③ 与えられた選択肢
「選択肢その1。もう一度個人的に記憶を消されて、この場から解放される……まあ、コレが可能なら、何の心配も要らないわ。」
「……はあ。」
「選択肢のの2。記憶が消えなければ、貴方の存在ごと、物理的に消えてもらう……大丈夫。一瞬の出来事だから、痛みを感じる間も無いわ。」
「……ええっ!?」
「選択肢その3。家族を捨て、不老不死になり、この私の仲間になる……貴方のチカラは興味深いから、多分、他の仲間たちにも、異存は無いはず。」
「そう……なんですか。」
「それにしても……対象となる人物と、自分自身以外の、見かけ上の時間を止めるなんて凄ワザ、どこで覚えたのよ?」
「いや……ソレは多分……今、初めて。ボクには自覚が有りません。ただ、そこに居たキミの姿が、余りにも印象的で、このまま額縁の絵のように、時が止まればイイのに、とは思ったかも。」
「なるほどね……貴方、私に一目惚れしたのね?」
「ええっ!?……いや、そう……ですけど。」
その時のボクは多分、耳まで真っ赤になっていた事だろう。
「……イイわよ。付き合ってあげても?ただし、貴方、自分の人生の、全てを投げ出す覚悟は、有るのかしら?……私と共に生きるとは、そういう事を意味するのだけれど。」
「ボクは……。」
ボクの頭の中で、目まぐるしく思考が駆け巡る。
たかが16歳の初恋の成就のために、今日まで生きて来た自分と、これからの人生を、全て捨てる事になりかねない。それで本当にイイのか?
ボクが悩んでいる間も、その少女は妖しく微笑んでいる。
ボクは、その美しさに、抗う事が出来なかった。
それにボクは、若かったのだ。
「選択肢その3……で、お願いします。」
ボクは腹の底から、声を絞り出すように、やっとの事でそう言った。
「……後悔しないわね?」
「うん!しないよ。」
今度は力強くそう言えた。
「……ああ、良かった。」
目の前の美しい少女は、ホッと胸を撫で下ろしたようだった。
「実は私、貴方の記憶を消す自信、無かったのよ。」
「えっ?」
「それに、無駄な殺生をすると、時空に悪い影響が出るし、伯爵にも怒られちゃうのよねえ?」
「……だ、騙したんですか?」
「騙してなんかいないわ。ただ私は、貴方の覚悟を聞きたかっただけ。」
「そう……ですか。」
「貴方、私の事が、大好きなんでしょう?」
「それは確かにそう……いや、何を言わせるんですか?」
「今更、取り繕っても意味は無いわ。これからせいぜい、可愛がってあげるわね?坊や。因みに、私の見た目は永遠の17歳だけど、本当の年齢は……もう忘れちゃったわ。だって随分以前から、不老不死なんだもの。だから中身は、お婆さんかも知れないわよ?」
「え~っ!?」
ボクは頭を抱えてしまった。




