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十社会十パラドックス  作者: 遠藤千和
第1章 ー入学編ー
14/22

第14話 「崩れた気持ち」

前回初登場の人物・前回情報を公開された人物 (説明)

刹那 奏菜 (女、3年C組、刹那氏長)

「…………。なんで、なんで、亜夜芽さんと関わったら不幸になんて、なるんですか…。」


「諏訪異くんがそれを知ったところで、迷惑にしかならないよ…。私はこのままでいなきゃ、いけないの。」


「亜夜芽さんには、他にも理由があるんですね…。どうしても完璧な責任者でいないといけないという。過去に、何かあったんですか…。」


「私は喋る気はない……。喋ったところで私に失望するだけし、諏訪異くんに申し訳ないっていう気持ちしか湧いてこない…。だから諦めて…?諏訪異くんに強く言えば言うほど、私は苦しい…。もうこれ以上あなたに私を好きになってほしくない…。あなたは素敵な人だから…、もっと幸せな道を、歩んでほしい…。」


「そんなの、そんなの!俺は亜夜芽さんが苦しむ結果なんて…。」


「うぅ、これ以上は苦しいから、ごめんね……。」


 きっと人は誰しも苦しい過去があるものだろう。人格形成には過去が大きく関わって、その環境が基礎となる。亜夜芽さんには何か、責任者としての責任を大きく抱えることになった出来事があるだろうと考えていた。でも俺は、俺は1日のうちの数時間を毎日費やしていても、亜夜芽さんの過去を知ることができなかった。責任者として崩れる、もちろん大切なものができると、それを守らなければいけなくなるだろう。彼女にとって完璧であることは、それすらも許されない思いがあることが今回で理解できた。どんなに強い人間でも、その短所というのは一生消えないもので、過去に結びついたその思いは色褪せることなく彼女の体に染みついた。俺にそれを消すことができればよかったのだろうけど、そんなことをできる能力もないし、なにより、彼女の決断を歪めたくはなかった。彼女と言う人間はそういう人間でその人柄を好きになったのだから、それを否定する意味はない。振られたことに何1つ疑う余地はない。けれど過去に何があったのか、それがわからないだけで、すごく居心地の悪い1日間を過ごした。


ーーー翌日・1年C組教室ーーー


「暗限、おはよう。」


「あ、豊龍凪紗おはよう。今日は諏訪異黎人と一緒じゃないの?」


「なんか調子が良くないってな、珍しいが。」


「ふーん。昨日早く帰ってたし、なんかやったから疲れたのかな。良くわかんないけど元気だといいね。」


「そうだな。あ、今日は帰り刹那さんと一緒に帰るからな。忘れるなよ。」


「今日は調べなきゃいけない情報もないし大丈夫だよ。なんなら帰りに手に入る情報が大事だし。」


「刹那氏については片っ端からわかるとは言え、必ずしも進展するわけじゃないかもだからな、ほんとお先真っ暗状態だぞ。」


「とりあえず、一筋の光を信じてみるのも大事でしょ。刹那氏についてあんま知らないって昨日自分で言ったでしょ。」


「その通りといえば、その通り、か。亜夜芽さんも含めたら、導氏以外の全生徒の名前やクラスがわかることになるしな。少しくらいヒントを得られるか。」


「そうだと思うよ。」


「黎人がいないとなんだか、静かに感じるな。」


「いっつもうるさいからじゃない。」


「そうかもしれないけどな、ああいう人がいた方が周りも元気になるってもんじゃないか?」


「私はあんまり興味ないね。」


「それでもだ。調子が良くないとは言ってたまた連絡することにする。」


「心配性だね。」


ーーー諏訪異黎人の自宅ーーー


「……。情けないや…。こんなんで休むとか、凪紗たち心配してるのかな…。明日行くときは元気に振る舞わないと…。亜夜芽さん、もう俺とは関わってくれないかな…。なんでこうなったんだろう…。あはは…。ほんと情けない…。亜夜芽さんの過去ってどんなだったんだろう…。何が、あの人の人格形成をしたんだろう…。でも……………。(過去を掘り返すこと、絶対にしてはいけないって俺が1番わかってる……。俺だって過去は思い出したくもない……。過去の栄光って言葉があるけど、俺にとってそんなのない。これから先、どうしよう…。)せっかく凪紗が学園統一の話を進めてくれているんだ…。俺がいたら邪魔しちゃう…。亜夜芽さんは重要な情報を握っているかもしれないのに、俺がいたら話しにくいだろうな…。もう、いっか……。」


