⑱ 花井実
「何だい用事って?」
そんな感じに訝し気に訊く彼に向かって、ボクは単刀直入に尋ねる事にした。
「キミは、液体を操るチカラを持っているね?」
「……!?」
「いや、たまたま、ちょっと見かけてしまったのでね。」
「……そうか。すまんが、この件は、皆には内緒にしておいてくれ。」
「ああ、もちろんだとも。ところで、どうかな。キミの他にも、似たようなチカラを持った知り合いが居るんだけれど、会ってみないかい?」
「そうか。たまたま今日は、部活がオフだから、今すぐなら構わないけど……。」
「よし。じゃあ、そうと決まれば、善は急げだ。」
もともとボクは、彼に断られても、定期連絡のために、委員長と佐倉さんに、体育館裏で待っていてもらったのだ。だから花井くんを、そこまで連れて行った。
体育館裏で、彼と女子2人を引き合わせると、ボクの方から紹介した。
「花井くん、こちらは佐倉瞳さんと委員長の鈴木圭子さん、佐倉さん、委員長、こちらは花井実くんだよ。彼は液体を操作するチカラを持っているんだ。」
「よろしくね、花井くん。私のチカラは人形使いよ。手足の付いたモノなら、動物の縫いぐるみでも、動かせるわ。」と佐倉さん。
「私の事は知ってるわね?チカラは念動力。まあ大した事は無いわ。小さな物体にしか有効じゃないから。」と委員長。
「ああ、よろしく。僕のチカラは水でも油でも、液体状のモノなら、何でも動かせるモノだよ。」
「因みにボクは、時間凍結のチカラを持っているんだ。ただこのチカラを使うと、寿命を縮める事になるらしいから、あまり多用出来ないんだ。」
「そうかい。でも、良かったよ。こんなヘンなチカラを持っているの、ひょっとして自分だけなんじゃないかって、少し悩んでいたところだったんだ。」
彼は、どこかホッとしたようにそう言って、笑顔になった。
ああ、そうだよな。それが普通の反応というモノだ。ボクは改めてそう思った。はしゃいでる佐倉さんは、やっぱりどこか常軌を逸している感じがした。
「ところで渡辺くん……。」委員長がボクに尋ねた。
「……一体どんなきっかけで、彼のチカラを知ったの?」
もっともな質問だった。ボクは先程の、選択美術の授業中の話を、かいつまんで二人の女子に話した。
「……そうなんだ。また黒いモヤモヤが出たのね?」
彼女は少し、考え込んだようだった。
「え~?何それ。私、聞いてないわよ?」
ちょっと不満げな佐倉さん。




