⑯ 佐倉瞳
「どう、素敵でしょ?」得意げに彼女は言った。
「ああ、大したものだね。」ボクは言った。
「あなた、やっぱり驚かないのね?」
「まあ、このところ、不思議なモノを見る機会が多いからね。」
「最初の学級会の時にもやったけど、改めて自己紹介するわね。私の名前は佐倉瞳。持っているチカラは"人形使い"よ。基本的に、ニンゲンや動物の形をしたモノなら、私の想像力の及ぶ限り、何でも動かせるわ。だから、チカラの強さに関しては、多分委員長より私の方が上よ?」
「そうなんだね。まあ、どっちが上とか、あんまり気にならないけど、どうぞよろしく。ボクは渡辺正人。チカラは時間凍結だよ。ある人に頼まれて、チカラの持ち主を探しているんだ。」
「ある人って……委員長じゃないの?」
「……うん。そのうち、都合がついたら紹介するよ……ああ、でも、そうすると、結構やっかいな事に、巻き込まれるかも。」
「構わないわよ。私、つまらない日常には、もうすっかり、飽き飽きしているのよ。せっかく、こんなに面白いチカラを、身に着けているんですもの。ソレを思いっきり活用出来る場面に、是非とも遭遇したいものだわ。」
「……そうなんだ。」
(ボクは出来るだけ、平和に暮らしたいけどな。)
「ところで、その"やっかいな事"って何?宇宙人?妖怪?……それとも悪魔とか?」
彼女は嬉々として、眼をキラキラさせながら、ボクに訊いてくる。
どうやらこの子は、重度の厨二病のようだ。
「ボクもよく知らないんだけど、爬虫類族の一種で、確かアラハバキとか……。」
「アラハバキですって?素敵じゃない!確か、蛇を祖とする、縄文時代の神様でしょ?信仰の対象であると同時に、畏怖の対象でもあるとか……それに、"遮光器土偶の中の人"とも言われているわね。」
やはり彼女は、この手の話に詳しいらしい。
「一つの高校という、限定された場所にいるボクらが、こんな変なチカラを身に着けたのも、そいつらが、やって来るきっかけも、時空の乱れが原因らしいんだよ。」
「イイわね!もっとちょうだい!」
「……いや、まあ、それ以上の事は、何も知らないんだけど。」
「ふ~ん。まあ、良いわ。要するに、来るべき危機に備えて、能力者をたくさん探して、集めればイイのよね?」
「うん。それでチームになれば、何かと心強いんじゃないかな……。」
「了解よ。私も是非、協力させて。ああ、待ち焦がれていたこの日が、ついにやって来たんだわ。でも、ハルマゲドンには、ちょっとばかり早いわよねえ?」
彼女はそんな感じに、ボクにとって、よく分からない単語を呟いたりした。




