第13話 「責任者としての禊」
前回初登場の人物・前回情報を公開された人物 (説明)
中村 隼人 (男、警察官)
「あ、そうです…。正真正銘、加羅琉学園の刹那氏の氏長を勤めている刹那奏菜です…。」
「(これが、あの刹那氏長の刹那奏菜、河実が言った違和感、もしかしたら突き止められるかもしれない。)怪我はないですか?」
「私は大丈夫ですけど…。危うくあんな大きいトラックに轢かれてしまうところでした…。私なんかのことを助けてくれて、ありがとうございます…。そして、ごめんなさい、本当に。怪我はしてないですか…?」
「あなたが怪我ないかの方が大事だよ。豊龍凪紗は自分の身なんて考えずに飛び込んでくれたんだから。自分の心配をしてよ。あと、制服汚れてるし、乱れてて見えちゃいけない部分見えてるよ…。加羅琉学園の制服高いから汚しちゃったら早く洗わないと…。まずいんじゃないの。」
「はい…。ごめんなさい…。」
「………。ていうか、やっぱり氏長だったんですね。どこかでみたことありました。僕たち、加羅琉学園の生徒なんですけど、刹那氏のことはあまり知らなくて。」
「少しでも覚えていてくれて、嬉しいです。」
「(なんか、なんだろう。怒っている?失望してる、もしくは自信をなくしている、と言ったところか?河実の言っていた違和感はこれなのか?)刹那氏はうまく言ってないんですか?」
「刹那氏は、私になってから全然まとまっている気がしないんです…。この前は九条くんが問題行動を起こして…。刹那氏は低迷を続けているんですよ…。亜夜芽氏はみんな仲良くやってて良いなと思ってますよ…。臨機応変とは言ってますけど、あまりみんな仲良くもやれなければ、九条くんの問題のように後先を考えていないこともありますから。私もこの問題抱えず、普通の学園生活を送りたかった、といえばそうですよ…。毎日考えていても、今回のような出来事がまた起こるんじゃないかと不安だらけで。でも、みんなの前では氏長としてしっかりしてないといけないので…。情けないですよ、3年もこの学園をみてきて、理解も足りていなければ、責任者としての実力もないです…。早くこの制度、なくなって欲しいなあ…。」
「(やっぱり、自信のなさから来ていたのか?というか、責任者としての重荷に押し潰されそうになっている。学園統一のためには、刹那氏の協力は絶対に必要になってくる。聞いた感じだと、あまりまとまっていないようだが、責任者としての力はやはり大きいだろうからな。関係を持っておいて損はないだろう。)」
「大丈夫だよ。自分に自信がなくたって、責任者というには必ず尊敬されているものだよ。こんな人数も多い学園の責任者なんて、できる人はあまりいないよ。」
「そう、ですか…。」
「そんな自信をなくすことはないと思います。名前を言うのを忘れてました。僕は豊龍凪紗です。」
「さっきも言ってましたね…。って、もしかして、九条くんの事件に巻き込まれた、豊龍くんですか!?」
「そうですよ。僕から言わせてもらいますけど、悪いのは1個人であって、刹那さんがそこまでに気を必要はありません。人間なんですから、数多くいるうちに正しい行動をできない人もいます。そういう人を全員助けていては、一生自分のしたいこちは叶わないです。刹那さんがしたいことは何かは分かりませんけど、みんなのために頑張っている刹那さんがいればみんなにとってはそれでいいんじゃないですか。」
「そう、ですか…。私は重く考えてたんですかね…。初対面のひとにここまで言われたのは初めてですよ。」
「ごめんなさい。」
「いえ、そんなことないです。私を助けてくれたのは本当にありがとうございます。そして別の学年の人に色々言われたので、少し元気が出ました…。」
「それなら良かったです。」
「助けたのはたまたまだったし、何か企みがあったわけじゃないけど、本当に運良く刹那氏長と関われたから、私たちの話を聞いてほしいの。」
「おい、暗限そんな無理に。」
「刹那氏長だから、何か協力できることがあるんですよね。実現できるかは分かりませんが、話だけは聞いても大丈夫ですよ。」
「ありがとう。」
「(意外と、話を聞いてくれるタイプなのか?刹那氏は九条櫂みたいなやつもいるからな、全員が全員いいやつなわけではないが、氏長はやっぱりちゃんとしていたんだな。)」
「刹那氏長は何年何組なの?」
「私は3年C組です。今日は家に帰らなくちゃならないので、明日でもいいですか…?」
「わかった。大丈夫。あ、ごめん。遅れたけど私の名前は暗限弥生だよ。豊龍凪紗と同じ1年C組。」
「そうなんですね。2人と出会ったのも、私が助かったのも、何かしらの因果なんでしょうから、この出会いを大切にします。」
「ありがとう。(これが、刹那氏長の形なんだ。ここまで持って行っちゃえば、あとは友好関係を持てて、刹那氏の話も聞けるだろうから進展できるね。本当に狙ってたわけじゃないけど、なんていいタイミングだったんだ。少し行き詰まってきたところだったから、相当大きい。んー、でも……。まあ、今回はここまで話せたし、いっか。)」
