④ 黄色いワンピース
「……もう、それぐらいで許してあげなさいよ?まだ高二にもならない男の子を、精神的にいたぶったりするなんて、趣味が悪いわよ?」
ボクらの背後から、突然、そんな声が掛けられた。
「あら、京子さん、来てたの?」
雪子さんにそう言われた女性は、見た目は23歳くらい。髪型は前下がりのボブカットで、涼し気な黄色いワンピースを着ていた。切れ長の眼、薄い唇。こちらも中々の美人だった。
「行動はいつも、ツーマンセルって言われたでしょ?そもそも、以前アナタが、雪村にちょっかい出したせいで、この時空がアラハバキの連中に、目を付けられたんじゃない?言わば、この坊やも被害者だわ。」
「……そうね。そのパトロールのために、ここで見張っていたんだったわ。」
雪子さんがここに居た理由が、今分かった。
(第1巻 参照)
「どうせ、ここで起きた事を、彼があちこちで言いふらしたところで、頭がオカシイと思われるだけよ。放っておいて、さっさと帰りましょう?」
「……それもそうね。ごめんね、坊や。ウザ絡みして。悪気は無いのよ。」
「あの……ちょっと、いいですか?」
ボクは、今にも帰ってしまいそうな二人を、慌てて呼び止めた。
「何かしら?」
もうすっかり、ボクに興味を失ってしまったような顔で、雪子さんが答えた。
「ええっと、皆さんは一体、いつもどんな活動を、してらっしゃるんですか?」
「まあ、ザックリ言えば、時空の調査ね。」雪子さんがそう言った。
「時には、神や悪魔や霊獣や妖怪なんかを相手に、闘ったりね?」
京子さんがそう言った。
「ボクはやっぱり……第3の選択肢を希望します。」
「命がいくつ有っても、足りないわよ?……まあ、だから不老不死なんだけど。」と雪子さん。
「貴方も物好きねえ?」と京子さん。
「ダメ……ですか?」
「一度本部に戻って、ウチのキャプテンに相談してみるわ。」と雪子さん。
「今から1時間たっても、私たちがここに戻って来なかったら、諦めてね?」と京子さん。
「解りました。その時は、全て忘れて……いや、忘れられないけど、日常生活に戻ります。」
ボクはきっぱりとそう言った。
そして、宣言通り、二人はその場から、まるで煙のように消え失せたのだ。
ついさっきまでの事が、夢のようだった。
ボクは、雪子さんが座って居たベンチに座り、じっとその時を待っていた。
そして、約束の1時間が過ぎた。




