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十社会十パラドックス  作者: 遠藤千和
第1章 ー入学編ー
12/22

第12話 「決意の動き出し」

前回初登場の人物・前回情報を公開された人物 (説明)

白光 琥珀 (女、3年C組、亜夜芽氏)

 この事件は、犯人である「九条櫂」が「亜夜芽月花」と「諏訪異黎人」を不意に襲撃したことをきっかけに身柄が確保され、幕を閉じた。この先には九条櫂の取り調べも待っているだろう。この事件はこれにて幕を閉じた。だが、心に残った傷はそう簡単に癒えるものではなかった。大きなトラウマを植え付けられた事件となり、学園全体でも大きな問題として声が上げられていた。一歩進んでまた再びスタートへと立たされた彼らはどのようになっていくのだろうか。


ーーー九条櫂逮捕の2日後ーーー


「取り調べの時間だ。」


「クソっ。」


「お前の動機は、間違いようもない、豊龍凪紗への逆恨みだな?」


「…。」


「事情はすべてわかっているんだぞ?吐いた方が楽になるってもんだろ。」


「…。」


「何か話したらどうなんだよ。」


「……。」


「ったく、昨日から全然喋らないで、どうにかして欲しいもんだね。」


「……。」


「時間の問題だよ。彼らから話を聞いているからね。君が手伝いを要求した人たちはすぐに捕まるだろう。吐いても吐かなくても変わらないのなら吐いた方がいいと私は思うけれどね。」


「………。」


ーーー同日・豊龍凪紗の自宅ーーー


「凪紗、大丈夫だったかな。私も母親としてしっかりしないとね。凪紗が危険に遭うなんて、もう2度と起きてほしくないけど。それもこうなってしまったから、しょうがないのかも知れないね…。」


「母さん、おはよう。」


「あ、凪紗。昨日1日十分休んだからもう大丈夫かな?」


「うん。平気だよ。どうやらさ、九条櫂、何も情報を吐いていないらしいんだ。」


「そうなのね。」


「何かおかしいとは思うけどな。連絡してきてくれたのはあの中村さんだし、取り調べをしてるのも中村さんだそうだから、喋らないのはなかなかだ。事件の全貌は見えたし、もう喋ってもいいような気はする。唯一心配が残ってるあいつが従えた仲間も周りを探せば予想がつくし、僕の身の回りのメンバーも保護を受けてる。ちょっとやそっと何があっても大丈夫だ。」


「うん、そうだね。きっと大丈夫だよ。」


ーーー諏訪異黎人の自宅ーーー


「今日も学園休みっかーーー。まーそりゃーあんなことあったら休みにもなっちゃうよねー。あ、そうだ、亜夜芽さん大丈夫かなーーー?亜夜芽さん、元気にしてますかって送っておくかー。」


「わざわざ連絡くれてありがとう。諏訪異くんのおかげで私は生きてるし、本当にありがとうね。今度お礼するから〜。氏長としても気合い入れちゃうから楽しみにね〜〜。」


「やっぱ、亜夜芽さんすごいや!憧れる人だなー!優しいしあんな顔をお持ちで!モテるでしょめちゃくちゃ!しかもなんだっけ、琥珀さんっていう最強そうな友達もいるしさ!あの人、すごいなー。」


