはまだ学生で、未熟ですから。こうなったことにはちゃんと周りを見れていなかった私に落ち度があります。豊龍くんは落ち込まずに、しっかり次に繋げてください。企業研修も豊龍くんならきっとうまくいきますから。」
「福永先生、ありがとうございます。明日、頑張りますね。」
ーーー企業研修当日ーーー
「いよいよ今日が企業研修だな。(しっかり時間通りくるのかあの2人は?)集合場所はこの加羅琉坂駅だからかな。わかりやすいようにしたつもりだが…。」
「お!凪紗おっはよー!いやー9時は遅いねーーー!いっつも俺6時起きだからねー!」
「さすが黎人、早起きだな。」
「2人とも揃っていますね、少し遅れてしまいました。おはようございます。」
「おはよう河実。」
「河実さんおはよーーー!」
「3人集まったことだし、それじゃあ目標の場所に向かうか。調べた通りおどろ建設は15分程度で着くからな。」
「下調べバッチリだからね!」
「こっちの方に降って行くぞ。そういえば、みんな少し距離のある駅だったが何も問題なく来られたか?」
「んー!切符買うのめんどくさかった!あ、なんかね実際には見てないけど、そこで喧嘩みたいなの起こってたっぽくてね!通行禁止で手間取った!」
「なるほどな。」
「今日に限っては特に何もなかったです。電車にはよく乗るので、慣れていますし。」
「みんな合流する前にも社会に溶け込んでいていいな。企業研修の真の目的は社会に適合する人材を作ることだからな。」
「やっぱこういう経験はためになるよね!」
「おお、見えてきたぞ。あれがかの有名なおどろ建設か。名前が日本中に回っているっていうのもわかるな。本社がこの規模だぞ。」
「うわ、でっか!トップレベルの建設会社だもんね!これは研修に行く価値がありそうだね!」
「こ、こんなに大きいんですね。思ってたのより全然大きいです。」
「僕も実際に見たのは初めてだ。(これだけ大きな企業なら、どこかに加羅琉学園のことについて知っている人もいるだろう。どんなふうに研修するかはわからないが、タイミングがあれば聞くべきだな。)」
「たしかさ、集合場所って2階のカフェテリアだよね!建設会社だけど、中に働く人のための休養スペースとかもあるんだよね、すごいや!」
「2階までは普通に入ってもいいんですよね。不法侵入とかにならないですよね。」
「2階に行くためには、外のエスカレーターに乗って行くか、中のエスカレーターかエレベーターに乗ればいい。しかし、エレベーターは乗るためにカードキーがいるみたいだからな。」
「景色も綺麗だし外のエスカレーターで登っていこー!だいぶ広いからネットで見たマップを頼りにしながら移動しよ!」
「今は8時51分だ。9時集合だがまあ早めについてもいいだろう。カフェテリア、あれか。」
「名前なんかすごいね?「安らぎ処 和洋折衷」だって!なんか普通においしそうだし行きたい!」
「流石に有名な建築会社だけあって、中にある施設もいい施設なのですね。」
「そうだな。あ、ちなみに今回僕らの研修をサポートしてくれる方の名前は志水潤さんだ。もうすぐお見えになるだろう。」
「あそこの椅子で休もう!」
「あ、こんにちは。皆さんですかね。加羅琉学園から来てくれた人たちは。」
「そうです、こんにちは。加羅琉学園から来た、1年C組の豊龍凪紗です。」
「同じく1年C組の諏訪異黎人です!」
「1年D組の河実眼論です。」
「よろしくお願いしますね。おどろ建設の取締役を務めている志水潤です。みんなよりは歳をとってるけど若手のエリートなんだよ。」
「この和洋折衷というお店すごいですね!やっぱり大手の企業は違うなと思いました!」
「いやいや全然そんなことないよ。社長はすごい方だけど僕みたいなまだまだ未熟な人も多いんだよ。」
「そうなんですね。あ、とりあえず企業について研修させていただいてもよろしいでしょうか。」
「あ、ごめんね。それじゃあ3人とも着いてきてね。というか、事前には4人って聞いていたんだけど。1人は休みなのかな。」
「まあ、はい。ちょっと事情があって来られないので。今日は僕たち3人の研修でお願いいたします。」
「わかったよ。じゃあエレベーターでまず20階まで上がろうか。知っていると思うけど、ここは本社だからね。かなりセキュリティも厳重になっているんだよ。このエレベーターだってカードキーをかざさなければ乗ることができないんだよ。」
「やっぱ本社ってすごいんですね。私の親も稼ぎがそこそこある仕事についてるんですけど、本当の大企業っていうのは違うんですね。」
「展開している企業っていうのは一般企業とは少し違うんだよ。特にこれくらいの企業はね。さあ、20階についたよ。まずは君たちにこの企業のしていることについて学んでもらおうと思う。今日は特別に20階の会議室の予定を空けておいたから、ここの中で話すよ。」
「すごいですね。私今までこんな大きい会議室あんまり見たことないですよ。」
「そうでしょうそうでしょう。で、おどろ建設が建設会社としてやっていることなんだけれどもね。みんなの住んでいる街の主な建築物を設計して実際に完成までさせるのが1番大きな仕事だよ。まあ、普通の人でもそれは知っているかもしれないけれどね、この建設会社は公共の建物にも大きく関わっているんだよ。例えばこの辺だと、あのドームだったりとか、そうですね、皆さんが通っている加羅琉学園も私たちおどろ建設の対象だったね。今は少ないけどベテランの人だったら加羅琉学園の建築に携わった人もいるんだよ。」
「え、そうなんですか!全く知らなかったです!」
「(やはり、おどろ建設。何か知っていそうな人物もいるな。)だったら今、まだ現役の人で加羅琉学園の建築に携わった人はいるんですか?」
「ああ、いるよ。ていうか、そんなに気になるなら会わせてあげようか。」
「え、本当ですか。」
「私も会ってみたいです。この学園についての建設ならもっと楽しく話を聞けそうな気がしますし。」
「えーと、今日立ち会えるかはわからないけど、あとで質問とかの時間を撮るつもりだから、そのときに連れてこられたら連れてくるよ。」
「(ああーー、早く終わらないかなこの時間。いち早くその人に会って話を聞きたい。きっと今の状況を進展させるものになるだろう。)」
ーーー2時間後(質問時間)ーーー
「あー、結構疲れたな、河実。」
「私は大丈夫です。少し話が長いとは思いましたが。」
「どうしていっつもこう数学に関係することをやるんだ。本当疲れる。」
「まあまあ。みんな疲れているようだけど、質問の時間だよ。別の社員に行って連れてきてもらいました。私は午後の研修の準備をしておくので失礼するね。質問の時間が終わる頃に戻ってくるよ。」
「おお、若い子たちやのう。わしの話が聞きたいとね。わしはな、過去に加羅琉学園の建設に関わった宮島賢三郎じゃ。」
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