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十社会十パラドックス  作者: 遠藤千和
第1章 ー入学編ー
16/22

第16話 「再会」

前回初登場の人物・前回情報を公開された人物 (説明)

Y (男、亜夜芽月花の元カレ)

「げほっ、げほっ。なんで、今のタイミングで、誰が…。」


「どうしてもタイミングがなかったからな、もう終わらせようと思ってたんだ。はっはっは。まさかわからないとはな。吉田英俊(よしだひでとし)、お前自身の手で最悪な目に合わせた元カレだよ。」


「はっ…………。(迂闊、だったなぁ。今度は実際に刃を入れられるなんて……。)」


「おい、何してんだよ!ふざけんな!」


「おお、お前はこの前近くにいたやつじゃないか?こんな人の生活を奪ったやつを好きなるのが正しいとでも思ってるのか?」


「亜夜芽さん…。(腹部を刺されてる……。出血多量になると危ない…。早く救急車を!)」


「諏訪異くん、ごめんね。(ここまで私を救ってくれようとしてくれる。なんで私は最初からもっと考えなかったんだろう?本当に、ごめん…。)」


「喋らないで!(くっそ、こいつ、トドメを刺そうと……。許さない…。)」


「まさかお前みたいクソ野郎を助けようとする奴がいるとはな。俺の命まで三途の川まで連れて行ってくれたんだ。俺はお礼にお前を地獄に連れていってやるよ!」


「うわああああああ!」


「(うっ!?こいつ素手で?)やめろ、離せ!」


「ふざけんな!お前のしたことはもう2度と消えねえんだよ!ていうか、お前、九条櫂の仲間だな?」


「あんな奴仲間じゃ、ねえ、よ。俺は自己の目的のため、だ。俺、の、命を危険、に。」


 何かが壊れた気がした。心の中の。この時の出来事は後にはあまり覚えていなかった。それほどまでに、本能、こいつだけは許せないという憎悪が強く滲み出ていた。


「(お前か、お前が。)亜夜芽さんを壊したのは!責任者に執着するようになったのは!」


「やめろ!やめ、るんだ!こいつのために仇を打つなんて人生の、無駄だ、ぞ!」


「知らねえよ。ふんっ!」


「ぐはっ。(せっかく、九条櫂を使って月花を始末する計画、が……。)」


「はあ、はあ、はあ。う、うわあああああああああ……………!な、なんで…、なんで…。」


 ピーポーピーポーピーポーピーポー…。


 この時亜夜芽さんは意識を失っていた。相当危険な状態であった。しかし、通りかかった人たちによって、俺の行動は止められ、救急車を呼んでもらえた。警察官も数人やってきて、あの時の景色は赤い光に染まっていた。数度の暴行によって俺も暴行罪になる可能性を感じたが、極度のショックによって、その時俺も気を失ってしまった。次に気がついたときは病院の景色であった。起きた時横には凪紗と暗限さんが見にきてくれていた。亜夜芽さんの姿はなかった。


「うぅ…。」


「黎人、目を覚ましたか……。」


「心配したんだよ!急に凪紗から連絡が来て…。」


「黎人の母親から電話がかかってきたんだ…。急いで駆けつけたが、黎人が眠っていたから…。」


「あ、亜夜芽、さん、は…?」


「そのこと、なんだが………。」


「私たちが今知ってる情報だと、意識不明の重体らしい………。」


「なんとか処置を間に合わせて、今治療してるところらしいんだ…。もう少し遅れていたら、間に合ってなかったかもしれないそうだ…。通行人に感謝だな……。………………。」


「諏訪異黎人、自分が何をしたか、覚えてる…?」


「ごめん、あまり覚えて、ないんだ……。」


「僕たちは何が起きたのか、本当によくわからない……。だけど、察しがつく、亜夜芽さんをターゲットとして襲われたということ……。つまり、亜夜芽さんを襲った相手……。亜夜芽さんの元カレ、ってことだよな?」


「……。そう、らしい。」


「えっ?亜夜芽月花の、元カレ…?」


「暗限と別れた後、亜夜芽さんから黎人の話をされたんだ……。その時に聞いた中学校時代の元カレ、名前はYと言っていた…。そいつがなんで今、行動したのか、僕にはわからないが……。」


「九条櫂の手下だったんだ。」


「黎人?そうなのか…?」


「確証はないけど…。まったく知らない奴に対して、「あんな奴仲間じゃねえよ」なんて言わない…。」


「そんなこと言ってたのか……。」


「あっ…、諏訪異黎人…。」


「警察の針山です。加羅琉学園1年生の諏訪異黎人さんですね?先ほどの事件の事情聴取を行わさせていただきます。」


「はい、わかりました…。あの、凪紗。」


「どうした?」


「亜夜芽さんが戻ってきたら、俺の話をしてほしい…。」


「わかった……。黎人、大丈夫だからな、僕は黎人を信じてるぞ。」


「諏訪異黎人、きっと大丈夫だよ。」


「うん…。本当に、ありがとう。行ってくるね…。」


「黎人、本当に何にも問われなければいいんだが…。」


「私たちよく知らないしどうにもできないけど、諏訪異黎人が無事に帰ってくるのを祈るのみだよ。」


「だな……。亜夜芽さん…。彼女が全てを知っているんだ、もし何か黎人に疑いの目をかけられるようなことがあれば、亜夜芽さんに証言してもらう他なくなる。」


「命に関わる可能性もあるって、相手はよほど不意を着くことができたんだろうね…。」


「きっと、亜夜芽さんにとって、Yがそのとき現れたことは脳内全てに考えを巡らせても、出てこないくらい考えの外だったんだ…。今の亜夜芽さんを作った出来事に関係がある、その元カレ、何があったかあまり詳しくは聞けなかったが…。亜夜芽さんに多大な影響を及ぼしたことは確かだ…。」