「クラスを教えたので、その話をできる時に話しかけに来てください。私は他の氏長と違って友達も少ないので…。暇なんです。」
「そう、ですか…。学園の帰りにでも話すことにしましょう。(顔だけじゃあ、人は集まらないってことか…。裏で言われそうなくらい、いい顔をしている。裏で言われても、話しかけられなきゃ友達はできないよな…。辛い3年間を過ごしてきたんだろうな、想像できる…。他の人のためを思っているからこその苦労人であり、孤独だったんだろうな…。刹那氏長としていなければ、もっと恵まれた日常を持てただろうにな。年上だとしても、同情の余地しかない…。)」
「分かりました…。今日のところは急いで帰らせてもいます。制服も汚しちゃったので…。」
ーーー同時刻・諏訪異黎人の自宅ーーー
「凪紗にあんなこと言って帰ったの、初めてだよ。(でも、思ったことはすぐにでも言わなくちゃ!抱えてちゃわからないこともたくさんあるはずだよね!)亜夜芽さん、今日の夜時間はありますか?っと…。」
「ん〜?今日は特にやることないから時間あるよ〜。またこの前みたいに電話する?」
「今日は電話じゃなくて、直接話しがしたいんです!」
「え〜珍しい。外で会うってことだよね〜?」
「何時でも大丈夫です!」
「分かった〜。電話はよくするから慣れてるんだけどさ〜、あんまり後輩と2人で話すってことないから〜なんか不思議な感じだよ〜。」
「ありがとうございます!亜夜芽さんの近くの公園に行きますね!静かな場所がいいので!」
「そうなの〜。ならあの公園にするよ〜。夜ご飯食べ終わるの7時半くらいだから〜8時くらいでお願い〜。」
「はい!わかりました!」
ーーー8時頃・近くの公園ーーー
「亜夜芽さん、早く来ないかな!喋りたいことを忘れないうちに来てほしいな!」
「あ、ごめんね〜。少し待たせたよね〜。」
「いや!全然待ってないので大丈夫ですよ!」
「いや待ってたでしょ〜分かってるから〜〜。」
「はい!ごめんなさい!」
「それで〜、どんな話をしたいの〜。直接呼ぶっていうくらいだから絶対何かいつもと別の話でしょ〜。」
「そうです!ちょっと、こっからは真面目に話していきますね。」
「分かったよ〜。」
「俺、亜夜芽さんにすごい憧れを持っているんです!それはなんと言おうと嘘じゃないですよ!」
「ありがとね〜。」
「日に日に関わってて憧れと、、、。「好意」を持つようになりました!まず、俺的には亜夜芽氏長をやっているっていうのだけですごすぎるって思ってるんですけど!それだけじゃなくて、かわいい一面も持ってて、人としての生き方も尊敬してます!」
「ん、ありがとう!そろそろ言ってくるのかな〜って思ってたんだ〜。」
「そうなんですか!」
「そうだよ〜。こんだけ喋ってて好意を持ってないわけないと思ってたんだよ〜。だって君の性格だから。私も、好意を持っていると思うんだ〜。でも、、、。ごめんね、諏訪異くん………。私じゃあなたを受け入れられないんだ……。」
「えっ…………?」
「本当に、ごめんね……。」
「な、なんで!亜夜芽さんは…?」
「私は今、この加羅琉学園の最高責任者として、頑張ってきた。もし私に、大切な人ができてしまったら、責任者としての完璧を保てなくなっちゃうかもしれない……。みんなに等しく、元気を与えられなくなっちゃうかもしれない……。私はみんなに優しく接せる、いい責任者でありたいんだ……。こんなにも、諏訪異くんが、私のために一生懸命に話してくれて、本当に楽しいと思った……。だけど、私では、諏訪異くんがしてくれた、元気のくれる振る舞いや、命までも助けてもらう行為に相当することは、できない……。」
「……。うわあああ!うわーーん!(いや、これで、これで、いいんだ……。亜夜芽さんに迷惑をかけるより、俺は1人の好きな人として、そばにいてくれたほうが、、、。)」
「何度も、何度も、あなたと喋っていく、関わっていくうちに、頭によぎった……。私がこんなことをしていなかったら、最高責任者なんかじゃなかったらって!ただ1人の、普通の生徒だったらって!でも!でも、、!私は最高責任者で、みんなを助けてあげる人でありたい、って……。」
「……。」
「みんなの前でも、かわいいって褒めてくれたり、話を振ってくれたりさ、本当に嬉しかった……。周りに知られちゃいけないことは、きっと、大変だったよね……。私だからって、そんなことを背負わせちゃって、ごめんね…。」
「俺は!俺は……!亜夜芽さんに、謝ってほしくなんかない!ただそばにいてほしいです……。繋がっていなくたって、想いが通じ合ってれば……。」
「私なんか、もう諦めてよ……。」
「俺は、そこまで、そこまで言われて、諦めることなんてできないですよ……。」
「私なんて、関わってても不幸にしかならないんだよ!もうやめてよ!」
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