⑪ 仲間
「……顔色が変わったわね。実は私もね、面白いチカラを持った仲間を、ずっと探していたのよ。そういうつもりで、日々、みんなの生活を見ていれば、色々と気づく事も有るのよ。」
委員長は、少し得意げに、ボクに語り続ける。
「アナタね、時々姿が消えて見えるのよ……変な残像みたいに見える事もあるわ。それはつまり、周りの環境より、かなり速いスピードで、活動している証拠よね?そして、恐らくアナタから見れば、その瞬間、周りが止まって見えるはずよね?」
「大した観察眼だね、恐れ入ったよ。」
ボクは心底、そう思ったのだった。
「因みに……真田くんも、何だか、アヤシイわよね?」
「そ、そうなんだ?」最早ボクは、冷静さを保てない。
「それに、1年生の3学期に転入して、すぐにまた転出して行った、加藤……雪子さんだっけ?タダものでは無いような、雰囲気を感じたわ。」
(うわああ、ビンゴだよ。)ボクは、更にビビリ続けた。
「渡辺くんは?何か他に気づいた事は無いの?」
「いやあ、ボクが気づいたのは、委員長の事ぐらいで……。」
「そうなの?まあ、いいわ。お互い、変なチカラのせいで悩んでないで、何か掴んだら、こんな風に、情報交換しましょう。」
そんな彼女のセリフで、その場はお開きとなった。
やれやれ。呼び出したのはボクだったのに、最後はすっかり、委員長に主導権を握られてしまった。ま、そこが、委員長らしいところなのだが……。
その日の夕方、ボクはまた、雪子さんに会いに行った。
場所は、鶴舞公園の、いつものベンチだ。
そこでボクは、委員長との顛末を、掻い摘んで彼女に報告した。
彼女は興味深そうに、ボクの話を聞いていた。
その間、「ふーん、なるほど。」とか「ひょっとして私の影響……いや、雪村の影響なのかしら?」とか独り言を呟いていた。
そして最後に、「ありがとう。とても有意義な話だったわ。これからもアンテナを高くして、異変に気をつけていてね?」とボクに言った。
その間、赤紫色の夕日を受けて、妖しく光る、彼女の瞳に見惚れていたボクは、「あ、ええ、もちろん、喜んで。」などと、半ば上の空でソレに答えた。
「そうだ。よく働いたアナタに、また御褒美をあげなくっちゃね?」
「えっ?それは……嬉しいなあ。」
ボクは、先日の"ほっぺにキス"の件を思い出して、どぎまぎした。
「次の日曜日に、デートをしましょう。場所は……東山動植物園でイイかしら?」
雪子さんはそう言って、ボクをじっと見つめた。
ボクに、異存が有るはずも無かった。