ーーー昼休み・3年教室付近ーーー


「やっと授業終わった!今日はこはと弁当食べよ月花ーー!」


「うん…。ありがとう、一緒に食べよう…。」


「え、どうしたのそんな元気ないの珍しい!」


「ちょっとね…。今日はこのテンションだけど許して…。」


「気分良くなかったら静かにしてても大丈夫だよ!こははいつも通りだからね!」


「ありがとう…。こはには2人っきりになった時に話すよ。」


「ま、流石に誰が話聞いてるかなんてわかったもんじゃないしね!」


「うん…。」


「(月花がこんなに元気ないの、おかしいよ!昨日何があったんだろう?)」


ーーー放課後ーーー


「暗限、そろそろいくか。」


「流石に3年生も今の時間だったらホームルーム終わってるよね。」


「たしか、3年C組だったはずだよな。」


「刹那氏長はこはと同じクラスだったから、そうだよ。相変わらず遠いよね、3年生の教室。」


「それは、わかるな。距離が遠過ぎて行くのすら一苦労だ。」


「刹那氏長さ、この前話した感じだと、色々話してくれそうな気がするから、学園統一の話は話していいよね。」


「とりあえずな、あまり口外するような人ではないと思うぞ。」


「やっと、ついた。」


「失礼します。刹那さん、いますか?」


「あ、来てくれたんですね。ありがとうございます。時間も勿体無いですし、行きましょう。」


「そうですね。」


「刹那氏長、まず私たちの目的を聞いてほしい。あなたも望んでいるのかもしれないけど、学園統一だよ。」


「それはどういうことですか…?」


「簡単にいうと、氏制度の殲滅と学園全体の平和を目指しているってこと。」


「僕たちは、まだ実際に動けている部分は少ないけど、少しずつ情報を重ねて氏制度の根源を断とうとしているんです。詳しくは省略しますけど、氏制度が生まれたのは、1つの事件からです。その悲惨な事件のような出来事をなくするためにも、全員の意思を統一させるんです。」


「そんなこと、できるんですか…?」


「難しいって言えば、それ以上言うことはありません。でもきっと、この制度のせいで苦しんだ人が今までも生まれ続けてきたはずです。だって、刹那さんもそうですよね?」


「刹那氏長はこの制度の責任者としていたから、苦しんできたんでしょ。みんなが統一されれば、これ以上苦しむ必要はなくなるよ。」


「そう、なんですかね…。ただ、、。私は、責任者としての苦しみを他の方より理解しているつもりです。だから、私と違って社交的な方々である他の氏長や、副氏長の方々には悩みなんてあまりないと、前までは思っていました。でも、昨日あなた方に言われたことを考え直してみたら、良く考えたら同じ責任者で悩みがあると、最近気づくことができました。私があなた方に協力すれば、少なくとも刹那氏のことについては私が知らない部分を埋め合わせすることができると思ってます。それがあの方々や私のためになるとするなら、私は協力したいと思います。苦しむ人を増やさないためにも、頑張りたいと思います。」


「ありがとう。さっそくでごめんだけど、私たちが知りたいことは、随時教えてほしいんだ。」


「そうです、か。刹那氏はあまり統率が取れていなくて、統一するのは大変だと思いますけど…。それぞれの人の情報は持っているので、それで手助けできると思います。」


「そうです、僕たちがとりあえず知りたいのは、刹那氏現在の全員の名前とクラスを知っておきたいんです。」


「それって、かなり整理するのが大変なんじゃないんですか…。」


「うちには情報処理の名人がいるので、なんとかなります。」


「私だよ。」


「暗限さんって、すごいんですね。」


「そういうのしか頭使えないから。」


「あ、さっきの事件って言ったんですけど、あれにはもちろん犯人がいて、その犯人と言われているのが吉基とという人なんですけど。」


「ちなみに、死んでいるらしいよ。」


「えっ。死んでいる人物が起こしたんですか…。」


「その事件だけで終わったらよかったと思うけど、豊龍凪紗は、そんな事件を起こすほどのクズなら絶対に、「後継者」を残しているって踏んだんだ。」


「それがいるか、いないかすら定かではないですが、その可能性を信じて現在はその後継者を探っています。また、後継者は吉基の年齢からして、現在私たちの年齢に近い可能性が高いと考えています。近々、その時のような大きな事件が起きる可能性もあると踏んでいます。」


「そんなにも、考えているんですね…。すごいです…。とてもじゃないですが、普通ではそこまで考えられませんね…。」


「何がその証拠を掴むことになるかはわからないけど、模索しているうちに何かが証拠となることを願って、今も考え、探しているんだ。」


「すごい、ですね…。後継者の情報は何もつかめていないと言うことですよね…。」


「そうですね…。ほんとにわからないって言っていいでしょう…。最初は、「後継者」という考えではなく、「血縁者」という考えで進めていたので、そのときは「吉基」という苗字から探し出せると思ったんですが…。」


「たしかに、「後継者」と言う視点では、名前が少しもわからないですね…。」


「これが今、最初の壁っていう感じだよ。これが越えられない限り、全生徒を探っても見つかる可能性は限りなく低くなる。万が一、「血縁者」だったら、「吉基」から探し出すだけで、良くなるんだけどね。」


「どうするのがいいんでしょうか…。」


「今はわからないです。ですが、きっと求めて言った先に答えはあるはずですから。そして例え、「後継者」がこの世に存在しなくとも、「氏制度」にとらわれない元の加羅琉学園になれば、それでいいじゃないですか。」


「その通り、ですね。」


「じゃあ、ここで、また今度、刹那氏長。」


「いい話、ありがとうございました。3日後には、全員の名前を見やすくまとめておくので、3日後にまた教室にきてください。」


「わかりました。それじゃあ、また会いましょう。」


ーーー???ーーー


「はっはっは。これが残された、俺の役目か?だが、元々その気だったし、俺は自分の意思に従うぞ。待ってろよ、野郎。死の淵まで追い込まれた恨み、晴らしてから死んでやるよ!」


ーーー→ continue to next story




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