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RPGやり込みおっさんは、転生してもカンストを目指す~オーガたちから英雄扱いされ、気づけば魔王になっていた~  作者: 時津津
ゲームやり込みおっさんと人間

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2-2


 教会を出ると、壊れた建物の多い街が広がっている。

 セフィアさんの話を聞いた後だから、この街に残る破壊の跡にも大体の察しがつく。

 おそらく、この街は帝国に攻められたってことなんだろう。

 つまり、つい最近まで帝国ではなかった街なのだ。侵略戦争に負けて併呑された、ってとこか。

 

 街中で見かける鎧姿の兵隊は、赤を基調とした者と、傷と汚れが目立つ銀を基調とした者。さっきの門番たちも後者と同じ格好だった。


「おい!そこの銀鎧!

 あっちの道に瓦礫が落ちてるぞ!」


 赤鎧が指示を飛ばす。

 銀鎧は不満げながらも従う。

 その様子を道ゆく人らはいつものことだというように気にもとめていない。


 それに、だ。

 赤鎧は店先の果物を金を払わずに取り、一口齧って捨てたり、道ゆく女性のケツを撫で回したりと好き放題。

 銀鎧は逆に、住民らに声をかけられたり、挨拶を返したり。


 どうやら、赤鎧が進駐軍で、銀鎧は元々この街を守っていた兵隊ってことで間違いねえだろう。


 それがわかったところで銀鎧やこの街の住民に肩入れしてやる理由なんてないんだが。

 俺がここに来た理由はラグナの姉ちゃんや、攫われたオーガ達を探し、連れ帰ることだ。帝国が気に食わねえところは同じでもそれとこれとは話がちげえし、騒ぎを起こして目立つわけにもいかねえ。


「……よし。ほっとこう」


 目の前で女のケツを撫でて笑っている赤鎧から視線を外す。

 ……気に食わねえけどな。

 自分でもちょっと驚くほど大きなため息を吐き、気を取り直す。


 まずは情報だ。

 セフィアさんのおかげでとりあえずの目標である帝国の首都が「ずっと北」にあるのはわかったが、囚われの魔族達がそこにいるとは限らねえ。

 ……酒場とか、ギルドとかねえかな?


 歩きながらふんふんと鼻歌が自然に出る。

 だってよ、酒場はまだしも、ギルドなんて日本にはねえ。

 ちょっとは楽しみになっちまうじゃねえか。ゲーム好きとしてはよ。


 おっ!あの、盾と剣が書いてある看板は武器屋だろ!

 ……の、覗くだけ、な?

 別に欲しいもんがあるわけじゃねえのに扉を開く。

 埃っぽい店内に盾やら剣が並べられている光景に鼻息も荒くなっちまう。


「おお……、銅の剣……」


 すげえぜ。刃先を触っても切れる気がしねえ。

 鋳型に流して完成!みたいな。


「こっちは銅の盾……」


 一突きで穴を開けられそうだ。手に取ってもラグナの斧より軽い。


「……おお! 鉄の剣!」


 こいつは知ってるぞ。

 銅の剣の次に買うやつだ。


 手に取って、軽く振ってみる。


「……軽っ」


「おい」


 奥から低い声が飛んできた。


 振り向くと、腕を組んだ赤いヒゲ面のおっさんが俺を睨んでいる。


「なんだ?」


「なんだ、じゃねえ。さっきから人の売り物を好き勝手触りやがって」


「ああ、悪い悪い。初めて来たもんだからよ」


「……武器屋が初めて?」


「おう。すげえな、ここ。ゲームみてえだ」


「げえむ?」


「こっちの話」


 剣を元の場所に戻す。


「ところで、この辺にギルドってある?」


「……冒険者ギルドなら、ここ出て右だ」


「おお! やっぱりあんのか!

 ありがとな、おっさん!」


「おい、ちょっと待て」

 

「なんだよ?」


「まさか、何も買わねえつもりか?」


「……おお、そういや、俺、金持ってねえや」


「……は?」


「金、持ってねえ」


「いや、聞こえたよ。

 ……銅貨一枚も持ってねえのか?」


「おう」


「金も持たずに武器屋に?」


「見るだけならタダだろ?」


「好き勝手売り物触っておいて言うセリフじゃねえ!」


「悪かったって」


「はあ……。

 それでギルドか……」


「なんだよ、えらい含みがある言い方じゃねえか」


「あんちゃんさ、ギルドがどんなとこだかわかってんのかい?」


「いや」


「あんなところでその日暮らしの日銭稼ぐってな……

 まあ、夢があるってのもよくわかるけどな。

 ……ガタイもいいし、あんちゃんの人生だからよ、とやかくは言いたくねえが、仕事がなくてもよ、ギルドはやめた方がいいんじゃねえか?

 魔物狩って魔石集めて稼げるやつなんてたったのひと握りなんだからな」


「……魔石って金になんの?」


「あ?……そりゃあ、魔族のエサになるんだからよ」


「エサ?」


「俺もよくは知らねえが、わざわざ魔族どものために国が買い取ってるんだ。

 壊した建物よりも奴らのエサが優先なんだとよ」


「……」


「まあ、こんなのはここがまだ王国だった頃から変わんねえんだけどな。

 わざわざ保護して連れて来て、しかも食わせるってんだからえらい人らの考えることはわけわかんねえぜ」


「おっちゃんは魔族、見たことあるか?」

 

「ああ、ちらっとだけだがな」


「……あいつらはさ、俺らと何も変わんねえんだぜ」


「……あ?」


「いろいろ話してくれてありがとよ!……じゃあな!」


 それだけ言って武器屋を出て行ってしまうデカいにいちゃん。


「……俺らと何も変わんねえ、か」


 寂しそうな目をしやがって。


「扉ぐらい閉めてけってんだ」


 あのでかい背中は、もう見えなかった。



 ◇



 魔族の拉致にギルドも関わっている可能性がある。

 

 それはそうかと何となく納得してる自分自身もいることに少し驚く。国だけでできることなんてたかが知れてるだろ。

 物資の調達なんか、アウトソーシングできるんならそうした方がいい。

 

 ……それにしても、だ。


 うっひょう!ギルド!

 クエスト受けて、ドラゴン退治に行ったりしたなぁ。懐かしいぜ!……まあ、前世の話だし、ゲームの中のことだけどな!

 オーガの里からの道中に、狩って食った魔物の魔石もいくらかはある。

 これを売って、俺には小遣い。

 売った魔石の行方を追って、オーガ達を助け出すってのはどうよ。

 ううーん。俺ってば冴えまくってる。

 こりゃあ、ラグナに会える日も近いかもな。

 

 ……だから、寝れるうちによく寝ておこう。

 小遣いで宿でも取って、な。

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