「はあ、元カレっていうのは、亜夜芽月花にとってそんなにも重いものだったのかな…。」


「僕たちにそれはわからない…。ただ、現実を見て確かめる他ないんだ。」


「その元カレ、とんだネジ外れだよね。亜夜芽月花が何したか知らないけど、殺そうとする事がダメだとは考えられなかったのかな…。」


「黎人が言っていたように、九条櫂の手下だったなら、殺すことが目的なのは間違いない…。ただ……。そこに私情が混じっているか、の違いじゃないか…?」


「九条櫂は私情というより、学園のバランスを崩させるためだったよね。」


「あれだけ多くの人の責任者だと影響力も大きいだろうからな…。でも、元カレは九条櫂の手下としての建前をもって、後ろには完全な私情を抱えていた…。」


「そいつ、生きる価値ないよ。しかも諏訪異黎人の言ったことが正しいなら、そいつ、九条櫂のことすら捨て駒に使ってるよね?何があっても許せる気がしないよ、私は。」


「とりあえず、亜夜芽さんが元に戻って、話をしてくれるまでは何もわからないが…。」


「きっと、大丈夫だよ、ね…。」


「結果を待つのみだ……。」


ーーー2時間後ーーー


「時間も遅くなってきたな…。僕が連絡を受けてから、もう3時間か。」


「諏訪異黎人、戻ってこないかな…。」


「あ、病院の。亜夜芽さんは、大丈夫なんですか…?」


「なんとか、一命は取り留めました。ただ、いつ目を覚ますかはわかりません、そして後遺症が残らないかどうかも…。数箇所にわたって切り付けられたあとがありましたので。」


「そう、ですか………………。」


「(命が助かっても、後遺症があったら…。亜夜芽月花のいつも通りしてた生活はどうなるの?もう2度と治らないことだってあるかもしれないのに…。)」


「ありがとうございます………………。」


 世界はいつも、こうなる。普通通りに過ごしていたはずの人々が、身勝手な人々によって何かしらの被害を被ることになる。そんな身勝手な人々によって普通通りに過ごしていた人々は対応を考えなくちゃならなし、今までとの生活が変えられることもある。この事件で痛感させれた、日常がずっとあるのは、決壊寸前の土台があるおかげだと。土台を少しでも揺らすような出来事があったり、なし崩しにするような出来事があったりすれば、それは簡単に壊れてなくなってしまう。そんなことに気づかずに生活している人間は、脆く、周りに起きる現象を指を咥えて見ていなければならないということだ。そして、失った人間はもう2度とは、戻らない。それが信用であっても、関係であっても、命であっても。ただ、そんな理不尽極まりない世の中でも、1度学べば、次はそれほど脆くはない。そう出来事を体感すれば、次に繋げるためのバトンとなり、世界をよくする一歩になるのかもしれない。だから、そうして生きていくことが僕たちの使命なんだと、実感できた。


「あ、黎人!」


「戻ってきた…。」


「2人とも、迷惑かけた…。俺の罪を免除されることになった。俺の取った行動は、あくまで容疑者の傷害を止めるための防衛のためと、判断されたんだ…。」


「本当、か?……。」


「え、豊龍凪紗?」


「…。よ、良かった!心の底から、黎人が何もなくて…!」


「凪紗、そんな泣かなくても…。」


「泣くでしょ。豊龍凪紗が誰よりも、諏訪異黎人のこと、心配、してたんだから…。」


「凪紗、、。本当に、ありがとう!あ、そうだった…。亜夜芽さん、は、どう…?」


「そのことだけどな…。一命は取り留めたそうだ。」


「良かった!あんなので、死ななくて…。」


「だが…。まだ、意識は戻ってないん、だ…。」


「え、そうなの…?」


「私たちはただ信じるしかない…。」


「そう、だね…。」


「黎人、見ててあげた方が、いいんじゃないか…?亜夜芽さんは、黎人に話をしに行こうと、していたんだ…。」


「えっ…?」


「詳しくは、亜夜芽さんから聞いてくれ。何日かかわるかわからなくても、いつか、黎人がそばにいる時に起きてくれるさ。」


「うん…。わかったよ…。」


「僕らが事件についての話を知るのは、黎人と話し終えた後でいいんだ。」


「諏訪異黎人に話さないと、亜夜芽月花もいなくなることはできないよ。だから諏訪異黎人がずっとそばにいなくちゃダメなんじゃない。」


「2人が言うなら、しっかり、毎日お見舞いにいくよ…。」


ーーー3日後ーーー


「今日も、亜夜芽さん、目を覚ましてない、っか…。………。学園でも噂が出てきてる頃だし、亜夜芽さんもあんまり長く寝てると、それこそ氏に影響が出ちゃうんじゃ、ないんですか…?氏のため、目を覚ましてあげてくださいよ…。副氏長にも、迷惑かけたくないんじゃない、ですか…?………この事件は、未成年者が犯人だったから、実名は放送されていません…。学園のみんなも、知ることはないです…。でも、周りはその犯人を広げることも考えられます…。元カレさんも助けるためには、起きなきゃ、いけないんじゃないんですか…?」


「んー……。」


「あ、あや、亜夜芽さん!」


「す、諏訪異…。あなたの言う通り、だよ…。迷惑、かけてごめん、ね……。」


「そんなことないです!やっと……。目を覚まして……。うう…。」


「遅れたちゃったけど、やっと2人になれた…。諏訪異くん…、話そっか…。」


ーーー→ continue to next story




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