第17話 「縁が持つ意義」
前回初登場の人物・前回情報を公開された人物 (説明)
吉田 英俊 (男、亜夜芽月花の元カレ)
「亜夜芽さん、事件が起きたあの時、俺と話すために急いで向かってきてくれたんですよね…?」
「そうだよ…。あなた以外のことなんて考えてなかった。豊龍くんに言われたんだ、なんで、もっと諏訪異くんのことを考えられなかったかってね…。」
「凪紗が…。優しいな、凪紗は…。」
「諏訪異くんの心配もずっとしてた、私のところにきたのだって、諏訪異くんが心配で様子を知りたかったからなんだよ…。」
「……。亜夜芽さん、俺は凪紗に感謝しきれませんが、それ以上にあなたに感謝があって、もっと亜夜芽さんを傷つけないために、関わり方を考えていました。次もし亜夜芽さんにあったら、あなたは心配してしまうからって…。それでも考えつかなくて、気分転換に外の空気を吸うために外に出ていました。そこであなたを見つけたんです。」
「やっぱり、私のせいだったんだね…。全部わかってたのに、こんな行動をしてしまったのは私の責任だから…。ちゃんと、責任は取るつもりなの…。」
「亜夜芽さん…。俺はあなたをこの手で助けることができて本当に良かったと思っています。そして、俺はあなたがこの上なく好きです。ですが、あなたの過去を知らなければ、また同じようなことが起こるかもしれないと思ってます。すぐにでも、受け入れたい気持ちはあります。けど、過去を聞いてからでも、いいですか……?」
「そ、そうだよね…。……。わかったよ…。あの人物と私の過去について、話すよ。」
「……。」
私は、中学校時代、生徒会長という、誇らしい役職につけていた。私は両親が先生で、教育の大切さと、責任を持つことの意義を教わってきた。小学校でも、学級委員をやっていたし、常にみんなから頼られて、責任えお持った存在でいた。そして、中学校の生徒会長になったとき、このまま、次の学校に進んでも、また責任者をやりたいなと思っていた。みんなから頼られる毎日は変わることなく、責任者としての意識を確かに持っていた。みんなから頼られ、助けることのできる素晴らしい責任者でありたいと思った。そして、そんな生活をしていて半年くらいが経った頃、転機が訪れた。元々、そんなに人を好きにならない体質で、中学3年生のその時まで、そんな感情は生まれていなかった。周りで恋愛をしている人がいても、私は特別羨ましいとは思えなかった。ただ、友達はたくさんいていいと思っていたから、たくさんの人と交流して、友達関係を築いていた。そしてその転機のきっかけとなったのが、当時、同級生で長い間勉強を教えていた、吉田英俊くんだった。彼はすごく真面目っていう感じの性格で、小学校の時からずっと同じだったクラスだったんだった。真面目って言っても、勉強ができていたわけではなかったし、あまり周りとかかわるのが得意じゃない人だった。そして、私がいつも通り彼に勉強を教えていた、その時だった。彼は私に話があるって、放課後に中学校の校門で待っているように言われた。私は言われた通り、生徒会の仕事を終えて、話を聞きに行った。彼は、私に「告白」してきた。突然のことでとても驚いた。なんだか、いつもと違う感情がよぎった。どこか不思議な感覚で、うれしかった。他の子みたいに私も言われるんだって、ただそれがうれしかった。でも、付き合うなんて考えられなかった。不思議な感覚に陥っても、興味が湧いたわけではなかった。どうしたらいいのか、悩んで、時間をちょうだいって言った。そのときはどうしたらいいか、まったくわからなかった。私はその場で2時間くらい彼を待たせてしまった。結論に至った。やっぱり無理だ。そうやっていったけど、彼は諦めれてくれなかった。今思えば、人が人を思う気持ちなんて、限りがなくて、人によっては一生諦めない人もいるくらいだから、その場で終わりっていうふうにするのには無理があったと思う。どうしようか悩みながらも、もう1回だけ考えてと言われたから、とりあえず1日は悩んでみることにした。友達には、そのことは話さなかった。傷つけてしまうと思ったから。次の日、友達と話していたら、恋愛の話になった。私は経験がないことを伝えると、それくらい経験しておいた方がいいと言われた。かわいいって褒められて素直にうれしかった。でもどうしようかな、とまだ悩んでいた。彼とは元々非常に関係が良かったし、同じクラスにいたから、何も無しにしておいたら、いつか見返りを要求されるかもしれないと思った。何もしないってことはできない、私から何かを言う必要がある。そしてその日はまた、また生徒会の仕事で帰るのが遅くなってしまった。そのとき、親友が彼氏と2人で歩いているのをみた、その親友は私といるときよりも楽しそうにしていた。本人の言った通りだと実感して、ますますどうしようか悩むことになった。そのとき、私の親友が「やってみてから決めればいいじゃん!まずはやらなきゃ、成功だって失敗だってしないんだから、なんの意味もないんだよ!それが良いか悪いかなんて、やってみてから決めれば良いんだから!」と言ったのを思い出した。良い言葉だなと思ってたから、とりあえず、その言葉を信じてやってみることにした。その日、家に帰ってから、彼に連絡した。彼に直接会って話をさせてとお願いした。