② ボクのチカラ
「……変ね?」その少女は呟いた。
そしてそのまま、ツカツカとボクの方に歩み寄り、ボクの居る場所を通り過ぎてしまった。
ボクは彼女の姿を眼で追いかけ、自分の後ろを振り返って、ギョッとした。
ボクの背後には、目測で身長2m程もありそうな、直立二足歩行の、武装したトカゲ人間が5名居たのだ。
ただ、彼等も周りの人々と同様、剣や槍などの武器を構えたまま、動きを止めていた。
「……まあ、いいけど。」
彼女はまた呟くと、そのまま、その5名のトカゲ人間たちの首を、何の躊躇も無く、持っていた剣で次々に刎ねてしまった。
そして地面に落ちた首を、剣から発射した炎で、完全に炭にしてしまったのだ。そこまで3分もかからないような、見事な早業だった。
「これでよし……と。」
少女はまた、短く呟いた。そして剣を納めると、ボクの方に振り返って、こう言ったのだ。
「あなた確か……渡辺正人くんよね?」
「えっ、何でボクの名前を?」
「出席番号が、クラスの一番最後だったから、覚えてたのよ。私の事は……忘れちゃったみたいね?」
こんな美人を忘れるはずも無いけど……誰だっけ?ボクは必死に考えた。
「私、1月に転入して、また1カ月くらいで、すぐ転出してしまったから……覚えてなくても無理も無いか。」
「言われてみれば、確かにそんな事が……名前は……加藤さん?いや、加藤がクラスにたくさん居るから、雪子って呼んで下さいって……?」(※ 晴れときどき悪意ところにより超能力者 参照)
「そうよ!よく思い出せたわね?……でも、コレで確定ね。」
「……えっ、何が?」
「貴方は……要注意人物だわ。」
「え、えええっ!?」
一目惚れした美少女に、突然そんな事を言われて、ボクはどうしたら良いのか、分からなくなった。
しかし、そんなボクの気持ちにはお構いなしに、彼女は話し続ける。
「……実は私、転出する時に、関係者全員に、念入りに集団催眠をかけて、記憶を消しておいたのよ。」
「えっ?」
「それなのに貴方は、記憶を取り戻した。しかも、今のこの状況……コレは貴方のチカラの成せるワザなのね?」
「この"ダルマさんが転んだ"状態が、ボクのせい?……そんな、バカな。」
そう言いながら、ボクが辺りを見回すと、突然また、周りの人々が動き出し、喧騒が戻って来た。
「……そんな貴方には、この先の人生を過ごすために、3つの選択肢が有ります。」
その状況を確認しつつ、彼女はボクに言うのだった。




