⑭ 進化の過程
「因みに、あの子は私の"時間軸違い"の下の妹。上の妹は、"植物使い"なのよ。凄いでしょ?」
雪子さんは、自慢げにボクにそう言った。
なるほど、超能力三姉妹という訳だ。確かにコレは大したものだ。
その後は、公園中央の売店で、名護屋名物の"きしめん"を食べて、午後からはカバやゴリラなどを見た。
「……ねえ、知ってる?」
チンパンジーの運動場前で立ち止まり、雪子さんがまた、語り始めた。
「私たちニンゲンが、いつ、どんなタイミングで、ニンゲンになったか?」
「それは、やっぱり、猿人から原人、それから旧人から新人へと、段階を経て進化したと……。」
「……そう、学校では学ぶわよね。受験対策では、それで正解。それでいいのよ。でも、ネアンデルタール人と私たちホモ・サピエンスとの間には、大きな進化の隔たりがあるわ。貴方はそこに、なんの疑問も感じないのかしら?」
「それは……確かに、ちょっと無理が有るような気もするけど。」
ボクはモゴモゴそう言った。
「私たちはね……昔、アラハバキという名の、とある爬虫類族に遺伝子をイジラれて、今のニンゲンになったのよ。」
彼女は突然、そんな爆弾発言をしたのだった。
「えええっ!?」ボクは、のけぞるようにして驚いた。
「間違いないわよ。私、ソレをヤッた一族から、直接話を聞いたんだから。」
彼女はボクに、更にそんな追い打ちをかける。
「古代エジプトで、色々な下働きをさせるために、ヤッたらしいわ。生みの親の彼らのDNAを参考に、遺伝子を調整したから、私たちの中に、好戦的な特徴が色濃く残ってるって訳。それで度々、人類滅亡の危機を迎えてるんだから、責任取って欲しいわよねえ?」
そんな事を言われたところで、ボクとしても、返答に窮するのである。
最後は、ユキヒョウ、ジャガー、アライグマ、バクをなどを見て、退園となった。
デートそのものは嬉しかったが、雪子さんから色々な話を聞いて、ボクは何だか、疲れてしまった。
地下鉄東山線で千種まで行き、その日はそこで、解散となった。
「すっかり疲れた顔ね。その辺で少し休んで行く?」
二人で地上に出てきた時に、彼女がそう言って指差したのは、国鉄沿いに林立するラブホテルだった。
ボクは慌てて、ブルブルと首を振った。
「冗談よ、冗談。」
彼女はそう言って、フフフと笑うと、「じゃあ、またね?」と言い残して帰って行った。
ボクは、キツネに化かされたような気分で、暫くその場に立ち尽くしていた。