彼は快諾してくれて、近くの公園で話し合いをした。私はそのとき初めて、人を好きと思ったかもしれない。そのときの彼はなんだか、魅力的に見えた。その日、彼と付き合って、家に帰った後、喜びが忘れられなかったのを明確に覚えている。ただ、この日、公園での出来事が、この後の生活を塗り替え、歯車を狂わせることになる。私は、いつも通り、登校した。私の投稿時間はそんな早い方ではなかったから、学校に着いたらみんなが、「あいつと付き合ったの?」とか「ついに月花が恋愛に踏み込んだかー。」と、返す間もなく次々に言われた。驚いて言葉が出なかった。噂というのはこんなにも早く、全く意図せずに勝手に広まっていくものだと実感した。でも、そのときはまだ、みんなの反応は明るくて、羨ましいとか、不思議だという声は上がったけど、普通に生活することができた。私は彼を「ひで」と呼ぶようになった。ひでは積極的に私と一緒にいてくれるようになった。私は、それによって、ひでに依存していった。特別な感情、味わったことのない感情、他の人とは違う「好き」という気持ちを知っていった。私は、その依存によって、親友たちよりもひでと過ごす時間がかなり増えた。私は生徒会長として、完璧で、学力、運動神経を兼ね備えた素晴らしい生徒だって、先生から言われていた。でも、私は、その依存によって、他のことをおろそかにし、段々とその素晴らしさは地に堕ちていった。気づけば、テストの順位は5位から15位まで落ち、生徒会長の仕事もやり投げ状態となっていた。その頃になると、私は直接聞いていないけど、他の生徒会のメンバーからも、「月花最近調子乗りすぎじゃね?」「まじ浮かれてるわーー。」「よほど自分が完璧だと思ってるんだな。」と言われるようになった。私がその悪口を知った次の日、私の親友がとあることを口に出した。「月花、なんか手抜くようになったよね、最近。あ、英俊と付き合ったからかな?」って。周りもそれに便乗して、「めっちゃわかるわ。」「あんなやつに心奪われすぎじゃない?」「あいつも所詮陰キャのくせに調子乗ってるもんねーー。」と次々と言われた。私は胸が苦しくなった。「そんなこと言わないでよ!ひでは何も悪くないじゃん!」私はその日初めて学校を早退した。ひでとはその日、連絡を取れなかった。次の日、また普通に登校すると、周りから色々言われる始末だった。1番驚いたのは、その日の朝、ひでが私のところに来て、暴力を振るってきたこと。今だからわかるけど、そのときひでは、精神に相当な負荷がかかってたことで感情が抑えきれなくなっていた。私は、ひでに依存していたから、そのまま彼に謝った。多少興奮状態からは落ち着いたようだったけど、相当怒っていた。「お前が完璧にやらないから、俺まで被害を!ふざけんな、クソ野郎!」そんあふうに言われた。彼はその日を境に学校に来なくなった。彼はわずか1週間で転校した。転校したあと聞いた噂で、鬱病であることと、自殺未遂を起こしたこと、性格が一変したことを聞いた。周りはひでが転校してから、私に悪口を言ってくることは無くなった。でも、私はそこから生徒会長をやめるまで、そして、学校を卒業するまで、孤独の時間を過ごすことになった。ずっと、ひでに謝りたかった。悪いのは私なのに、そう思ってそのあと事件まで会うことがなかったひでに届くように願ってた。そして、もうひでのような人を作らないため、私なんかと付き合う人を作らないようにした。私と付き合うと、依存によっていずれ迷惑をかけてしまう。それを心に秘めて、中学校卒業後、もうあのメンバーと過ごしたくはなかったから、少し遠くのこの加羅琉学園に通うことにした。ここでは、私の意思は守ることができそうだったから、「亜夜芽氏長」として中学校の失敗をしないように努力した。結果はみんなに受け入れられたから、このまま自分の考え通り大切な人を作らないようにしようと思ってた。そしたら、諏訪異くんが現れた。あなたは久しぶりに、私に特に関わってこようとする、男子だった。すごく楽しい時間をくれた。でも、関わっていくうち、ひでと似た姿を感じるようになった。だから、1度振った。でも、諏訪異くんには、ひでと違って頼れる親友、豊龍くんがいた。私は彼に考えを変えられた。だから、諏訪異くんとしっかり向き合おうと決意したのに、狙ってか、あるいは偶然か、私のことを見つけたひでは私を刺した。しょうがない話だよ。ついに、自分の行いが返ってくる日が来てしまったんだって少し悲しくなったけど、どうせ死ぬんだからしょうがないって、受け入れようとした。でも、諏訪異くんが私を救ってくれたんだ。振ったのに、助けてくれるなんて、本当あなたが優しいんだって感じた。私はあなたに幸せにしてもらえたんだ。神様がいるのか、縁っていうのはすごいんだってつくづく思わされた。ひでに刺されたのも、諏訪異くんが助けてくれたのも。私は、それを知れただけで、幸せだ。
「そ、そんな話があったなんて…。ようやく、亜夜芽さんのことを理解できた気がします。」
「私は、もう話せること、話したよ…?あとは、あなた次第だから。私はもう、今生きているだけで、とても幸せだから。あなたがどうしたいか、しっかり考えて…?」
「俺は…。俺は…!」
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