ーーー暗限弥生の自宅ーーー


「あーなんか疲れた。ちょっと寝過ぎたし。そうそう、あの警察官の中村だっけ?ほんと怖そうな見た目してたな。あの人の取り調べとか受ける気にならなそう。まーでも、どうでもいいか。中々生徒全員調べるっていうのは骨が折れる。そんな全員の情報が転がってるわけでもないし。はーめんどくさい。今度から豊龍凪紗になんか請求しないとね。んー、この前あそこにいたのが、豊龍凪紗、諏訪異黎人、亜夜芽月花、あと、白光琥珀。九条櫂があそこってわかったのも単なる偶然かも知れないし狙ってたのかもしれないけど、流石に単独だと無理なわけだし。仲間を引き連れてても、最初豊龍凪紗の襲撃があった時は諏訪異黎人のことしか見れてないわけだから、亜夜芽月花がいる場を狙って襲撃するのは無理がある。じゃあどういうことか。もしかしたら、学園内の仲間もいたってこと?そうなったらめんどくさいことになる。可能性としては低いけど、学園にいる時も常に警戒する必要があるかもしれない。炙り出したいけど、難しいよね。とりあえずこの4人は白で見るとして、他の学年とかからも見つけるのは不可能に近い。保留にしとくしかないか。あ、っでも別の学園でも中学校出身とかなら顔も知ってる可能性があるね。亜夜芽月花の出身中学校からとかもっと大変だけど、頑張るか。」


 それぞれ事件が終わったあとは違う方向へ向きを変え、動き出した。この話の後も、九条櫂は何があっても事件のことに関して口を出すことはなかった。何かがありそうでなさそうな雰囲気。彼らは平穏のようで不穏な毎日を送っていくことになる。その中でも不変はあり得ず、物語は新たなところへと進んでいくこととなる。


