⑳ 町田加恋
彼女の指先を追って、もう一度空を見上げると、そこには既に、ウルトラマンらしきシルエットの雲が、現れていた。もう間違いない。彼女も能力者だ。それも、かなり遠距離の水蒸気、もしくは大気を操る……。
ボクがそこまで考えて居た時、ふと、彼女と眼が合ってしまった。
その少女は、ショートカットで小麦色の肌をした、活発そうな見た目の子だった。彼女は腕を上げるのをやめて、つかつかと、ボクらの方に向かって、歩いて来た。太い眉と大きな黒い瞳。見るからに勝気な感じがした。
「見たわね?」
彼女はまるで、正体を現した妖怪のようなセリフの調子で、そう言った。
「ああ、見たとも!」
ソレに負けじと、花井くんが、語気を強めにしてそう言った。
「今見た事を、誰にも言わないと、約束しなさい!」
尚も高飛車な感じで、畳み掛けて来る彼女。
「イイけど……条件があるんだ。」
ボクは、出来るだけ穏やかな感じで、そう言った。
「……条件って何よ?言ってごらんなさい!」
彼女は、ツンデレっぽくそう言った……いや、この先デレが出る保証は無いが。
「ソレは……ボクらの仲間になる事だよ。」
ボクは恐る恐る、そう言ってみた。
「へえ~、仲間?一体何のチームなのよ?」
「時空調査チーム。」
「は?何ソレ?」
「悪魔やトカゲ人間たちから、この世界を守るんだよ。」
花井くんが、そう言った。いや、間違ってないけど、話を端折り過ぎだ。
「はぁ?何言ってるの?頭の中が膿んでるの?それとも何か、オカシナ薬にでも、手を出したのかしら?」
彼女は当然の反応を見せた。
「あの……最初からちゃんと説明するから、話を聞いてくれるかな?」
ボクはもう一度、説得を試みる。
「やってられないわ。もう、昼休みの時間も終わるから、私、行くわね?」
彼女はそう言うと、さっさと屋上から、降りて行ってしまった。
途方に暮れたボクたちは、教室に戻ると、早速委員長に、先程の少女について相談した。すると……。
「ああ、それならC組の町田加恋ちゃんね。私が後で話しておくわ。また授業後、体育館裏に集合しましょう。」と言ってくれた。
やれやれ、これで一安心だ。
放課後、体育館裏に集まったボクら5名は、またそれぞれ自己紹介をして、自らの能力を明かし合った。彼女は「最初から、そう言えば良かったのよ。」とか何とか、まだ少しブツブツ言っていたが、どうやら、ボクらを取り巻く事情について、納得したようだった。流石は委員長だ。