ーーー3日後ーーー


「みんな久しぶり!特に凪紗は大変だったよね!学園でも相当話し合いがされたみたいだよー。人間はすぐに広めたがる生き物だよね。」


「諏訪異黎人、相変わらず元気だね。豊龍凪紗は疲れてそうだね。」


「当たり前だ。事件が治ったとはいえ、警察の話は聞かないといけなかったしな。中村さんも、苦労しただろうな。」


中村隼人(なかむらはやと)、だっけ。中々すごい警察だよ、あの人。でも情報通り何も吐かずに終わっちゃったっぽいからね。行き詰まりといえば、行き詰まりだよ。」


「あ、みなさん。大丈夫だったんですか…。」


「あ、河実さん!なんとか大丈夫だったよ!現場につれてきてなくて本当に良かったよ!」


「みなさんのこと、心配でした。1回目、襲われた時ですら、危うく怪我で済んでいなかったかもしれないので。」


「とりあえず、終わったことだから!みんななんとか無事だったし、ほんとよかった!」


「1番、傷を負ったのは…、亜夜芽さん…なのか?」


「実際に傷付けられたし、精神的なものも重いよね。もしまた、外に出てこうなったらってさ。」


「暗限の言う通りだ。目の前で見ていた琥珀さんですら、精神的な傷は負っただろう。」


「その、琥珀さん?というのは、誰なんですか?」


「あ、河実はあの場にいなかったからな。亜夜芽氏に入っている亜夜芽さんの友達らしい。とても優しそうな感じの人だったな。」


「俺みたいってことだね!」


「それは余計だけどな。でも黎人のおかげで今回の事件は大怪我した人はでなかったし、感謝しきれないな。」


「ふん。そうだぞ!みんな感謝してね!」


「感謝したくないけど、感謝しきれない、、。」


「そんな無理しなくていいよ暗限さん!」


「私に当時の現場の状態までしっかりわかりませんけど、ありがとうございます、諏訪異くん。」


「そんな河実さんまでに言われることはしてないけど、ありがとう!」


「あ、そうだ豊龍凪紗。今日ちょっと話があるから残っててもらっていい?」


「わかった。黎人今日帰るの遅くなるだろうから、早く帰っててもいいぞ。」


「ごめん、今日は俺もやらなきゃいけないことがあるんだ!一緒に帰りたいけど帰れない!ごめん!」


「大丈夫だ。というか、珍しいな。」


「心配しないで!大丈夫だから!」


「私はそれでいいよ、豊龍凪紗今日は2人の方がいいと思うから。」


「わかった。てか、また数学あるのか。うんざりだな。」


「友達増えたし、楽しく受けれるようになったでしょ!だからあんま暗く考えないようにしよーよ!」


「それはそうなんだが…。」


「(諏訪異黎人、なんだか雰囲気変わった?なんか、気持ちに変化でもあったのかな?まあいいや。)」


「とりあえず、久しぶりだし、元気に行こうよ!」


ーーー放課後ーーー


「豊龍凪紗、おつかれ。」


「待ちくたびれたぞ。何にそんな時間かかったんだ。」


「図書室でたくさん本漁ってたら時間がかかった、ごめん。」


「(ちゃんと謝ってくるなんてやけに珍しいな。)それは何のために漁ってたんだ。」


「この前家で情報整理してたんだけど、そこでこの前豊龍凪紗が言ってた生徒の情報をどうやって探すかって考えたんだけど。その時に出てきたのが、学園にあるなにかしらの本に情報が載ってないかって考えたんだけど。結局、時間かかりそうだったからそれ以上の詮索はしなかった。」


「なるほどな。それが今回話したかったことなのか?」


「流石にそれはないよ。てか、時間遅くなっちゃったし、帰りながら話そうよ。」


「時間が遅くなったのは暗限のせいだけどな。身勝手だな。」


「それはごめん。」


「僕は大丈夫だけどな。あんまりやると周りに嫌われるぞ。暗限は年上にも敬語は使わないしな、失礼に思われないのか?」


「そういうふうに育ってきたからね。最近は良くないってことに気づいたんだけど。」


「そうだよな。親から教わってきたものはそう簡単に変わらないよな。子供は周りの環境を見て育っていくんだ。親がひどければどんな性格に育ってしまっても仕方がないといえば仕方がない。」


「ありがとう。私はあまり周りにいい扱いを受けずに育ってきたから、豊龍凪紗は作ってくれたし嬉しいよ。対価がどうとかって話をしてたけど、ちゃんと接してくれてるだけで対価はいらないよ。止めたいっていう意思は同じだし、情報処理なら任せて。頭の良さならそれなりにあるつもりだよ。」


「わかった。暗限の素直な話を聞けて良かった。普段何を考えているか全くわからないからな。正直に喋ってくれると俺もありがたい。」


「あ、あと、諏訪異黎人のことだけど。」


「ん、黎人がどうかしたのか。」


「あの人、最近何か変わったような様子はあった?」


「変わったような様子、か…?僕からみて考えられることはない。変わったとも特に感じなかった。」


「近くにいればいればいるこそ、わかりにくいものかもしれないし。あくまで私の感にすぎないけどさ、恋を、したのかなってさ。」


「黎人が、か?あまり信じられないな。黎人はあくまで他の人を助けるのも下心が1ミリもなくて、後先考えずに優しさで助けてるだけなんだ。優しいからこそ他の人に迷惑をかけないために、恋しないようにしてたんじゃないかって思えるくらいだ。」


「あくまで予想だからさ、本当かどうかはなんともいえないけどね。」


「どうであっても、僕のやることは黎人のやりたいことを応援するだけだ。」


「(友達想いで、かっこいいんだから。)そういう応援するところ、人間として素晴らしいと思うよ。」


「ああ、ありがとう。」


「こんな人と話しながら帰ったの、久しぶりだよ。」


「そうだな、ここの信号待ちとか1人だと暇なんだけどな。」


「本当だよ。ていうか今、赤だよね?あの人大丈夫?」


「いや、大丈夫じゃ……。危ない!」


「うっ…。」


「大丈夫!凪紗!」


「僕は…、大丈夫、だ……。少し体が擦れたけど…。」


「あなた、大丈夫?」


「あ、ありがとうございます。迷惑かけてごめんなさい。私の不注意です。」


「あなた、ど、どこかで?」


「あ、そうだ。刹那氏の人じゃない?豊龍凪紗?」


「思い出した。あなた、刹那氏長の、刹那奏菜(せつなかな)さんですか?」


ーーー→ continue to next story




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